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バラの咲く庭 3

「うっふふ、マリィ様!ロベリアったら緊張して……」

「その話はやめてって言ったでしょう!?」

 級友6人に、その妹達が2人。通いで来ている使用人の娘達が2人。小さなレディばかりが集まって、普段は静かなバラの園が途端に賑やかになった。

 今日は、晴れやかな空の下、バラの花も満開でふわふわと香りを漂わせ、庭が満面の笑みで喜んでいるようだった。

 ロベリアは相変わらずツンツンしていて、それでも誕生日のプレゼントとして家からふんわりとした大きな花束を持ってきてくれたので、それをテーブルに飾ってからパーティーは始まった。

「第一王子が来てらっしゃるでしょう?」

 ふふふ、とサラが切り出したので、使用人の娘達が顔を見合わせた。使用人の娘達やロベリアといった関係者以外には、婚約について公式にお披露目する場はまだ先だ。

「マリィ様は、王子がいてくれて嬉しいんじゃない?」

 級友の一人、エマがそんな周りの雰囲気をめざとく感づいて、話題をマリィに向ける。

 王家との話を気軽に話すわけにもいかなくて、絶対にバレないようにとロベリアからもらったブローチもつけないでいたのだ。多少気まずい気持ちになりながらも、使用人の娘達のはからいでなんとか誤魔化すマリィだった。

 マリィはなんとか誤魔化せたと思ったけれど、もしかしたらロベリアは、相変わらず分かりやい顔だと思ったかもしれない。

 それからは王子がかっこいいだの、弟のほうがかっこいいだの、この街でかっこいいのはバーで働いているお兄さんなんじゃないかだの、といった話から、それぞれの恋の話になったり、と華やかな午後だった。

 レディ達の話しは尽きることがない。好きなお菓子屋の話題もあれば、将来の野望を語ることもある。

 ケーキもなくなると、ロベリアは使用人の娘の一人と仲良くなり、庭を案内してもらっていた。使用人のもう一人の娘は他の娘達より少し年下だったため、級友の妹達とかくれんぼに勤しんでいる。テーブルに残った娘達はお茶を飲みながら、きゃあきゃあと話し何やら盛り上がっていた。

 何をするにも、バラが華やかに咲く庭は、少女達にはうってつけだ。

 庭がこれほど賑やかになるのは、こうしてティーパーティーを開く時くらい。

 友達が、いてよかったと思える午後だった。

「みんな、ありがとう」

「素敵なパーティーだったわ」

 ロベリアはいつものニカッとした笑顔を返してくれる。その手のあたたかさは、マリィの心に優しいものをくれた。

「またね」と口々に言う。

 後に残ったのは、大量のプレゼントで、紅茶や本やアクセサリー。女の子らしいものに囲まれ、マリィとしては大満足のティーパーティーだった。お気に入りがたくさんできた。

 マリィはロベリアからもらった花達を優しく撫でる。

 きっと明日の誕生日のパーティーも、幸せな日に違いない。

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