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永遠の夏  作者: 赤鉄 ロボ
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2輪目 淡黄色の笑顔

美しい黄色の髪の毛、黄色のひまわりの花飾りがとめてある。髪が肩につくぐらいのショートヘアで内巻きであった。

クラス全員が転校生の入室を眺めており、先程、騒いでいた奴らは口をぽかーんあけて転校生に見惚れていた。

「さあ、今日から新しいクラスメイトだぞ、では自己紹介をしてくれ」

転校生はこくりと頷き、ゆっくりとしなやかに教壇へ上がり口を開いた。

「わ、私、向日 葵と言います。よ、よろしくお願いします…」

小さな声で拙くぎこちない話し方だったが、透き通るような美しい声で彼女は一言話した。

「向日、自己紹介有難う。ちょうど柊の隣空いてるし、そこに座ってくれ」

クラス全員の視線は彼女に向けられている。恥ずかしそうに彼女はそそくさと席へ向かった。

彼女は無言で席についた。クラスメイトが彼女に興味津々だ。

「あの子が転校生?」「可愛い!」「ちょっと話してみようよ〜」と女子の話し声が聞こえてくる。

それに混じって「おい、お前〜あの子に話して来いよ」「友達になりてーよな〜」と口々に男子の声も聞こえてくる。

彼女はその声が聞こえてないような素振りをしていた。

突然、ドアが開き先生が入ってきた。ガラガラガラ……

「じゃあ、一時間目始めるからお前ら授業の用意しろよ〜」

「なぁなぁ、柊ぃ〜一時間目から数学だるいよな〜」

前の杉田が俺に同情してほしそうだ。

「俺は授業よりも宿題のほうがだるいわ…」

「今日は宿題の提出があったよな〜後から回してくれ」

忘れてた…宿題。俺は席を立ち先生に言った。

「先生、すみません。宿題忘れました」

「私も忘れました〜すみませーん」

教室の後から聞き覚えのある声がした。

「榎並も忘れたのかよー」

「ゆーちゃんだってぇ、忘れたくせに〜人のこと言えないでしょ〜」

「榎並も柊もいつものメンツだな…お前ら毎度、毎度、反省してないやろ!放課後補修するから来い!」

先生は鬼の形相で怒鳴った。

「す、すみません……」

俺と榎並はきまりが悪そうな顔をしながら各自の席へ着いた。

「また、お前らかよ」「授業の邪魔しないでくれる?」「いい加減学習しろよ…」

口々にクラスメイトが囁いている。

「お前ら、煩いぞー!授業聞けないから静かにしてくれよ」

とーちゃんの大きな声で教室が一気に静まりかえった。

「授業に協力してくれて菫田、有難うな」

「おう!」

とーちゃんは頷いた。

「じゃあ、前の授業の続きからやるぞー。教科書は………」

ふと隣を見る。彼女は鞄の中や机の中を探しているように見えたが、一向に見つかる気配はなかった。

彼女の机の上にはノートが一冊と筆箱のみだった。

教科書ないのかな?……

「な、なぁ……教科書、見る?」

俺は咄嗟にこの一言が口から飛び出た。

「あ、ありがとう…」

彼女を見た時のようなあの雰囲気とは違い、本来訪れるべき季節のような冷ややかで凍てついた雰囲気を笑顔から感じた。

「う、うん…」

それからは会話はなく、ただひたむきに授業を聞いた。

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