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曜日替わり能力  作者: 向風
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夜道の散歩

「ふう、良いお風呂でしたね。」

「やっぱり大きいお風呂は良いよねー。またみんなで入りに来ようね。」

「あー、うん。そう、だな。」


時間いっぱいまで風呂を堪能し、食事を平らげ、満足した時間だった。


「ジンさん、どうかした? …やっぱりパーティ名、納得できないとか?」


俺がイマイチ元気が無さそうに見えたらしく、イオルは先ほど風呂で決めたパーティの名前について俺が納得していないんじゃないかと思ったようだ。


「いや、それに関してはもう大丈夫。俺も納得したし、今では良い名前かななんて思ったりもしてる。」


パーティ名については恥ずかしさはある。なんたって【七色の力を纏う導き手と共に征く者】だ。

でもちょっとだけ良いかなー、とも思ってたりする。

これだけ長い名前なら他のパーティとの名前かぶりもないだろうってのもあるし、俺の厨二心を擽る感じもあるのでちょっと気に入って来てもいるくらいだ。


「そうなの? それなら良いんだけど…。」

「では他に何か心配ごとでも?」

イオルに続いてユーンさんも俺を気にして問いかけてくれる。


「いや、心配ごとっていうか…。あー、湯上がりの2人が綺麗だなと思ってね。」

「そ、そうですか。それはその…。どうもありがとうございます…。」

「えへへ〜、綺麗だなんて照れるよー。でもありがとー。」

2人ともに違った照れ方をする。うん、かわいいな。


というわけで湯上がり美人が2人もいるので目を合わせづらいだけである。

今まで湯浴み着を着ていたとはいえ一緒の湯船に浸かっていたのに何を今更、って話だけどそれはそれ。

別の良さがあるのだ。



「ふふっ、ではそろそろ帰りましょうか。」

「そうだね〜。」

「ああ、そうだな。じゃあ、ユーンさんを家に送り届けようか」

俺とイオルは同じ宿に帰るんだし、ユーンさんを1人で夜道を歩かせるわけにはいかないと申し出る。


「いえ、そこまでしていただくわけには。それにお2人の宿までは遠回りになってしまいますし。」

「いや、もうだいぶ遅くなっちゃったからね。このままここで解散しちゃう方が心配なんだ。送らせて欲しい。」

そう言ってお願いしてみる。


「いえ、しかし…」

「良いじゃん、一緒に帰ろうよー。私ももうちょっとユーンとお話ししたいなー」

「むっ、そうですか? …わかりました。ではお言葉に甘えさせていただきます。」

ナイスアシスト。イオルからの援護射撃が効いたようだ。




さっき買ったばかりのランプの灯りを頼りに夜道を3人で歩く。


話題は明日からの依頼についてだ。


「それじゃあ朝は7時からギルドは開いてるんだね。」

「はい、ですが冒険者の方が多く集まってくるのは9時ごろですね。ですのであまり遅くなりすぎると目ぼしい依頼は無くなってしまいますよ。」

「なるほどね。でもそうはそんな言っても毎日美味しい依頼を出されるわけじゃないでしょ?」

「いえ、特に今はリストの森がオーガのせいで入れないので素材不足で依頼自体は増えていますね。ただ、遠い別の森まで行かないと採取できない植物や魔物の素材の依頼がほとんどなのでパーティの人数や持って帰れる素材の量によっては割りに合わない依頼も多いかもしれません。」

「なるほどなぁ」

「そういうわけなので明日は寝過ごさないように気をつけてくださいね、イオル。」

「うっ、大丈夫だよー、ちゃんと起きれるってば」

そういえばイオルは朝が弱いんだっけか。


「心配ですね。今日は送ってもらっているわけですし、そのお礼に明日は朝起こしに行きましょうか?」

「ええっ⁉︎ いいよ、いらないいらない! 大体、ユーンの出勤前に起こしにくるってなるとすっごい早い時間になるじゃん! せめて8時くらいまでは寝たいよー」

「8時ですか。そこから身支度して朝食を取るとなると9時ギリギリくらいにギルドに来ることになりますね。ジンさんはそれでいいですか?」

「ん、いいよ。それに俺としては多少遅くなっても別に」

「ダメです。甘やかせてはいけません。いいですか、明日以降、もし8時を過ぎてもイオルが起きてこなかった場合はジンさんが起こしに行ってあげてください。扉を叩いて反応がなければ布団を剥いで揺り起してください。」

すごいこと言い出したぞこの子。

「いやいやいや⁉︎ それはまずいって! 寝起きの顔見られてだけでもあれなのに寝顔とか流石にさ⁉︎」

イオルが真っ赤になって否定する。


「いや、それ以前に勝手に部屋に入るのはダメでしょ。」

「そ、そう! ジンさんいいとこに気がついた! ダメだよ! 乙女の寝室だよ!」

「イオルうるさいです。夜道で騒いではいけません。」

「うっ、ううー!」

急に正論で注意されて返事に困ったように唸る。


「まあ、それが嫌なら頑張って起きてください。ジンさんよろしくお願いしますね。」

「ああ、うん。」

「では、ここが私の家ですのでここまでで結構です。送ってくださってありがとうございました。」

「え、あ、ほんとだ! いつのまに⁉︎」


目の前にあるのは二階建てらしきお屋敷といっても過言ではない大きな家である。

「送っていただいたおかげで楽しい夜の散歩になりました。ありがとうございます。」

「ああ、いや。俺も楽しかったよ。」

「私は楽しくないよ! もう! すぐからかうんだから!」

「ふふっ、ごめんなさい。ですがジンさんにご迷惑をかけないようにしてくださいね。ジンさん、顔への落書きくらいなら許可しますのでもし起きなかった場合はよろしくお願いします。」

「なんでユーンが許可するのさー!」

「あ、はは。」

「ではイオル、ジンさん、おやすみなさい。」

「いーっだ! おやすみ!」

「うん、おやすみなさい。」

ユーンさんの家の前で手を振り合って別れ、泊まっている宿へ帰り始めた。




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