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第一話 絶望の学園と傍若無人の転校生

ここは、私立ビビンバ学園高校。この辺り一帯に幅をきかせている不良たちの巣窟にして他県にまで名を轟かす無法地帯である。


絶えず喧嘩や小競り合い、縄張り争いが繰り広げられているこの高校に、1人の新星が現れようとしていた!


その男の名は真砂鳴ますなめい、”最強”を勝ち取るためにやって来た1人の転校生である!



 * * * * * *



私立ビビンバ学園の世界史教師・三宅昇みやけのぼる56歳。この荒くれ高校に赴任してきて3年目、妻に先立たれ娘はひとり立ちして今は1人暮らし。そんな中年教師の日課は無事に(・・・)その日の授業を終えることだった。


この学校における授業とは、授業中だろうが休み時間だろうがお構い無しに騒ぎ立てるカラスどもを邪魔しないように小声でボソボソと講釈を垂れ板書を書くこと。もちろん真面目に聞いている生徒はおろか、ろくに注意を払っている生徒すらいない。相変わらずの喧騒と、時折飛び交うサッカーボールを避けながら三宅はいつものように授業を始める。


……はずだった。いつもなら。


今日がいつもと違うのは、1人の転校生を紹介しなければいけないことだった。


「どうせ誰も聞いていないから適当にすませちゃってください自己紹介。ホラ、うちの学校はちょっとアレだから…」


そう言って促された当人はしかし、そんな三宅の言葉を一切気にかけていない様子で…


「おいお前ら!耳の穴かっぽじってよーく聞いとけよ!今日を境にしてこの学園に轟く名前があるだろう……」


「それが俺の名前!真砂鳴ますなめいだ!」





目をギラつかせながら放った言葉はしかし、彼らクラスメートに届くことはなかった。なぜなら窓の外、眼下に広がる校庭で繰り広げられている修羅場・・・に目が釘付けだったからである。彼らは窓際に群がり、階下を見物しながら、口々と囃し立てている。校庭に立つ2人の男の”対決”が早く見たいのだ。


「おいヤベーよアレ…」「B組の石原とF組の西本じゃん…」「ついにぶつかんのかよ!」

「俺は西本に1000!」「じゃあ俺は石原に3000な!」


真砂「………………」


真砂「おいどういうことだこりゃあ!なんで誰も見てないんだよ!転校生だぞ転校生!(もうちょっとこう、期待のマナザシとないワケ?)」


三宅「だからどうせ誰も聞いてないって言ったじゃないですか。分かったら早く席に着いて……お、おい!」


真砂は三宅の言葉を無視し、鼻息荒く窓際の群衆にツカツカと歩み寄り……


真砂「はいちゅうもーく!ちゅうもーく!」


真砂「今日は何の日かなー?転校生が来る日じゃなかったっけ?」


真砂「転校生はまだかなー?もう来てるかもよー、てか来たよー」


??「お、おい何やってんだお前!」


窓の外に関心がいっている連中に必死に声をかけて振り向かせようとする真砂だが、少し離れたところから見ていた誰かが止めに入った。


背丈は平均的で真砂より少し低い程度、身体つきも普通中の普通。およそ不良だらけのこの高校に似つかわしくないモブ(・・)だ。


真砂「あァ?なんだお前。お前みたいな一般人はお呼びじゃねえっての。もっとこう、シュヨウジンブツに声かけられてえぜ」


??「だ、誰が一般人だ!……じゃなくて、お前もっと目立たないようにしろよ!今はそれどころじゃないんだからヨォ」


真砂「この世界のどこに転校生より大事なイベントがあるって…………ン?」


ビビンバ高校の校舎3階、1年A組の教室は黒板に向かって左側に校庭に面した窓がある。その窓際にクラス中のほぼ全員が集まり、校庭の一悶着を見守っていた。


その中に紛れ込んで真砂も目を凝らし、品定めするようにジッと校庭に並び立つ2人の雄を眺めた。


「あの左側のやつ、強えな…」


??「石原か?あいつは強えなんてもんじゃねえ。入学した初日にB組の主だったヤツらを締めちまった。今じゃB、D組は1人残らずアイツの支配下さ」


いつの間にか隣に割り込んで来たモブが解説してくれる。


「いるんだねえ、どこの世界にも解説役ってのが。ところでモブ君ーー」


??「モブじゃねえ、田村だ。田村ヤスフミ」


「んなこたあどうでもいいんだけどヨ、あいつらは何で争ってんだ?」


田村「(どうでもいいって……)あー、転校生だから分かんねえか」


田村「俺のこのヤスフミMemoによるとだな、右側のヤツはF組を仕切ってる西本。ここいらじゃ有名な北野二中の番格だったヤツだ。」


田村「そーとー暴れてたらしくて結構有名だった。あいつらはよーするに1年内の覇権を争ってるわけだから、ぶつかるべくしてぶつかったって感じだな」


真砂「ま、どっちも俺ほどじゃねえな」


田村「……お前あいつらの強さよく知らねえからそんなことが言えんだよ。しっかり目に焼き付けておけよ、ウチのレベルってやつをよぉ」



 * * * * * *



〜同時刻・校庭〜



西本「クックック……ずいぶんと見学が増えちまったじゃねえか。仕方ねえからそろそろ始めるか」


ニタアッと笑う西本。


石原「ずいぶんと余裕だな、オメー」


石原は無表情を崩さない。


西本「オメーこそこれから大勢の前で恥かくってのにたいそうな余裕だぜ」


西本が、ゆっくりと構える。両手を大きく左右に広げ、包み込むような構えだ。


西本「来ねーならこっちから行くぜ」


そして、すーーっと息を肺いっぱいに吸い込むとーー


「ババ!ビべbーー」


「ババババババババババァッッッ!!!!!!」


ドゴォン!!!


凄まじい音がしたと思うと、片方の身体が5mほども後ろに吹っ飛び大の字になって動かなくなる。


カウンターで”バ”トルを制したのはーー


「これで約束どおり、F組は俺の下につくってことでいいんだな」


ーー冷徹な表情を崩さない石原だった。


「すっげえ……」「俺、バ行で人が飛ぶとこ初めて見たぜ……」

「俺たちが足元にも及ばなっかた西本をあっさりと……」

「やっぱビビンバはバケモンばっか集まってくんな……」


その場で行方を見守っていたF組の面々が口々に驚きの声をあげる。


松野「さすがだな、石原」


立会人として後ろで見守っていた松野は石原の右腕だ。


石原「フン、この程度の障害を超えて通れないようではこの先危ぶまれるからな」


松野「ク〜〜、さすがは俺たちのボス。痺れるぜ」


石原「残りはA組C組E組か」


松野「この調子で1年制覇しちまおうぜ、最速記録も狙えるんじゃないk」


??「ちょ〜っと待ったー!」


石原・松野「?」


真砂「俺を忘れてもらっちゃ困るぜ、ええ〜っとイノウエ?だっけ……」


石原「………………」


松野「……石原、こいつと知り合いなのか?」


石原「いや、俺の知り合いにこんなに頭の悪そうなヤツはいない」


真砂「名前なんだっけ?さっき聞いたはずなんだけどな〜〜確か、イ……イ…………イシヤキビビンバ?」


〜〜〜〜〜〜


(同時刻・1年A組教室)


田村「あのバカ……!いつの間に……!ついさっきまで隣にいたはずなのに……」


なんとA組の教室で”観戦”していたはずの真砂がいつの間にか校庭に降り立っていた。


〜〜〜〜〜〜


真砂「おっ!ビビンバってこたあ、この学園の関係者か?ははーん、面白くなってきたぜ」


松野「石原、この手のバカは一々相手にしてたらキリがない。さっさと片付けたほうがいい」


石原「お前に言われるまでもねえ。こいつは今ここで叩き潰す」


真砂「お前もしかしてアレか?できないことばっか口にしてる意識高い系ってヤツだろ?(耳ほじほじ)」


石原「テメエッ……!」


??「ククク……おいおい、お取り込み中だったか?」


ヒートアップする石原と真砂のやり取りが、突然第三者の声によって遮られた。見れば石原の背後から優に190cm弱はあろうかという巨漢がズンズンと歩いてくる。その姿を目にした取り巻きから驚きの声が漏れる。


「なっ……!あの人はっ……!」「なんで3年がここにっ……!」


石原「まだアンタの出てくる場面じゃないっすよ菊地さん」


声の主は菊地圭吾(3年)、人呼んで”ビビンバの皇帝”だ。ジャンパーのフードに隠れて顔が見えない。


菊地「お前らこんな小僧1人に手こずってんのか?がっかりさせてくれるじゃねえか」


石原「これから始末するところです。すぐに終わります。アンタの出る幕じゃないっすよ」


石原が再び真砂に向き直った。


ところが、真砂はというと菊地の顔を見上げて、言い放った。


「お前、そこそこやれそうじゃん。舎弟第1号にしてやってもいいぜ」


「!?」「なっ……こいつバカか?」「あの(・・)菊地さん相手に命知らずにもほどがあるぜ……」


ざわつく周囲に対して真砂はというとキョトンとした顔で、


「あれ?さっきのやつが舎弟1号だからこのオッサンは2号か?」


田村「この人は3年の最大派閥・菊地派のトップ、菊地圭吾さんだぞ口の聞き方に気をつけろ……(あと”さっきのやつ”が俺のことなら俺は舎弟じゃねえ)」


真砂「おわっ!?お前いつの間に!ってか耳元で囁いてくんじゃねえよ気色ワリィな」


真砂たちがそんなやり取りをしているうちに、菊地は被っているフードをゆっくりと取り払い、


「お前、面白いじゃん。褒めてやるよ」


真砂「え、ああ、そりゃどうm」


「ビボォッッッ!!!!!」


次の瞬間、真砂の意識は弾け飛んだ。



to be continued……


どうも!ビボです!最後までお読みいただきありがとうございました。お目汚し失礼いたしました。

小説を書くのもネットに投稿するのも初で、慣れない中での執筆です。至らぬ部分などありましたらご指摘よろしくお願いいたします。感想もドシドシお寄せください。励みになります。よっぽどひどい暴言でない限りは歓迎いたします。

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