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少女と二千年の悪魔  作者: 大天使ミコエル
第四章

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77/87

最期の時 1

 エルリックが眠ってしまってから、何日が経っただろう。ううん、何ヶ月?……1年だって経っていておかしくない。

 わからなくなるほどの月日が過ぎた、そんな日だった。

 ランプの明かりに照らされたエルリックの顔は……なんだか青白い気がした。

 不安が襲う。慌てて手を握る。

「…………え」

 冷たい。

 ぞっとする。

 魔女の言葉を思い出した。

 少しずつ……死んでいく……。

「そんな……」

 本当に……こんなに突然……。エルリックにすがりつく。

 どうしよう。どうしたら……。

「そんな……エルリック……」

 優しく、声をかける。

「エルリック……」

 何度も名前を呼ぶ。反応はない。

 以前なら、すぐに起き上がって私を驚かせて、大きな声で笑っていたのに。

「エルリックぅ……」

 その綺麗な顔は、目を開けることがない。

「ねえ……」

 涙が、ぼろぼろとこぼれた。止まらない。止まらない。

「マリィ」

 ふと、後ろで声がした。いつの間にそこにいたのだろう。悪魔の声だった。

「悪魔、さん……っ」

 泣きながら、振り向く。目の前には、いつも通りの夜の色の翼を広げた、悪魔の姿があった。

 なぜか悪魔も、元気がないように見えた。

「……間に合わないんだ」

 いつになく、低く小さな声で、悪魔はそれだけを言った。

「…………」

 何が間に合わないのか空白の頭で考え、それがエルリックの事だと思い当たる。

 エルリックを眺める。

「でも、今、花を見つけられたら……っ!そうすれば……!」

「…………ないんだ」

「もっと探せばきっと……っ!森を抜ければ……」

「…………ないんだ。森を抜けたって。魔女は、世界中のあの花を……」

「…………」

 そんなの。

「そんなの……っ!そんなの……っ!そんなこと…………っ!」

 認めたくない。

 ずっとそう思っていた。

 死ぬなんて認めたくない。

 私が殺してしまう。

 私が助けないといけないのに。

 ランタンを手に取り、外へ飛び出す。

 私にはこれしかできることがないから。

 暗い草原。もう何度だって見尽くした場所。

 草をかきわける。泥だらけになって、傷だらけになって。

 どこかに、一つくらい……。

「マリィ」

 その声を聞いて、涙がこぼれた。

 足が、動かなくなる。

 花がない、なんて。そんなの。

「…………そんなのとっくに……気づいてた、わ」

 涙が止まらなくなる。目の前が見えない。

「…………」

「……最初に、花を探しに出た時から、気づいてた、わ」

 言ってしまったら本当になるかもしれないと、ずっと思っていた。

 でも、おかしかった。

 毎年、マリィの誕生日前から、暑くなるまでずっと咲いている花が、今年は咲いてなかったんだから。

 あんなにいつもどこにだって咲いているはずの花が、どこにも咲いてなかったんだから。

 その瞬間、視界が真っ白になった。真っ白になって、そして。

 マリィは意識を手放した。

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