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人形姫ローズ  作者: ブリガンティア
アフター・ウォーズ
801/811

801. 巡礼の旅(10) 調査(4)

「この情報はどこから?」

「タスカという暗部隊員からだ」


ファリズが聞くと、ロッコは天井を見つめながら答えた。


「なぜイソルデ夫人がその家にいるか、誰が彼女の代わりに船に乗ったか、・・分からん」


ロッコはそう言いながら考え込んだ。


「船に乗ったのはオリビアだったりして・・」

「20年前のことだから、情報が少なすぎる」


ロッコが言うと、ファリズはため息ついた。


「しかもじっくりと考える時間がない。ファリズ様、可能なら、剣士一部隊と暗部一部隊をローズ様の元へ送ってほしい。俺が彼女の近くにいないから、不安でね。言っても信じられないだろうけど、これは俺の勘だ。なんだか、とても嫌な予感がする」

「分かった。お前の勘は大体当たる」

「恩に着るよ」

「気にするな。二人は俺の妹と弟だ。俺が守ってやる」


ファリズはうなずいた。


「ありがとうよ」


ロッコは微笑んで、ファリズを見た。輪っかの向こうから剣士部隊と暗部部隊が冬服で現れると、ファリズはうなずいて、指示を出した。その一人はロッコを見ると、大きな笑顔で手を振った。


「やぁ、アルミナ殿!」

「久しぶりだ、ロッコ殿!」


二人は握手して、挨拶を交わした。アルミナはオルカを見て挨拶してから、ファリズの指示を聞いた。


「・・要するに、我々はこの屋敷を押さえて、謀反の情報を調べれば良いということなんですね?」

「そうだ」


ファリズはうなずいた。


「あと誘拐の証拠もね」

「誘拐?」


ロッコがそう言いながら机の上にまとめられた資料をアルミナに差し出した。


「ジャマール・アルウィ伯爵の孫、ジョハル様が何者かに誘拐されました。不幸中の幸いというか、ロッコ殿がその場に居合わせて、ジョハル様を救うことができました」

「ふむ。ジョハル様は確かまだ二歳か三歳ぐらいのお子ですよね?」

「はい」


オルカが説明すると、アルミナはポケットから手帳を出して、書いた。


「それで?賊は?」


ファリズが聞くと、オルカはロッコに視線を移した。


「俺が出合った奴らはどうなったか、分からねぇ。正直言って、あの寒い海に、子どもを守りながら戦うのはかなり大変だったよ。波も高かった。しまいに、子どもを抱えて、俺たちは海に落ちたし・・」

「海に落ちた?!」

「ああ」

「どこの海だ?」

「闇龍神殿の周辺の海だ、と思うけど、多分そうだろうね。古い神殿だったからな」

「まじか・・。この時期の海だと、大変だ」

「寒かったよ」


ロッコが笑いながら言うと、ファリズは心配そうに彼を見ている。


「もう平気なのか?」

「まぁ、なんとか」

「で、なんで海にいたんだ?」

「賊の中に魔法師がいた。それに、この資料によると、手引きしたのはエフラ男爵だったらしい」


ロッコが言うと、アルミナは資料を見て、また書き留めた。


「エフラ男爵、東にあるエルゴナ諸島で商社を営んでいる。たまに彼の船がトルド諸島に来て、真珠を買いに来た」

「へぇ、以外とまじめなんだね?」

「まじめかどうか、俺が直接エフラ男爵と会ったことはない。ただ、彼の部下は割とまじめで、感じの良い人たちだった」


ファリズが言うと、ロッコは考え込んだ。


「そんなまじめな生活した人なのに、なんでアイデンバーグ子爵の謀反に加担しただろう?」

「それは分からない」


ロッコの疑問を聞いたファリズも考え込んだ。


「だが、この様子だと、彼はまだ捕まっていないだろう?」

「そうだね。彼がこの謀反に加担したことに分かったのはついさっきだからね。事情の確認もしていねぇが、やはりそのまま外で自由にしておくとやばいと思う」

「彼は今も西エルゴシアにいるのか?」

「だと思うけど、どうなの、オルカ殿?」


ファリズの質問を受けたロッコはオルカに視線を移した。


「あ、はい。今回の晩餐会では、エルゴの島々地方の全貴族らが招待されて、ゼルバ男爵以外、全員ご出席致しました」

「ゼルバ男爵か・・、聞いたことがあるが、会ったことはない」


ファリズが言うと、オルカはうなずいた。


「はい、長年具合が悪い、という話は伺っております。なので、アルウィ伯爵の方に、欠席する、という知らせをしただけで了承されました」

「なるほど。で、全員が今でもアルウィ家にいるということか?」

「いいえ、エルゴシアで屋敷を構えている方々はもうすでにお帰りになりました。宿に泊まっている方がも同様でございます。アルウィ家の屋敷に泊まっているおはサザビー子爵ご夫妻とエルキ子爵ご夫妻だけとなります」

「理由は?」


ファリズは資料に目を通しながら聞いた。


「サザビー子爵の屋敷が、先週辺りに工事中でございます。強風で屋根が飛ばされてしまわれて、宿を探したが、もう満室で取れませんでした」

「なるほど。サザビー子爵は他の島から来たのか?」

「はい。報告によると、エルドネス島からお見えになりました」

「なるほど」


エルドネスは南西にある島で、エルゴディナから遠くない、とファリズは思った。


「それで、エレキ子爵は?」

「エレキ子爵はアルウィ伯爵の遠縁でございます。お二人はとても仲が良い、と伺っております」

「エレキ子爵の屋敷はどの辺りにある?」

「エルゴディナの東でございます」

「結構離れているね」

「はい」


ファリズが言うと、オルカはうなずいた。その隣でアルミナは手帳で書き留めた。


「閣下、やはりエフラ男爵を直ちに捕まえるべきだと存じます」

「分かった」


アルミナが言うと、ファリズはうなずいた。


「あ、忘れるところでした。ロッコ殿とジョハル様を迎えに行った陛下は、エルゴタニエアでモルグ人の攻撃を受けました」

「モルグ?!」


ファリズはオルカを見て、ロッコを見ている。


「ファビーナモルグのオクタ公爵、と名乗った人だ」


ロッコは即答した。


「奴が今はもう首都にいて、エトゥレ殿に絞られているところだと思う」

「なるほど」


ファリズはうなずいた。


「青蛇、お前はこれからどうする?」

「まず、このリストに載っている傭兵の調達したところから探ってみる。計画とか、どこで集まるとか、具体的に何をするつもりなのか、未だに何も分かっていないから、調べる必要がある」

「リスト?見せてみろ」

「あい」


ロッコがその紙を見せると、ファリズはふむふむ、とうなずいた。


「この場所とこの場所ならお前らを送ることができる。これはちょっと離れている場所だ。恐らくもういないだろう」

「ふむ。なら、残りは行ってみるしかない」

「分かった。ということは、ザルズを貸そう。お前は、行きたい所をザルズに言えば良い」

「あい」


ロッコはうなずいた。


「何が分かったら、ザルズ経由で知らせるよ」

「分かった」


ロッコがうなずいて、ポケットから紙三枚をアルミナに渡した。


「何か分かったら、その紙に書いて、燃やしてくれ」

「それだけで良いのか?」

「ああ」


ロッコはうなずいた。


「術は施されているから、燃やされた瞬間、俺に届く」

「便利だね」

「便利だよ」


ロッコは軽く笑った。


「ロッコ殿、その術の作り方を教えてください」

「考えておくよ」


オルカが言うと、ロッコは微笑みながら答えた。


「俺にも教えろよ、青蛇」

「ははは、まいったな・・。あい、分かったよ。この問題を解決したら、後でゆっくりと教えるよ」

「それはありがたい。なら、気合いを入れて、仕事にかかろう」


ファリズはうなずいた。


「アルミナ、おまえとここに来た暗部たちを先にエルゴシアに送る。この屋敷はとりあえず俺が押さえる」

「はっ!」


ファリズが魔法の輪っかを唱えると、アルミナたちはロッコたちに手を振って、その輪っかに入った。


「ザルズ」


ファリズが言うと、半透明の者が現れた。


「青蛇が行きたいところへ送れ」

『御意』


ファリズが命じると、その半透明の者はうなずいて、ロッコを見ている。ロッコはうなずいて、暗部たちを呼んだ。


「じゃ、任せたよ、ファリズ様」

「分かった」


ファリズはうなずいて、ザルスが開けた輪っかに入ったロッコたちを見送った。





ザルズがロッコたちを送った場所は港町だった。


「ここはどこだ?」


ロッコがオルカに尋ねると、オルカも周囲を見渡しながら考えた。彼らをここへ送ったザルズの姿も、もうどこにもない。


「えーと、エルゴサンディ港町のようです」

「ふむふむ。具体的に、エルゴシアのどの辺りに?」

「東北です」


オルカが言うと、シャークもうなずいた。港の名前が書かれている看板があったから、とオルカが言うと、ロッコはうなずいた。


「しっかし、まぁ、吹雪の夜なのに、こんなにも賑やかだね」

「ははは、はい。港なので、海外からの船も多いです」

「ふむふむ、・・だが、タマラのウレグも港なのに、ここまで賑やかじゃなかったよ?」

「あそこは漁港です。ここはこれからソマールやその周辺の島々や国々へ行く途中の港ですから、エルゴシアに続いて、とても忙しい港です」

「へぇ。あ、親父、そのお茶を下さい。いくら?」


ロッコが近くの屋台に飲み物を買うと、シャークは慌ててお金を出して全員分をついでに買った。


「ありがとうよ。あああ、暖けぇ~」


ロッコは美味しそうに紅茶を飲んだ。


「始めてか?」

「そうね、このような美味しい紅茶は始めてだ」


ロッコは熱々の紅茶をまた飲んで、屋台の主人が置いたコンロの近くに立っている。


「ははは、そうかい。良かったね」


その屋台の主人が笑って、次々と紅茶をシャークに渡した。全員が紅茶を飲んで、体を温めながら軽い世間話をした。ロッコは最後の一滴まで紅茶を飲み干して、グラスを返した。


「美味しかった。ありがとうよ」


ロッコが言うと、オルカたちは揃って紅茶を飲み干して、グラスを返した。彼らは再び歩いて、港を見ている。


「オルカ殿」

「はい」

「あの手紙のかけらが入ったグラスを持って来た?」

「あ、いいえ。アイデンバーグ子爵の庭で置いてしまいました」

「まぁ、仕方ない」

「申し訳ありません」

「問題ない」


ロッコはうなずいた。そして少し静かな道に入った。


「こういう時に、ちょっとだけ便利な方法を教えよう」


ロッコはジェフィに来るようにと合図して、腕を見せるように、と言った。


「今の状況みたいに、手がかりがない、相手も誰だか分からない、そして時間もない。どうやって探し出すのも困ってるだろう?」

「はい」


オルカはうなずいた。シャークたちは興味津々とロッコを見ている。


「ジェフィ殿は、なんつうか、あの傭兵たちと戦って、少し怪我をしたよね?」

「かすり傷でございます」

「ははは、そうだね。まぁ、かすり傷だね」

「はい」


ジェフィが言うと、ロッコが笑った。


「そして敵の返り血も浴びた。これは相手の返り血だね?」

「あ、はい」


ロッコが黒くなっていくコートの袖に示すと、全員うなずいた。


「これを利用して、残りの仲間を探すことができるんだ。こうやってね」


ロッコがしゃがみながらジェフィの手を引っ張って、雪の上に付けた。そして彼は何らかの魔法陣を描いた。


「初めて見た魔法陣だ」


オルカが言うと、シャークたちはうなずいた。


「まぁ、これは里の暗部にとって、とても大事な術だ。覚えるには損がない。ただし、大量の魔力を消費してしまうから、あまり使わない。使うとしたら、二人以上のチームを組んでいる時にだけ。だって、いざと言うときに魔力が切れてしまうと、命取りになるからね」

「はい」

「ただ、今回は、時間がないので、使う。相手は近くにいるならその方向へ光る。遠くにいるなら光が広がらない。その時に、魔力を消費しないように、術を終了にする」


ロッコはジェフィの手を魔法陣の上に置いた。


『汝に命ずる。この小さな存在の仲間の元へ、我を導いたまえ』


ロッコが言うと、いきなりジェフィの袖に付着した血が光出した。


「先の呪文、もう一度お願いします」

「あい」


オルカが言うと、ロッコはゆっくりと言った。


「覚えました。ありがとうございます」

「あい」


オルカが頭を下げると、彼の部下たちも頭を下げた。貴重な術を教えてもらって、ありがたい、と彼らは思った。


「ただね、さっきも言ったように、大量の魔力が使うから、早めに動くよ。でないと、俺の魔力が切れちゃう」

「あ、はい!」

「じゃ、ジェフィ殿、その光の方向へ行こう。走れ!」


光が反対側の方へ指すと、ロッコたちは急いで動いた。もたもたする暇がない、とオルカたちも理解している。


「ここは・・」


ジェフィが路地裏にある建物の前に足を止めた。光がそこで止まると、ロッコは素早く彼の手を触れた。


『終了』


すると、光が消えた。そして、次の瞬間、ロッコは素早くポケットから何かを取り出して、扉を開いて、その「何か」を投げ込んで、扉を閉めた。


当然ながら、いきなり何かを投げ込まれたから、中から外へ出ようとした人々が殺到した。けれど、ロッコは魔法で扉をかたく閉めて、誰一人も外へ出さなかった。


そして、先ほどまで慌ただしい様子だった部屋が静まっていく。オルカたちは息を呑んで、扉の前にいるロッコを見ている。


聞きたいのが山々だけれど、今は静かにするべし、とオルカたちも理解している。彼らは建物の外で静かに待機している。


「よし、入ろう。注意してな」

「はい」


オルカたちは息を呑んで、うなずいて、武器を抜いた。ロッコが魔法を解いて、扉を開けると、オルカたちは素早く中に入った。


その建物の中にいる人々は全員意識を失っている。シャークは素早く中へ入って、次々と倒れた人々を確認した。


生きている、と。


「何を投げ込んだんですか?」

「毒だ」


オルカが聞くと、ロッコは即答した。


「即効性が高いけど、効き目は弱い毒だ。念のため言っとくけど、この部屋にある食べ物や飲み物を触らないで下さいね」

「あ、はい」


オルカたちは緊張した様子でうなずいた。ロッコはそのまま奥へ目指して、近くにある部屋に入った。


「おい、起きろ!」


ロッコは横たわった一人の男を蹴って、起こした。すると、その男は目を覚まして動こうとしたけれど、オルカたちの方が早かった。


「質問に答えて。アイデンバーグ子爵は何のつもりで傭兵を大量に雇ったの?」


ロッコは柔らかい口調で聞いた。


「し、知らん」


その男が首を振って、そう答えた。ロッコはポケットから針を出した。


「傭兵らはここから調達されたことは分かってるんだ。だから正直に答えて」

「言うもんか!」


ブスッ


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


ロッコが突然手に持った針をその男の首に刺すと、あまりの痛さに彼は大きな声で叫んだ。


「だから、正直に言って、と言ったけど」


ロッコは涼しい顔でその男に声をかけた。


「ほ、本当に、知らないんだ」

「あんたは俺に嘘をしない方が良い。あんたの頭に、印があったんだ。あの傭兵たちの仲間でね」


ロッコがその男の頭に指でツンツンした。オルカはロッコがツンツンした男の額を見ると、確かに小さな印があった。赤い楕円型の印だった。


言い逃れができない印だ。どれだけ優秀な術か、とオルカは息を呑んだ。そのオルカの様子に気づいたシャークもまた息を呑んだ。


とんでもない実力だ、とシャークは思った。


「で、そろそろ白状しな。時間がないの」


ロッコが言うと、その男は震えながら首を振った。ロッコはため息付いて、立ち上がった。


「本当に時間がないの。本来ならば、あんたをじっくり相手にしても良いけどよ、今回はまじで時間がない」


ロッコがため息をして、その男性の周囲にある物を物色して、適当にその男の周りに投げ込んだ。オルカたちは互いに顔を見合わせて、ロッコを見ている。


「そこの暗部、そこからどきな」

「あ、はい。彼はどうしますか?」

「そのままで良い。あいつはもう逃げられないから」

「分かりました」


ロッコが言うと、暗部隊員たちはうなずいて、その男性から離れた。


「あんたは正直に言わないと、死ぬことよりも大変な地獄を見ることになるから、なるべく、正直にな」

「・・・」


男性はただロッコを睨みつけた。


「あんたの名前は?」

「・・・」

「分かった」


ロッコはため息着いた。そして先ほど置いたその男性の物に手をかざした。すると、複数の光が現れて、彼の体に貫いた。男性は震えながら、ロッコを見て口を開いた。


「こ・・殺して、くれ」

「いやだね」


ロッコは首を振った。


「あんたの名前は?」

「・・・」


その男性が質問に答えなかったから、ロッコはまた手を動かした。すると、赤い光が現れて、男性の体を貫いた。夥しい血がポタポタと男性の体から噴き出すと、オルカたちはただその様子を見て、息を呑んだ。


恐ろしい術だ。誰一人も、ロッコの口から呪文を聞いた人はいなかった。


「回復魔法」

「殺せ・・」

「あんたの名前は?」

「殺せ!」


男は大きな声で言った。


「仕方がない」


ロッコは動いた。そして、手を男の頭をつかんだ。次の瞬間、男の目が大きく開いて、ロッコの手をつかもうとした。けれど、数秒後、彼は力尽きて、跪きながらロッコを見ている。


目が死んだ魚のようだ、とオルカは思った。


「・・アブ・タミン」


男性の口が開いて、ロッコの質問を答えた。


「アブ・タミン、アイデンバーグ子爵は何を企んでいる?」

「・・狩り」

「狩り?」


ロッコは思わずアブ・タミンの言葉を言った。オルカたちも首を傾げて、考え込んだ。


何を狩るつもりか?


「傭兵をたくさん集めて、狩りするためだったのか?」

「・・はい」

「何を狩るか、彼は言った?」

「・・いいえ」


アブ・タミンは無表情で答えた。


「アイデンバーグ子爵は、皇帝エフェルガンか、皇后ローズか、どちらかの名前を口にした?」

「・・いいえ」

「ふむ。アイデンバーグ子爵は何人ぐらいの傭兵を依頼した?」

「・・500人」

「その500人は、どこから調達した?」

「周囲の島々から、・・モルグ人傭兵」

「どうやって?」

「・・船で調達した」

「なるほど」


ロッコはうなずいた。


「後は、そうだな・・、ジョハル・アルウィ、アルウィ伯爵の孫を誘拐したのは、あんたらか?」

「・・いいえ」


彼の答えを聞いたロッコは考え込んだ。


「あの、ロッコ殿」

「ん?」


声をかけたのはオルカだった。


「あの者に聞いても良いですか?」

「良いよ。何?」

「アイデンバーグ子爵は誰と一緒に狩りをするつもりか、と聞いてもらいたいです」

「あい」


ロッコはうなずいた。そして同じ質問をして、アブ・タミンに訊いた。


「・・アクバー・モーガン」

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