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プロローグ
戦乙女 戦姫────それは戦を愛し、戦に愛された者。
年齢不詳。人相不詳。氏名不詳。
全てが謎に包まれた彼女は、ある時を境に完全に姿を消す。
「────飽きたな。思えば、随分と長らえた……幕引きには、丁度いい頃合だろう」
着物をドレスのように着こなした一人の女はそうボヤくと───愛用の妖刀血桜をその身に突き刺した。
ブシャッと勢いよく血飛沫が上がり、辺りを真っ赤に染め上げる。
結局、私を倒せる強者は現れなかったな……。
朱を帯びる己の愛刀を最期に、その女は意識を手放した。