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セイレーン

作者: 神林 醍醐郎

セイレーン



雲ひとつない 青空のもと


穏やかなる海 広がりたるよ


見渡す限りの 青一面に


鈍色の岩礁  浮かびたるよ


その岩椅子に 腰掛けて


奇しき乙女  歌いたるよ



銀の竪琴   爪弾きて


哀しき声で  歌いたる


裸乙女の   背には白翼


潮風に吹かれ 柔らかに膨らみ


清らかな羽毛 陽を含みて舞う


寄せる白波  素足をくすぐる



奇しき乙女  セイレーン


琴線弾いて  奏でるは


去りし者への レクイエム



かつて栄えし者どもは


今や余さず  水底の骨


かの日 太陽 荒ぶりて


極点の氷塊  一日に溶く


大海嘯 地に生くる者を飲み


ヒマラヤの頂きのみ 水面に留めん



残されし   セイレーン


竪琴を抱き  天を仰ぐ


数多の男を  酔わせし麗歌


今や聞く者  絶えて亡し


落涙一粒   白翼は霧と失せ


乙女の素足  銀鱗を纏い


人魚     飛沫を残し去る


蒼天は高く  蒼海は広く


ただ在りて  潮騒を抱く

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― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして、でしょうか。レモンともうします。 セイレーンの悲哀の歌、酔わせた男を想起する箇所を読んで、なぜか連想したのが、井伏鱒二『山椒魚』でした。 絵になりそうな、ワンシーン…… 不…
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