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壊れる学園生活

最近、少し気になることがある。

リーネについてだ。

なんだか、心做しかリーネがクラスメイト達から避けられている気がしてならないのだ。

近頃はリーネが友達と話しているところも見ないし、何かあったのだろうか。


「リーネ、ちょっと」

「はい......?」


俺は人目の無い場所へ呼び出した。


「最近クラスの皆とは、仲良く出来てるか?」

「え!?あ......はい。まぁまぁです」

「......そうか」


この動揺。

おそらく当たりだろう。

ハブられている。明らかに避けられている。

嫌われていて、仲間外れにされている。

しかし理由が見当たらない。

転校してきてからまだ数週間しか経っていないたずだ。

まぁ、それだけあれば性格も分かってくるだろう。

もし(シルビオ)だったら、初日に嫌われていても無理はない。だから、問題は日にちでは無い。

しかし性格でも無いだろう。

リーネは一応奴隷だが、俺の中では家族も同然。

家では、メイドの仕事をしっかりとこなしてくれるし、特にこれといった欠点も見つからない。

可愛いし。

嫌われる要素は無いと思うが。


「......ならいい」


俺はとりあえずリーネを放っておくとにした。

表面上はな。

リーネの様子は、ちょいちょい確認していたのだが、分かるのは嫌われているらしいという事だけだ。

もしかしたら俺の知らない所でいじめを受けているいるのかもしれない。

あまり使いたくは無いが、仕方がない。


「スニーキング」


気配隠蔽、光反射抑制、無音、インビジブルの魔法を、制服に付与した。

気が進まないが、これで見つからずに盗み見ることが出来る。

しばらく、リーネの行動を追うことにした。








リーネは、偉いことに、俺が見ていない時でもしっかりしていた。

他人に敬語を使い、失礼無礼のないように振舞っている。気遣いも忘れない。

よくできた子だ。

と、リーネを追っている途中で、気になる会話が聞こえた。


「リーネってさ、正直ウザくね?」

「分かるぅ、なんか前の休日にシルビオと一緒にいたらしいよ」

「え!?マジで?キッモ!」

「どうりでウザいわけだ」

「いい子ちゃんぶっちゃってさ」

「魔法も地味に強くて腹立つわ。生意気な奴だ」


(シルビオ)と、一緒にいた......?

まさか誰かに見られていたはな。

結局は俺のせいか......他のウザいってのも、おそらくは後付けの悪口だろうし、嫌われる理由としては、(シルビオ)と一緒にいたというところだろう。

......やはり、俺のせいなのか。

俺は、リーネを追うのをやめて、一旦リーネと話すことにした。

こういう話すことも、誰かに見られているのかもしれないが、別にそれでも構わない。

もう既に嫌われの身だ。(シルビオ)も、リーネも。


「リーネ」

「......はい」


しかしリーネは笑顔を作り、俺に心配させまいとした。


「バレちゃいましたか。えへへ。でも、別に大丈夫ですよ。今は少し喧嘩してるってだけで、シルビオさんは何も関係がありません。それに、こういうのには慣れていますし」

「いいや、俺のせいだ......すまない......」


俺の考えが甘かった。

俺が嫌われているから。

リーネは、俺と一緒にいるのを見られて、嫌われ始めたんだ。

......これが、リーネに頼って自分の力でやろうとしなかった罰か。



「......本当にすまない」

「いいですって、私は大丈夫ですから」


その笑顔が痛い。

俺にとっては、その優しさがとても痛いのだ。


「リーネ、俺は......」


汚名返上をして、誰からも認められる実力者になる。

そう言おうとしたその瞬間、俺の声は、掻き消された。


「ちょっとぉ、リーネ?アンタこんな所で何してんの?」

「ッ!」


リーネはビクッと反応した。

この感情は、恐怖だな。

察するに、こいつら二人に何かされているのだろう。


「リディヤ、メリダ......」

「あぁん?さんを付けろや!さんを!」

「す、すみません......」


当たりのようだな。

こいつらがこの前の休日の目撃者というわけでは無いだろうが、そのことを聞いて態度を悪くするのは許せないな。


「おい、リーネに何か用か?」

「あぁ?」

「おうおう、シルビオさんじゃねぇか」


不良。ヤンキー。

俺のいた世界では、そのような言葉で言い表せられる人種だ。


「リーネが嫌がってるだろ」

「嫌がってる?お前嫌がってるのか」

「生意気なやつだ」


何を言っているんだこいつらは。


「なぁ、シルビオさんよ。お前らどういう関係なんだ?」

「もしかして、彼女とか!?ギャハハ!」

「違う。リーネは家族だ」


少しの間も無く答える。

が、すぐに後悔する。

家族。

ここで俺とリーネに、何らかの深い関係があるというのを示してしまった。

彼女らにとっての、不快関係を。

(シルビオ)という最悪な人間との、深い不快関係を。


「ギャッハッハッ!!あんたらそんな関係だったのか!」

「こいつは笑える。二人揃って嫌われ者だ!」

「リーネ。お前は一生、私達の奴隷として扱ってやるよ」


────────ッ!!!


「......おい」


頭に血が上っているのが分かる。

この感情は、怒りだ。

完全にキレた。

俺は、ズカズカと二人に近づいていく。


「な、なんだよ」


少しづつ近付いてくる俺に、恐怖を感じているようだ。

だが許さない。

これ以上リーネに対して悪口を言うようなら、俺が許さない。

俺は拳を握り締める。

その時だった。


「もしもし?喧嘩はやめようねっと」


アランが仲裁してきた。

なんだ?お前は。何しにきやがった。


「楽しい学園生活なんだから、みんな仲良くしようぜ?シルビオ君」

「......」

「それに君たちも。ちょっと言い過ぎかな。冗談は程々にね」

「......」


俺は、その数秒の間で何とか冷静になることが出来た。

アランが止めてくれていなかったら、今頃俺は暴れていたことだろう。

少しばかり、感謝をした。


「......今回だけだ。今回だけは見逃してやる。だが次はない」


一応釘は刺しておいた。

これでもうリーネに関わってくることは無いだろう。


「リーネ、すまなかった」

「い、いえ!大丈夫です!」

「お前に、学園生活を楽しませてやれなかった」


本当に悪かったと思っている。

これまでも、そしてこれからも。

もう普通に学園生活をおくることは出来ない。

俺は、まだ一歩。進むことが出来なかった。

汚名返上の道は、遠ざかった気がした。

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