表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人形姫ローズ  作者: ブリガンティア
アフター・ウォーズ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

768/811

768. 襲撃の真相(31)

翌朝。


ロッコとアルは朝餉のために起きて、宿を後にした。警備隊が走っている姿が見えたものの、ロッコは気にせず、アルを連れて食堂へ向かった。朝餉をさっさと食べ終わらせて、二人は早速その村から出て行った。


「グスタフさんは気になりませんか?」

「ん?」


その村から出て行った時に、アルが警備隊の動きに気にしている様子をしながら、ロッコに聞いた。


「まぁ、気になっても、何か役に立つこともなさそうだし、今のうちに村から出た方が無難だよ」

「無難・・」

「だって、問題が起きたら、俺たちが動けなくなるんじゃないか?下手したら、罪を押しつけられることだってあるんだよ?」

「あ、・・そうですね」


アルはロッコの言葉を理解して、うなずいた。


「そこまでお考えになったのですね」

「ははは、新しい視点か?」

「はい」


アルがうなずいた。


「第一、俺たちと関わりのない問題は、可能な限り首を突っ込むべからず」

「はい」


アルがうなずいた。二人ともまた馬を走らせて、ダンスクの町へ向かった。


いくつかの村に休憩を重ねて、太陽が沈む前に二人がやっとダンスクの町に着いた。ロッコとアルは宿に向かって、部屋を取っている。アルが馬たちの世話をしている間に、ロッコは町を歩いて、観察している。


ここでも必ずイブラヒム・ジョナスの拠点がある。ロッコはなんとなくそう感じて、周囲を見渡した。


そして、暗部の「勘」は大体当たる。なぜなら、町のど真ん中に、「ジョナス衣服問屋」があるからだ。


ロッコがその店の周囲を観察しながら、適当に周囲にある店や屋台を見ている。そして彼は再び宿へ戻った。


「あ、グスタフ様」


宿に戻ったロッコに声をかけたのはアルだった。


「どうした、アル?」

「用事はお済みでしたか?」

「残念ながら、まだだ。探したものはなかなか見つからないからな」


ロッコが落胆した様子で首を振った。


「そうですか」

「まぁ、でも他の町にはあるかもしれない。ここからだと、大きな町はあるか?」

「ドスティナの町ならここから北東にあります。距離は遠くありません」

「北東か。なら、今日は旅の準備して、明日の朝、朝餉の後行こうか」

「はい」


アルはうなずいた。


「じゃ、俺は少し疲れたからしばらく休んでおこう。夕餉の時間になるころ、俺を知らせてくれ」

「はい!」


ロッコが微笑んで、アルを見ている。


「後、前の町もそうなんだけど、可能な限り、あまりうろうろしない方が良い。この町も、強盗が多そうだね」

「強盗・・。分かりました!少し買い物だけをして、すぐに戻ります」


アルが早速頭を下げてから、急いで宿の前にある食料品店に走った。


『ゼルミウス、アルを守れ。必要なら、彼を襲った輩を殺せ。自然死に見えるように、ね』

『御意』


影から黒い服の者が見えて、そのまままた消えた。ロッコは何も言わず外を見てから、部屋の中に入った。


ロッコは服を脱いで、冷たいシャワーを浴びた。シャワーを浴びている間に、彼はいろいろな情報を受け取った。ゼルミウスが引き抜いた情報もすべてロッコの頭に入った。


シャワーを浴びてから、ロッコはシャワー室から出て行って、カバンから酒を取りだして、飲んでいる。


「グスタフ様、アルです」


外からアルの声が聞こえた。


「もう夕餉の時間か?」

「あ、はい、今日は早めに食べましょうか、と思ったりして」

「ああ、分かった。今から着替えてくる」

「はい、ここでお待ちします」


ロッコが変化を整えて、新しい服に着替えて、外へ出て行った。部屋の外で、アルが不安そうな顔で立っている。


「どうした?」


ロッコが聞いた。


「さっき、買い物が終わったら、宿に戻ろうとしたとき、店の外で人が突然倒れました」

「それは大変だね」

「はい。私は動こうと思ったが、緊張したか、体が動かなくて、見ているだけでした」


アルが言うと、ロッコは微笑みながら彼を見ている。


「まぁ、気にするな。あんたのせいではないし、他の人もいるから問題ないはずだ」

「はい・・」

「びっくりしたのか?」

「はい、そうですね」


アルは恥ずかしそうにうなずいた。


「じゃ、行こうか。さっき市場で立派な料理店を見た。まだ準備中だったが、今ならもう開いているだろう」

「はい」


二人が宿を出て、市場へ向かった。昼の賑やかさと違って、夜の賑やかさもある。アルはそんな夜の風景はあまりなれていないせいか、キョロキョロしている。ロッコは笑って、アルの肩を軽く叩いて、料理店に入った。


とても高そうな場所だ、とアルは思った。けれど、ロッコはためらいなくその料理店に入って、メニューを受け取った。


「食べたい物があれば、何でも良いよ」

「ですが・・」


高すぎる、とアルは価格を見て、息を呑んだ。


「値段は気にしない。俺が払うから」

「は、はい。じゃ、このメニューを・・」

「ステーキか?」

「はい・・、食べて見たい・・です」

「ははは、分かった」


ロッコがうなずいて、コースメニューを頼んだ。店員はうなずいて、念のために前払いを要求した。ロッコはお金を出すと、店員は丁寧にそれを受け取った。


しばらくしてから、次々と前菜から料理を出されて、メイン料理のステーキ、最後にデザート。ロッコはデザートをそのままアルに渡して、出された紅茶を味わっている。


「どうだった?」

「美味しかったです」

「それはよかった」


ロッコがうなずいた。


「グスタフ様は普段、このような料理を食べているのですか?」

「いや」


ロッコは軽く笑って、首を振った。


「俺はどちらかというと、屋台が好きだ」

「屋台・・」

「だが、今日はここに来たのは、目的があったんだ」

「目的?」


アルは首を傾げた。


「一つ、この店の方が安全だ。さすがに食べながら、人が刺されて倒れている姿は見たくないだろう?昼間の言ったように、この町にも強盗が多そうだから」

「はい」


アルはうなずいた。


「二つ、高級店は普通の屋台とどう違うか、あんたに見てもらいたかった」

「高級店・・、でもなぜですか?」

「なぜそうしたか、特に理由はない。俺の良心と考えれば良い。だが、これからあんたの人生には、俺のような客はなかなかいないだろう、ははは」


ロッコは笑って、紅茶を飲み干した。そして彼はアルに今日の料金を払った。アルはそのお金を受け取って、頭を下げて、ロッコに感謝した。二人は立ち上がって、店を後にすると、店員らが一斉に頭を下げた。客は神様だ、とロッコは宿への帰り道でアルに言った。


「そこの・・、がはっ!」


市場を出て行くところで、突然大きな男が倒れた。口から泡が噴いて、息苦しそうにしてから、そのまま意識がなくなった。その大きな男の周辺にいる人々が彼を助けようとしたけれど、手遅れだった。ロッコはアルの手を引いて、集まった人々から遠ざけた。


明らかにあれはゼルミウスの仕業だ、とロッコは気づいた。


「あの男はきっと悪い酒を飲んで、呼吸困難になっただろう」

「そのようなことはあるのですか?」

「実際にあるじゃないか?あの大きな男は酒飲みだそうだけど、適当に安い酒を好んで飲んでいたようだ」


ロッコは足を止めて、遠くから倒れた男を見ている。ロッコはその男の周辺に転がっている酒瓶を示した。確かに安い酒のようだ、とアルはうなずいた。


「悪い酒だと、体にとって毒で、時には体が処理できる範囲を超えると、中毒反応として現れるんだ」

「ふむふむ」

「だからあんたも、酒を飲むなら、良い酒を選べよ」

「はい、でも酒は苦いです。あまり好きではありません」

「ははは、そうだな」


ロッコは笑って、うなずいた。


「まぁ、そういうことだ。今日は早めに休もう」

「はい」

「前の町と同じく、夜、絶対部屋から出ないこと。そして、ノックされても、開けないことだ」

「はい」


二人が宿へ戻って、それぞれの部屋に入った。


その夜、町一番の店、ジョナス衣服問屋にいた全員が、謎の死を見舞われてしまった。けれども、彼らが発見されたのは次の日の昼ごろだった。その時、ロッコとアルはもうすでにダンスク町を後にしてドスティナへ向かった。





ドスティナはエングラシア島では比較的に中央に位置する町だ。大きな町で、今までロッコが訪れたこの島の町々と比べると、エスカンダリアと同じぐらい大きな町だ。


イブラヒム・ジョナスがこの町に行く理由はなんとなく分かった、とロッコは思った。


それは、権力だ。


エルムンドの権力がいくつか分散された。ただの暗部であるイブラヒム・ジョナスはわざわざ二重スパイをしなければならないほど、お金に困っていた。けれども、彼のおかげで、エルムンド王国とエスティナモルグ王国が良い関係でいる。彼の功績もあって、中央にいる宰相らは彼にアルハトロスへの攻めるための計画を託した。そして暗部であるロッコでさえ気づかないほど、里の至るところを記憶した。


里にとって、もっとも危険な敵となったイブラヒム・ジョナスを殺す必要がある。ロッコはそのイブラヒム・ジョナスを殺すために、ここまで来た。二度とローズと里を困らせることができないように・・、とロッコは思った。


「今日はここで泊まりますか?」

「うーん、どうしようか」


ロッコが考え込んだ。


「とりあえず、馬を休ませて、俺たちが昼餉を食べに行こう」

「はい」


二人は市場の近くで馬を止めた。アルはバケツを持って、近くの井戸で水を汲んで、馬たちに飲ませた。それが終えると、二人が屋台へ向かって、食事した。


「この町では、旅人のために、宿以外で、休む場所はあるのか?」

「休憩ありと看板を掲げている馬屋なら可能です」

「なら、あんたはしばらくそこにいて欲しい」


食事を終えたロッコ達が馬を連れて、しばらく町で歩いている。


「あの看板の馬屋で良いのか?」


ロッコは「休憩あり」という看板を見て、アルに尋ねた。


「はい」


アルがうなずいた。二人がその馬屋に行った。ロッコは馬屋の主人にお金を払ってから、アルと馬を置いて、再び市場へ向かった。


『イブラヒム・ジョナスはこの町から発ちました。目指すはイルザビアという町でございます』

『この町では、奴の仲間はいるのか?』

『エングラシア区暗部本部がございます。あと、彼の家族もおります』

『家族は一人残らず、殺せ。暗部本部にいる奴らも、殺せ』

『御意』


ロッコが市場を抜けて、路地裏へ入って、変化した。また別な姿になった彼はそのままゼルミウスが教えた暗部本部へ向かった。


ロッコは暗部本部へ入ると、もう生きている人がいなかった。ロッコは一番上にある部屋へ入って、書類に目を通した。そして数枚か抜いて、魔法でダルゴダス宛てに送った。彼はまた物色して、机の引き出しの中まで確認した。その中に赤いファイルがあった。ロッコはそのファイルを開いて、その中にある書類をじっくりと読んだ。そしてそのファイルもダルゴダス宛てに送ってから、彼は机の上にある紙を取って、何かを書いて、魔法で送った。


宛先はイブラヒム・ジョナスだ。


それは、イブラヒム・ジョナスを恐怖のどん底に追い込むための手紙だ。ロッコが周囲を見てから、消えた。


「アル、もう平気か?」


再び変化を整えたロッコは馬屋へ戻って、日陰で座っているアルに声をかけた。


「馬たちはもう少し休ませた方が良いかもしれません」

「そうか」


ロッコは餌を食べている馬を見て、うなずいた。


「探したものは見つかりましたか?」

「それは手違いで、イルザビアへ持って行かれてしまった」

「・・イルザビア」


アルがポケットからノートを取り出して、確認した。


「ここからずっと西にあります。ここからだと、最低でも三日がかかります」

「三日か・・」


ロッコが考え込んだ。


「魔法屋に行けば良いんだよ、お客様」


馬屋の主人が二人の会話を聞いて、横から言った。


「魔法屋?」


ロッコは首を傾げながら聞いた。


「そう、魔法屋ではここからイルザビアの町まで送ることができる魔法師がいるんですよ」

「ほう?」

「一瞬で行けるよ。ははは、便利だろう?」

「まぁ、な」


となると、その魔法師を殺す必要もある、とロッコは思った。


「その魔法師は昔からやっているのか?」

「いや、前はジョナス家で働いた人だった。つい最近、魔法屋を開いた、とても繁盛しているよ」

「馬を利用する人が減っていくんじゃ?」

「確かにそうだが、こうやって休憩できる場所を提供すれば、それなりに商売になるよ」


それなりに儲かった、と馬屋の主人が言った。結局ロッコとアルはその魔法屋へ行って、魔法でイルザビアの町まで送ってもらうことにした。お金を支払ったと同時に、ロッコは魔法屋にいる魔法師らを一人残さず、殺した。先に魔法の輪っかをくぐったアルと馬たちは、後ろで起きたことを何も気づかなかった。最後に輪っかをくぐったロッコは何もなかった顔で歩いて、周囲を見ている。


「便利だね」


輪っかが消えると、アルがうなずいた。


「はい」

「でも、このような店は大体長持ちしないから、これからは期待しなくても良い」


ロッコがそう言うと、アルと一緒にイルザビアの町を歩いている。大きな港町だ。エムルキアの港町と比べられない大きい町だ。


「なぜですか?結構儲かっていると思いますが・・」

「ドスティナからイルザビアまで、三日間かかると言ったよね?」

「はい」

「その三日の間に、いくつの町や村を通るか?」

「あっ!」


アルは気づいた。


「宿や店・・」

「そう」

「彼らは、仕事を失ってしまう・・」

「その通りだ」


ロッコがうなずいた。


「だからきっと長持ちしないよ」

「はい」


場合によって、暗殺されてしまうからだ。いくら無垢なアルでも、そのことぐらいは理解している。だから彼の父親がいつも言った。


人に恨まれるような仕事をしないように、と。


「今夜はここで泊まる。宿を探そうか」

「はい」


宿を探しながら、ロッコは周囲を見ながら町の雰囲気を楽しんで、アルも物珍しさにキョロキョロしている。二人がしばらく歩いてから、質が良さそうな宿へ入った。ロッコは二人分の宿代を払って、馬を預けた。


二人は軽く市場を回って、いろいろな特産品を見ている。港町だから、外国からの人々も市場で土産物を探して来ている。


「グスタフ様がお探しになるものはここにありますか?」

「んー、どうなんだろう」


ロッコがぬいぐるみを見ながら答えた。ローズのようなかわいい人形がないから、彼はその店を出て、また歩いていく。


「見当たらないからな」

「何をお探しですか?」

「それは秘密だよ、ははは」


ロッコが笑いながら、軽くアルの質問を流した。アルもまた興味津々でいろいろな物を見ている。


「アルは何か欲しいの?」

「お母様の病気に効く薬を探しに行こうと思います」

「母ちゃんが何か具合でも悪いの?」

「はい。時に頭痛がする、と言っていました」

「それは大変だ」


ロッコがまじめにアルを見ている。


「薬屋を探そう」

「はい」


二人がまた歩いて、薬屋を探した。しばらく歩いていると、道の突き当たりに大きな薬屋が見えた。ロッコとアルがその店に入って、店の主人に相談したところで、薬があることを告げられた。


しかし、値段が半端なく、高い。


「無理です」


アルは悔しそうにその薬屋を後にして、ため息ついた。


「さすがに瓶一つで金貨20枚は高すぎるね」

「はい」

「あれは誰が買うんだろう」

「分かりません」


アルは顔を曇らせながら答えた。薬の価格は高いと事前に知っているけれど、まさかそこまで高かったとは思わなかった。


「まさかと思うが、父ちゃんの薬もそのような薬屋で買ったりしてたのか?」

「はい」

「医療師は?」

「その薬屋は、医療師の推薦の薬屋で、そこでしか買えない、と言われて・・」

「そうだったのか」


ロッコが考え込んだ。本当は、ローズに頼めばすぐにでも彼女がアルの母親を治療してくれるだろう。けれど、そうすると、彼の変化がばれてしまう。だから、今はそのようなことができない。それに、今は戦争中だ。ローズの周囲にいる護衛官らとエフェルガンは、敵国であるエルムンドへ行かせるはずがない。


「まぁ、とりあえずあんたは無事にエムルキアへ戻ってから、また考えよう」

「はい」


アルがうなずいた。


「それにな、頭痛の特効薬ってなかなかないのも事実だ。頭痛ってのは、原因がいろいろあるから、ちゃんとした医療師に診てもらってからの方が確実だ」

「はい」

「まぁ、そういうことで、今日は早めに夕餉食べに行こうか?」


ロッコが周囲を見ている。大きな店が彼の目に止まった。


ジョナス料理店。


高級な料理店だ、とロッコは思った。しかし、薬の価格である金貨20枚に手出しができなかったのに、アルは高級料理で食事を楽しめるはずがない。ロッコはそう思って、その料理店の横にある小さめの料理店に入った。庶民がそこそこ楽しめる料理ならば、価格もさほど高くないはずだ、とロッコは思った。


「見たことがない料理ばかりです」


アルはメニューを見て、首を傾げた。


「そう?」

「はい、どれが美味しいか、分かりません」

「そうか・・、うんー、俺も良く分からないから、店の人に聞こうか」

「はい」


ロッコが店の人を呼んで、出されたメニューについて、いろいろと聞いた。彼は適当に注文して、アルと二人で嬉しそうに食べた。


「こりゃ、うまい」

「美味しいですね」


アルもキラキラとした目でまた頬張って食べた。スープの最後の一滴まで飲み干して、嬉しそうに味わった。


「生まれて初めてこのような美味しい物を食べました」

「良かったな」


ロッコは微笑みながら口を拭いた。


「グスタフ様に出会わなければ、このような体験もできません。本当に、ありがとうございます」

「良いって」


ロッコが懐から金貨三枚を出して、アルに差し出した。


「今日の分だ」

「ありがとうございます」


アルはありがたくそのお金を受け取った。ロッコが微笑んで、白湯を飲み干した。


「よし、少し遠回りして、宿へ戻ろう」

「はい」


二人は料理屋を後にして、ぐるっと歩きながら町の風景を楽しんだ。


ロッコは時にいろいろな店に入って、売り物を見ている。アルはロッコの行動を見て、商人が市場で売られている物を視察している最中のようだ、と思った。きっとグスタフは商人だ。またいつか彼が本格的にこの島で商売しに来るに違いない。その時は、ぜひジェント馬屋を利用して欲しい、とアルは密かに願った。そうすれば、母親も安心するでしょう。


「さて、宿へ戻ろうか」

「はい」


ロッコが言うと、アルは希望に満ちた笑顔でうなずいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ