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曜日替わり能力  作者: 向風
106/125

方針

「私の意見はこんなとこかな。それでジンさんは? なんでメンバー探し乗り気じゃないの?」

今度は俺にイオルが聞いてくる番のようだ。


「ん? そうだな。イオルと2人で冒険するのが楽しみだからかな?」


「…え? えっ⁉︎ えーー⁉︎」

最初ポカンとしたあと顔を真っ赤にして声を上げるイオル。面白い反応してくれるなぁ。


「はは、まあそれも本当なんだけど別の考えもちゃんとあってね。」

「別の⁉︎ あ、いやこれもホント? ドユコト⁉︎」

ちょっと揶揄っただけのつもりだったんだけど思いの外混乱してるっぽい。イオルは可愛いんだしこれくらいの冗談は言われ慣れてると思ったんだけどな。


「ごめんごめん、とりあえず落ち着いて。」

「う、うん。」

「それじゃあ話を戻すね。俺が慎重にって考えてるのはいくつか理由があって、俺たちの方針に納得できるかってとこだね。」

「方針?」

「うん、まずはお金の話。やっぱりこれがまず1番に話すべきだと思うんだ。揉めるとしたらまずこれからだろうしね。イオルとユーンさんとも今日話し合ったよね。」

確認も兼ねてイオルに聞いてみる。


「えっと、依頼の報酬はギルドに手数料で支払う分、報酬の2割を支払った後で1割をパーティの共有財産として貯金。残りの7割をその依頼を受けた人たちで分け合うんだよね。もし綺麗に割り切れなかった分はそれもパーティのお金にして貯金。あと今日のユキノシタみたいな直接依頼主が買い取ってくれたり、ギルドに売った魔物の素材なんかはギルドに手数料を払わなくていいから1割をパーティのお金にして貯金して残りを参加者みんなで山分け。で、今日武器屋さん買ったような矢とかナイフとかを買うお金はパーティの共有財産から出す。あと雑貨屋さんで買ったものとかは個人の買い物が多いから自分のお金で払う。これで合ってる、よね?」

「うん、合ってるよ。」

イオルがちゃんと覚えてくれてよかった。ほとんど俺とユーンさんの2人で決めちゃったから。


こういうことは最初にきちんと決めておくべき。とユーンさんと意見が一致したためしっかりと話し合って決めたのだ。

ちなみにユーンさんには言わなかったのだけどこの宿の宿代をパーティの共有財産から出していたのを思い出した。それでユーンさんは実家暮らしで宿代が必要ないのに俺たちだけ必要経費にするのは良くないと思ったので自腹にすることにした。でもまだパーティのお金から宿代分をもらってなかったしイオルの前でカッコつけて自腹を切って見せたので今回のイオルの分の宿代は俺が払おうと思う。ちょっとした見栄だ。多分イオルも忘れてると思うしね。

まあそんなことは置いといて。


「お金の次はユーンさんがギルドで働いている件についてかな。俺とイオルはもちろんちゃんと理解しているし、むしろこちらから誘ったわけだけど他の人からしたらギルド職員と冒険者を両方やるなんてのは疑問に思うかもしれない。」

「あ、そっか。ユーンは冒険者としては週に2回しか参加できないわけだしそういうのも理解してくれる人じゃないといけないもんね。」

「うん、その通り。で、あとはー、…うーん、まだあるっちゃあるけど他のパーティでも気をつけるべきことだと思うしまあいいかな。」

あんまりガチガチにするとそれはそれでしんどいしね。


「というわけで俺の意見としてはこんなもんかな。」

「そっか、ジンさんはちゃんと色々考えてるんだね。私も見習わないとなー。」

「そんなことないよ。しっかり考えついたのはこの3つだけだし、お金のことはユーンさんが意見を出してくれたおかげでまとめられたんだから。」

「ううん、それだってユーンとジンさんにお任せしちゃったし、それにユーンがギルドで働いてるのを理解できる人ってのも私は考えつかなかったし。やっぱりすごいよ。」

イオルがキラキラした目でめっちゃ持ち上げてくる。こんな美人に褒められると流石に照れるな。


「ってあれ? 3つ? お金のこととユーンの仕事のことでしょ? あともう一個は?」

イオルが不思議そうな顔をしてきいてきた。


「ん? 1番最初に言ったよ? イオルと2人で冒険するのが楽しみだからだよって」

ニコッと笑って答えてあげる。


「な⁉︎ あ、あれは冗談なんでしょ!」

「えー、ちゃんとそれも本当だって言ったよ? だから明日は2人で冒険に行くの楽しみにしてるからね。」

ちゃんと本音で答える。もちろんユーンさんも含めた3人での冒険も楽しかったし、土曜日が待ち遠しいけど明日のイオルと2人で行く予定の冒険もすごく楽しみなのだ。


ガタッと音を立てて座っていたイスから立ち上がるイオル。

「わ、私もう寝る! お、おやすみなさい!」

急にそれだけ告げると扉を開けて出て行こうとする。


「うん、おやすみー」

閉じられて行く扉に向かって挨拶をするとほぼ同時に扉は閉められた。


「…ちょっと揶揄いすぎたかな。」

腰掛けていたベッドに寝転び反省する。

あんまりにも手放しで褒められるものだから照れ隠しに揶揄ってしまった。


「まあでも楽しみなのは本当だしな。うん。」

嘘は言ってない。

自分を納得させながらやってくる眠気に従って目を閉じた。




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