今夜の話題
ユーンさんを自宅まで送り届けたあと、イオルと2人で宿まで帰って来た。
「ただいま戻りましたー。」
「女将さん、ただいまー」
「はいはい、お帰り。鍵、閉めちまうけどいいね?」
「はい、大丈夫です。」
昨日と似たようなやり取りをして宿に入る。
結構遅くなったけど一度荷物を置きに帰って来た時に風呂に行くことや食事をしてくることを伝えていたので問題無し。
そしてまた昨日と同じようにイオルと交代で歯磨きをして女将さんにおやすみを言って2階の階段を上がる。
で、部屋の前まで来たところで
「ジンさん、今夜もちょっとだけお話ししない?」
と誘われた。
「いいよ。じゃあどうぞ。」
「うん、じゃあお邪魔しまーす。」
俺の部屋に入ったイオルは昨日も座ったイスに腰掛ける。
俺はランプの火を消して蝋燭にライター(火魔法)で着火する。
ここまでほぼ昨日と同じだな。
違うと言えば昨日みたいにイオルが緊張していないことか。
さて、今日の話題はなんだろう?
「えっと、まず今日はお疲れ様でした!」
「あ、うん。そうだね、お疲れ様でした。」
当たり障りのない挨拶からはじまったので俺もそれに返す。
「えっと、それで、改めてなんだけどユーンをパーティに入れてくれてありがとう。」
「ん? いやそれは別にお礼を言われることじゃないからね。ユーンさんはしっかりししてて、今日だけでもかなりお世話になっちゃったし。むしろ俺の方からユーンさんにお礼を言わないとと思うよ。」
実際ユーンさんが仲間になってくれてとても助かった。冒険者ギルド職員としての知識はもちろん、魔物との戦闘の心構えや落ち着き、細かいところの気配りなどとても助かっている。
「えへへ、そっか。ユーンが褒められると私も嬉しいな。」
そう言ってニコッと笑うイオル。うん、可愛いな。
「じゃあ今日の話はユーンさんを仲間にしてくれてありがとうって話?」
「うん。あ、それもなんだけどね。ジンさん、ユーンがお風呂で言ってたこと覚えてる? ほら、パーティの名前を考えてる時にユーンから色々説明受けてたんでしょ?」
「あー、そういえば。えっと、確か…。」
そう言われて記憶を辿る。
お風呂に浸かり火照った顔。濡れた髪。
湯に浸かってふわりと揺らめく湯浴み着が身体を冷ますために湯船の外に出ると身体にピッタリと…。
「違う違う、そうじゃない。」
「へ? 何? どしたの?」
「いや、ごめん、なんでもない。」
余計なことを考えずに会話を思い出そうとする。えっーと、確か。
『ジンさん、今後冒険者を続けるとしてこの3人だけでやっていくおつもりですか?』
そうだ、思い出した。
「パーティメンバーを増やす話をしたんだったな。」
「そうそう、それ。それをジンさんと話し合うようにってお風呂から出て着替えてる時にユーンに言われたんだよ。」
「なるほど。」
明日から土曜日まではユーンさんはギルドの仕事でこっちには参加できないわけだから俺とイオルの2人だけ。
確かに他にも仲間がいた方が良いかもしれないな。
「というわけでそのあたりの話をしようってのが今夜の話題です。」
「了解。」




