一話 魔王は魔王をやめたい
村人になるまでが長いですが懲りずに読んでくれれば嬉しいです。
〈始まり〉
俺こと魔王レグリオ・ディバルは魔王をやめたい。
そしてやっと手に入れた転職の書。
「これでやっと魔王をやめられる」
・・・11年前 レグリオは魔族領のガルロス魔王国にある最も人族領に近い村で人間として生まれた。
そして5歳までは平凡な日常を送れた。
だが5歳の時に突然頭の中に女性の声が聞こえた。
『ステータスを獲得しました』
この世界では5歳になるとステータスを獲得する。
ステータスとは自分の能力や職業などを表すものだ。
だがステータスを獲得するまで自分の職業は絶対にわからない。
レグリオは家に帰り早速自分のステータスを家族とともに見ることにした。
「ステータスオープン」
すると自分の前にステータスが開かれた。
名前 レグリオ・ディバル
レベル 1
種族 人族
年齢 5歳
職業 魔王
力 150
魔力 200
敏捷 150
耐久 150
幸運 0
スキル 身体能力強化 魔王の覇気
称号 魔王に選ばれし者
...俺は呆然とした。
それは職業に魔王と書かれているからだ。
まぁ他にも理由はあるのだがとにかく 魔王はやばい。
そして俺は魔王という文字に怒りを覚えた。
魔王とは魔族領に住む全ての魔族を統べる者であり、人族からは恐れられ魔族からは敬われる対象だった。
しかし俺は敬われたくもないし恐れられたくもない俺は友達が欲しいのだ。
――そう俺は友達が欲しいのだ!(ここ重要)
だが魔王になってしまえば王都から呼び出され魔王城で魔王として育てられるだろう。
そうなれば友達を作りたくても作れなくなってしまう。
そう思った俺は王城からの招待を断り旅に出ることにした。
5歳の俺が旅に出れるのか心配だったがこの世界の平均的なステータスは成人男性で150前後だという。つまり俺は5歳にしては十分強いのだ。
しかし俺が目指すのは転職の書だ。
転職の書はこの世界にあるダンジョンの中でも最上位の部類に入る『試練の迷宮』の最下層にある。
つまり今の俺では迷宮を突破することができない訳だ。だからまずは荷物を最低限持ち、一番近くの人族領サラシュで特訓することにした。
《人族領サラシュ》
俺の特訓内容は魔物を狩ることだ。
この世界には魔物と呼ばれる人族領の人々にとって厄災になるものがいる。魔族なら魔物を従えることができるが、俺はたとえ魔王でも人族だから魔物の標的になる。
魔物を殺すと経験値を獲得できる。俺はこのとき人族であることに感謝した。
それは魔物は魔族では殺すことができないからだ。魔族は人族領や魔族領の中にいる人族を殺すことでしか経験値を得ることができない。
俺は友達を作りたいのに殺してしまったら意味がない。
だがいきなり魔物を狩ることはできない。
魔物を狩るには冒険者という者にならなければならない。だから俺は冒険者ギルドに登録することにした。
俺はサラシュにある冒険者ギルドにやってきた。
少しボロい建物の中に入る。すると冒険者ギルドの中にいた人たちは驚いた顔していた。
まぁ、驚くのも無理はない。まだ5歳で外見からして幼い俺が冒険者ギルドにやってくれば驚きもするはずだ。
俺は驚く人たちを無視し、ギルドの職員がいるカウンターの前に行き職員に話しかけた。
「あのー。冒険者ギルドに登録したいのですが」
「あのね。僕。冒険者ギルドはね、大人たちが集まるところなんだよ。だから僕にはちょっと早いかなー」
「見た目で弱く思えてもステータスを見れば強いとわかる。早くギルドに登録してほしい」
と少し強めに魔力を含めて言う。初めて使うため不安だったが、
「…わかりました。少しお待ちください」
相手を怯ませることには成功したらしく職員は言葉使いを変えて奥に入っていった。少し待った後職員が戻ってきて、
「ステータスを測定したいのでこの水晶に触れてください」
そう言われて俺は水晶に手をかざす。 すると水晶はパッとひかり水晶の中にステータスがあらわれた。
それを見た職員はある文字を見ると驚いたが、
「わかりました。あなたはギルドに登録するだけの力があると判断しました。ギルドに登録していただきますが、その前に話がありますので私とともにギルド長の部屋に来てください」
と言い俺を連れて奥へ歩いていった。俺はあのことだなと思いながら歩んでいき一番装飾が綺麗な部屋の前で止まる。すると職員が、「ギルド長。失礼します」と言い中に入り「ほら僕も」と俺を呼ぶ。
俺が部屋の中に入ると中には40代前半だろうと思われる筋肉質な身体をした男性がいた。するとその男性は俺のステータスを見ると驚きこう言った。
「俺の名前はシェパードだ。冒険者ギルドには何の用できたのかな魔王殿?」
「オッサンも知ってるだろ、ギルドに登録しにきたんだ」
「あと俺は魔王と呼ばれたくない。ちゃんとレグリオと呼んでほしい」
「それは失礼した。訂正しよう。しかしなぜレグリオ殿はギルドに登録をしようとするのだ?」
「俺は魔王なんかになりたくなかった。俺はオッサンを信じて今からのことを喋るぞ。」
と言い俺はシェパードに魔王になってからギルドに来るまでの経緯と理由を喋った。
「にわかに信じがたいが嘘はついてないようだな」
と言いシェパードは天秤を見た。
「この天秤は相手が嘘をつけば動く仕組みになっている。しかし天秤が全く動いていないと言うことは全く嘘をついてないと言うことだ。...よかろう、レグリオ殿の言うことを信じてレグリオ殿のギルドの登録を許可する。もしレグリオ殿の願いが果たされたならまたこのギルドに来てくれ。ギルド職員全員で祝おう」
とシェパードは俺をギルドに登録してくれた。
職員は、
「ギルドカードは明日渡すのでまた明日来てください」
と言うとカウンターに戻っていった。
無事に冒険者登録をした俺は近くの宿で体を休めることにした。




