アレセイアが、想うこと
わたしが、感想を添えるときに想うことです。
こんな気持ちで、私は貴方さまにひとひらの言葉を贈りたいと、思っています。
こうやって文章を紡ぐようになって、もう十年が経ちました。
若いを通り越して、幼い頃から物語をたくさん、たくさん作りました。
こんなセカイがあればいいなあ。あんな人がいればいいなあ。
そんなことを思いながら、手当たり次第に言葉にしていきました。
もちろん、恥ずかしい小説だって書きました。黒歴史で、消し去ってしまいたい物語もあります。
その頃は、子供でした。ルールも法則も知らない、ただの子供。だから、やりたい放題にやって。
でも、それだと理解されないことが分かって、叩かれて、泣きたくなって。
それでも、書き続けました。だって、書くことがなにより、楽しかったから。
本を開けば、いろんなセカイが待っている。そんなわくわくやどきどきを、自分で作れたから。
ただの高校生が、魔法使いになってセカイを救うおはなしを書きました。
悪魔を使役した若者が、正義を自負する神様と戦うおはなしを書きました。
一人の狙撃手が、恋をして、戦争を終わらせようとしたおはなしを書きました。
他にもいろんなおはなしを書きました。どの子たちも、一緒に旅をしているみたいに、書くのが楽しかった。
今もその子たちはわたしの頭の中でいて、また一緒に旅をしようと言っているけど。
ごめんね、まだわたしは、キミたちを上手く書ける力がないんだ。
成長するあいだに、わたしは力をつけた。この世界でキミたちを書き表す力を、身に着けた。
だけど、まだ足りない。キミたちを、本当の意味で書き上げる力が、まだ足りないんだ。
そう思いながら、また新しい作品を書いて、書いて、書いて。
同じくらいの小説を、読んで、読んで、読んで。
気づいたら、もう、十年です。
また、ひとひらの物語を書き終えて、ぱたん、と物語を閉じて、空を見上げます。
もう、わたしは子供ではいられなくなって。心は子供でも、立場は大人にならなければならなくて。
いろんなところで、頭を下げて。いろんなものを、背負って。
そんな重みにつぶされそうになって、でも、しっかり踏ん張って精一杯笑って。
それでも、泣きたい気持ちを堪えて、いつも空を見上げています。
涙がこぼれなければ、泣いていない。そういったのは、誰だっけ。
そう笑ったわたしの手元の作品に、ひとしずくの冬が口づけます。
さみしいよ。せつないよ。手元の作品が、そう言っているみたいで。
うん、そうだね。わたしもさみしいよ、とちいさく、ちいさくつぶやきます。
ひとりぼっちは、やっぱり、さみしいです。
どんなに頑張っても、どんなに叫んでも、どんなに訴えても。
きっと、理解されないことは、あるのです。
そうすると、やっぱり、わたしはひとりぼっち。
ああ、さみしいな。うん、さみしいよ。
だから、キミたちだけはこんなさみしい気持ちにしては、いけないよね。
頭の中に住んでいるキミたち……ううん、それだけじゃない。
この世界にいる、いろんなセカイの『キミたち』、そんなキミたちがさみしい想いをしちゃいけないのです。
ひとりぼっちでさみしいキミたち。せっかく書かれて生まれてきたキミたち。
それがこの大きな夜空の中で、ひっそりと瞬いているだけなんて。
ひとりぼっちの星でいるなんて、それはきっとさみしいから。
わたしは手を伸ばして、キミたちに会いに行く。
そうすれば、ほら、ひとりぼっちじゃない。さみしくないよ。
キミはとっても素敵な子だから。こんなに愛されて生まれてきたキミだから。
そんなキミが好きだよ。こんなところが好きだよ。もっと、キミは輝けるんだよ。
そうやって励まして、キミの傍に寄り添っていてあげたい。
だから――キミを、読んでもらうためだったら、いろんなレビューを書くよ。
読んで、ああ、好きだな、こういうところがいいな、って思ったことを素直に書いて。
他の人にも、こんなところがあるんだよ、って知ってもらうために、精一杯レビューするよ。
キミがもっと輝けるのなら、いろんな感想を書くよ。
こうした方がもっと、キミはキミらしくあれるよ、輝けるよ。
余計なお世話だったらごめんね。でも、キミにはもっと輝いていて欲しいんだ。
そうすれば、きっと、キミは――貴方の作品は、さみしくないよね?
貴方の作品がもっと輝いて、いろんな人が読んでくれるようになってくれたなら。
貴方は、きっとさみしくなくなるから。
貴方のことを、きっといろんな人が見てくれるから。
貴方の傍に、いろんな魔法が花咲きますように――。
わたしは。
貴方さまの傍に、幸せな文章の魔法がありますように、祈っております。
アレセイアの魔境は、物書きのサークルです。
いろんな小説を書くと同時に、いろんな人の作品と出会い、言葉を交わしていきたいと思っています。
感想をお願いされたとき、レビューをお願いされたとき。
この作品を読んでほしい、とお願いされたとき。
そのときは、こんな気持ちで読んで、貴方の作品が好きだよ、って気持ちを大事にしたいと思っているのです。
そんな気持ちを、知っていただければ、幸いです。