【七色の力を纏う導き手と共に征く者】
風呂に浸かりながら放置していたパーティの名前を考える。
「さて、どういうのがいいんだろう。」
「あまり難しく考えることではないですよ?」
「うーん、そうは言ってもなぁ…。ちなみに他のパーティってどんな風な名前にしてたりするの?」
冒険者ギルドで働いているユーンさんならそういうのも詳しいかもと聞いてみる。
「ふむ、そうですね。あまり他のパーティのことを話すのは良くないのですが有名どころで名前の由来が知られているところならいいでしょう。」
と前置きしてから
「このサルコスで有名なパーティで言いますと、珍しい食料を探すために結成された【食材の探求者】があります。これは我らがギルドマスターのパーティですね。今はもうあまり活動していないはずですがその名の通り珍しい食材を求めて危険な森の奥地などに採取又は魔物狩りに出るのを主な活動としていました。あとはそうですね、私のお父さんがリーダーをしている【青い衣】というパーティはメンバー全員で青い外套を羽織っています。それからパーティメンバーが10数人いる【猫派】というパーティはこちらも名前の通りメンバー全員が猫好きという話です。」
「なるほど。趣味を全面に出していたり服装で揃えてみたりって感じなんだね。」
「まあそうですね。お父さん達のパーティも青が好きだから着ているらしいので趣味なんでしょうし。…娘からするとちょっと目立つ、というか恥ずかしいのでもう少し自重してもらいたいのですが…。」
そう言ってため息を吐くユーンさん。
「ええー、なんでー? ザーイさん達の衣装かっこいいでしょー?」
イオル的にはカッコいい衣装らしい。そしてユーンさんのお父さんはザーイさんというそうだ。
「…別に私もカッコ悪いとまでは思っていません。ただもう少し落ち着いた色にして欲しいとは思いますが…。」
うーむ、父親が派手は格好をするのは娘からすると複雑なのかもしれないな。
「ふーん、ま、いいや。それで、2人は何か案は出た?」
イオルが俺とユーンさんに聞いてくる。
「あー、いや、まだ全然。」
「私も今のところは何も。」
ユーンさんから色々教えてもらったばかりでまだ何も浮かんでいない。ユーンさんも俺への説明で忙しかったからまだのようだ。
「そっかー、じゃあ私が考えたやつ発表していいー?」
「お、いいよ。聞かせて。」
俺とユーンさんが話し込んでいる間にイオルはちゃんと考えてくれていたらしい。
「何故か妙に不安なのですが…。とりあえず聞いてみましょう。」
ユーンさんはあまり期待していないようだが一応聞く姿勢を取る。
「ふふん、じゃあ発表するね。私が考えたパーティ名は【七色の力を纏う導き手と共に征く者】 どうかな⁉︎」
「却下!!」
「なんで⁉︎」
「いや逆になんでそれが通ると思ったのか聞きたいよ⁉︎ 七色の力を纏う導き手って俺のことだよね?」
俺がそういうとイオルはよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに説明を始める。
「うん! ジンさんの能力が曜日ごとに入れ替わるでしょ? つまり7個あるわけで、このパーティのリーダーはジンさんだから導き手ってこと。で共に征く者は私たち。これだったらこれから仲間が増えても問題なしのいい名前だと思うんだけどなー?」
すすーっとイオルか近づいて来て上目遣いに見てくる。
「うっ、いや、えっと、ユーンさんもこれはダメだと思うよね⁉︎」
イオルから目を逸らしつつユーンさんに助けを求める。
「…ふむ、少し名前が長いのは気になりますが発想としては悪くないかもしれません。」
まさかの裏切り! いや別に裏切られてはいないが。
「ただこのままだとジンさんの能力をそのまま表しているようなものですのでそこが気になりますね。」
「あー、そっか。でもこのパーティ名からジンさんの能力に結びつけるって難しいと思うけどなー。」
「そうですね、そうそうバレることはないでしょうし…。七色…、というとすぐに思いつくのは虹でしょうか。」
「虹かー、だったら何か虹に関係する装備でもジンさんに付けてもらえばいいんじゃないかな?」
「なるほど、確かにそれなら纏うの部分にも該当しますね。良いのではないですか。」
え、何。決定したの?マジ?
「というわけで【七色の力を纏う導き手と共に征く者】で決定ー!」
「ええ…本当に?」
俺が全面に出ている上に微妙な厨二感のある名前になんとも言えない思いがある。
「ジンさんはあまりお気に召さないですか?」
俺があまり乗り気では無さそうなのでユーンさんが聞いてくる。
「うーん、絶対に嫌ってことはないんだけど…。」
「えー、ダメ? 頑張って考えたんだけどなー…。ぶくぶく…。」
しょんぼりしたように口まで湯に浸かって見上げてくるイオル。
上目遣いが効果ありと気づかれたか?
「私は共に征く者のところが良いと気に入ったのですがこの名前はダメでしょうか?」
ユーンさんもイオルの真似をして上目遣い。この人もわかっててやってるな。
「…はぁ、わかったよ。じゃあこれで行こう。」
これは敵わないと思い諦めて降参することにした。
「わーい、やったー!」
「ふふっ、ありがとうございます。」
嬉しそうに両の手のひらを合わせて笑う2人。
これ、本当に俺が導き手なんて言って引っ張って行けるのかな、なんて苦笑いするのだった。
ちょっぴり言い回しとか編集しました。
そんなには変わってないはず。




