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人形姫ローズ  作者: ブリガンティア
小さな魔法戦士
30/811

30. オオラモルグ王国 皇子救出作戦(1)

「ジャタユさん。水面に術らしき物があったからので、飛行部隊を止めて下さい」

「了解」


いつの間にかローズは司令官になっている。そう、スズキノヤマ帝国の皇子、エフェルガン皇子の救出作戦にて、スズキノヤマ帝国とドイパ王国は同盟を組んで行っている作戦である。ローズたちはアルハトロスの都奪還の恩義の関係で、今回ドイパ軍として、この作戦に参加している。金の能力を持つローズは指令官になって、情報のやり取りを行っている。リンカは敵領内に侵入する役目があって、極めて危険な任務になっている。またミライヤはジャタユとペアを組んで、今上空にいる。柳とダルガは突入班になった。彼らは万が一リンカの身に危険が迫る場合、応援に行くという立場になり、前線で待機している。


ローズの守りとして、複数のドイパ国の武官とスズキノヤマ国大使のズルグンがついている。柳とリンカとジャタユにリンクで繋がっていて、最新情報と分析を行っている。リンクがこの三人で限界なんだ、とローズは思った。鈴のような、数十人との連携はまだ無理だ。


ちなみに身につけている防具は、ジャタユが提供してくれた軽装備一式だった。ドイパ王国王家の紋章が刻まれているけれど、実はこれは第一王子の息子からの借り物だった。質も良くて、サイズもぴったりだった。


(術式が海の上か?)


ミライヤはジャタユ経由で上空から確認している。


「はい、水に強い紙のようなもので、海面から海岸まで浮いているの。それを何とかしないと、リンカさんは無事に侵入できない」

(そうね。水の下からなんとかできないか)

「確認します」


ローズは近くの暗部の者に頼んで、海面の下から反応を調べてもらうように指示した。しばらく待つと暗部からの連絡があって、どうやら海面の下なら、反応がなさそうだ。


「リンカさん。海を潜ることができるんですか?」

「うむ・・」


リンカに聞くと、彼女が少し困っているようだ。


(リンカさんはあまり潜るのが得意じゃない)


ローズがリンカの答えを伝えると、全員困った顔になった。


「困ったね。私と潜ろうか?水に入れない箱とか袋に入れておけば、濡れずに済むと思うけど」


ローズが提案すると、周囲が一声に「ダメ」と反応した。


「司令官は自ら侵入行動をしたらどうするんだ?」

「危険すぎる」


同じ部屋にいる人々がそう言って、とても困った、とローズが思った。潜るのが上手な暗部いるかな・・。


(俺がリンカさんを連れて行こうか?)


柳からの反応がある。けれど、彼女がまた考えてしまう。


「柳はダメ、昨日潜るのにできたばかりだ。それに罠も多いから、どこから引っかかるか、分からない。結構距離もあるし、一度は海面に出て、空気を吸わないと溺れてしまうよ」


ローズが言うと、柳が少しがっかりした。けれど、それが最善だと彼女が思った。


「私がやりましょう」


以外な人は声を上げた。ズルグン大使だった。


「ズルグンさんは泳げるんですか?というか、潜れるんですか?」

「こう見えていても得意ですよ。それなりの腕があります。長く息を我慢することもできますよ」

「え?すごい!」

「はい」

「では、リンカさんを任せます。水に濡れないように革袋を用意してもらって、リンカさんをその袋の中に入って、海岸の近くまで運んで下さい。念のために、リンクかけてみます」


四人目のリンク、うまくできるかどうか分からないけれど、やってみるしかない、とローズがリンカを見ている。


「はい」

「でも、ズルグンさん。これはとても危険なので、できるだけ海面の術を触らないで下さいね」

「分かりました」


ズルグンはうなずいて、服を脱いで、泳ぐための服に着替えた。大使にしては、彼の体がとてもガッチリとした体格だ。体に複数の傷跡があって、武人だったかもしれない。ズルグンの年令が不明だけれど、声の感じから聞くと、初老ぐらいだ、とローズは思った。


黒猫のリンカは用意された皮袋に入って、袋の中から封した。夜の海はとても冷たいから、心配だ、とローズは思った。けれども、これ以外の方法はない。術を壊せば、敵にばれてしまうので、皇子の命が危険になる。ちなみに魔法をかけることができない。その術式は魔法に反応してしまう可能性があるからだ。


「ズルグンさん、聞こえますか?」

(ほう、あ、はい)

「じゃ、これからズルグンさんと優先にリンクを行う。ズルグンさんが見たものは、私にも見えるので、指示に従って下さい」

(はい)

「では、お気を付けて、リンカさんを運んで下さい」


ズルグンさんはゆっきりと海に潜る。夜の冷たい海水はかなりきついでしょうけれど、がんばってもらうしかない、とローズは思った。一番難しいのは、外側にある術式から海岸線までの距離はほぼ2-3キロある。念のために、空気を吸うためのシュノーケルのようなものを渡されたけれど、海面に上がるときに術式に触らないように注意をしなければいけない。まだ一度しか潜ったことがない柳にはかなり無理があるだ。


1キロ順調に進んだ。見事な泳ぎだ、とローズは思った。さすがだ、としか言えない。ズルグンは海面からずっと下にもぐっていて、波すら起こさないほどの泳いでいる。まるで魚のようだ。少し上にあがって空気を吸って、またゆっくりと潜った。2キロ時点までクリアだ。そろそろ海岸が見えて浅くなっている。


「リンカさん、そろそろ準備して下さい」

(あい)

「ズルグンさん、ちょっと目を借ります。海岸をできるだけ周囲に」


ズルグンは注意深く海面の海岸を探して、頭を出して周囲をみている。どうやら、浜辺には術があまりないと見える。リンカが入っている袋を海面から出して少し進んだところに、ローズはリンカを出す指示を送った。猫姿のリンカは一飛びで無事に海岸に着地し、オオラモルグ領内に入った。ズルグンは再びローズたちがいるところに戻るようにと指示した。合流したら、リンクを解除する、とローズは言った。


スズキノヤマとドイパの軍勢はオオラモルグの周囲に集結し始めた。この辺りに小さな島々が多く、隠れるには適した地形でもある。当然、敵の潜伏も考えられるから、その辺は暗部や偵察部隊に任せている。ローズよりも、実際に戦術に詳しいジャタユたちの方が分かるからだ。


ズルグンは青い顔でローズの近くに来た。無事に戻ったようだけれど、寒そうだから、ローズはズルグンに回復魔法をかけた。火属性をまぜて温かくなるでしょう、とローズは思った。


「ありがとうございます」

「いえいえ。お疲れ様でした」

「ローズ様は魔法が得意ですね」

「うむ、得意かどうか微妙だけど、魔力はそこそこあるから、役に立ちそうな魔法を覚えるだけです」

「ほほう。先ほどのリンクやら、私にとって初体験です。便利ですね」

「あはは、なんとかうまくいっただけですよ」


ローズが魔法を止めて、うなずいた。


「リンカさんは今どうなっているのですか?」

「今町を歩いているそうだ。猫だからまったく気づかれずにでいるみたいだ。周りの野良猫とほぼ同じだからな」

「見えるんですか?」

「ええ。今リンカさんが見るものは私の頭にも入っています」


ローズがうなずいて、ズルグンを見ている。


「なんと!」

「でも、できれば私の能力を秘密にして下さいね、ズルグンさん」

「はい、分かりました」


ローズの頭の中に入ってきた映像に、飛行船のようなものが見えた。どうやらリンカはとても高い建物の上にいるようだ。周囲を見回ると、政府機関っぽいの建物や、市民が住んでいる建物がある。アパートのような建物が数多く、どうやらモルグ人はその建物に多く住んでいるようだ。モルグ人以外にもいくつかの種族がいる。市民らは首に身分証明書のようなタグがついている。それは市民を区別をするためだ、とローズは思った。基本的にモルグ人は自分たち以外の種族を生け贄対象にする、とローズは教科書で知った。果たして本当かどうか、誰も分からない。けれども、彼らは平気に周りの島々や村を襲い、数多く人々を魔石に閉じ込めたことも事実である。


景色が変わり、リンカは町の中に歩いているようだ。数匹の雄猫が一所懸命リンカにアピールをしている。どうやら発情の時期だ。リンカはうんざりして、その雄猫たちをふりきって走った。なんだか、とてもモテモテだった、とローズは思わず笑った。


リンカは一つの建物に足を止めた。何かを感じたようだ。周囲を確認して、建物の周辺をまわって歩いた。空いている扉を見つけて、リンカはその建物の中に入った。気配を消して、いくつかの部屋に入った。その場所で働いているモルグ人が見えた。リンカは気づかれないように、あちらへ、こちらへと移動しながら、様子を探っている。そしてある物に気づいた。


魔石の山だ。


けれども、探した物はそこにはないようだ。エフェルガン皇子が閉じこめられた魔石の色は黄色か金色のようだと聞かされたため、そこにはなかった。ほとんど赤い色ばかりだった。多分別の所にあるのでしょう。


リンカは素早く次の部屋に入った。誰もいない。書類がいっぱいあっただけで、何も手がかりがない。次の部屋はしまっているため、先に別の部屋に向かうとしている。上の階の会談が見えた。人の気配があったから、リンカはじっと動かなかった。扉が開いて、その中から一人のモルグ人が出た。彼女は素早くその扉に向かって、走り出した。ぎりぎりと間に合って、入れたけれど、扉がしまった。中には誰もいない。そしてあの黄色い宝石が、そこにあった!


「ジャタユさん、黄色い宝石見つかったけど、どうします?」

(エフェルガン皇子の気か、どうか、探れない?)

「私はエフェルガン皇子のことが知らないけれど、どうしたらそれが分かるのですか?」

(ズルグンさんに聞けば何か分かるかもしれない)

「了解」


ローズはズルグンに聞いてみると、エフェルガン皇子は15歳ぐらいの年令で、とても魔力が強く、聡明な皇子であることを教えてもらった。ただその日は不運に罠に引っかかってしまって、魔石にされたという。その宝石は皇子なら、何らかの方法でリンカの問いかけに答えることができるかもしれない。


(分かった。探ってみる)


リンカからの返事だった。けれど、ダメだった。外からの問いかけに全く返事がなかった。


ローズは少し考え込んで、その宝石に探ることにした。名前を呼んでみることにした。金の能力なら通じるかもしれない。


「エフェルガン皇子・・聞こえますか?私はローズです。聞こえたら返事をして下さい」

(・・はい・・)

「良かった!これから助けるね!」


弱い返事がまた聞こえた。リンク確定!ローズが2回ほどと同じ質問をしたら、同じ答えが出た。彼女は確信した、この黄色い魔石の中に皇子がいる!


「ジャタユさん、エフェルガン皇子が確認されました」

(よくやった!こちらも突入準備する。ミライヤ、下の術を破壊してくれ)


ローズがジャタユに連絡した。


「リンカさん、その宝石をなんとか安全な場所に持ってきて下さい。必要なら、猫から人型になって下さい。ジャタユさんが動き出したら、開始する」

(あい)


リンカに連絡した。


「ジャタユさん、破壊しつつ、遠距離魔法を展開して下さい。柳は突入班と連携をとって、リンカさんと合流して下さい」

(了解した)

「ズルグンさん、ズズキノヤマは同じ方法で侵入してもらいます。念のため、敵の飛行船に注意して下さい。あれは魔法攻撃に強いけれど、物理攻撃に弱いから、有効です」

「分かりました」


ズルグンはズズキノヤマ軍に連絡を行い、素早く連携体制に整える。両軍は海面に浮いている術式を破壊し始めた。


(こちらは突入班。道が開いた)


柳からの連絡が入った。それをジャタユに伝えた。


「突入班、行動開始せよ!」

(了解した。突入班、行動開始!)


上から下、下から上、右から左、左から右へ、すべてローズの中継で繋がっている。


「柳にバリアー!、ダルガさんにはバリアーがかけられないから注意して下さい」

(了解)


柳に連絡を入れた。


「リンカさんにバリアー!速度増加エンチャント開始!行動を開始して下さい。合流場所は海岸の道あたりです」

(あい)


リンカにも入れた、とローズが思う。


(こちらジャタユとミライヤ、術式の掃除終了し、これから上から攻撃を行う)

「了解。下を先駆けてリンカさんのいるところを目指して下さい」

(了解)


ジャタユとミライヤの攻撃で、リンカが動いている。


「人が来る」


リンカの声が聞こえた。


「リンカさん、窓から出られるなら、出た方が良いかもしれない。上にミライヤが向かっている」

(窓がない)


これは良くない展開だ。ジャタユ、急いで!、とローズが緊張した。


「戦闘する」


人型のリンカは武器を準備した。援軍が望めない、今の状況は死闘になる可能性がある。


「リンカさんに攻撃力増加エンチャント!」


遠距離からこの支援ができるのはローズだけのようだ。本当に便利な能力だ、とローズは思った。


ズルグンは細かい指示をズズキノヤマの兵士らに伝えて、伝令役がかなり忙しくなっている。


「ズズキノヤマ軍は術式の掃除完了しました!これから突入します」

「分かりました。ありがとう、ズルグンさん」

「はい」


そしてローズが再び集中して、ジャタユに指示を出した。


「ジャタユさん、急いで下さい。リンカさんは今戦っている最中だ」

(今向かってる!どの建物だ?)

「中央公園から一番高い建物のようです。恐らくその辺りだと思う」

(了解した。ミライヤ、派手にやれ!)


ジャタユがそう言いながら、ミライヤに言った。


「突入班、状況はどうなっている?」

(今戦闘中。まだリンカさんが見あたらない)

「分かりました。気を付けて下さい!柳にバリアー!、速度増加エンチャント!、攻撃力増加エンチャント!」


リンカから連絡が入った。


(二人処理した。今から脱出する!)

「リンカさんにバリアー!、速度増加エンチャント!、攻撃力増加エンチャント!」


そして、ジャタユにも連絡を入れないといけない。


「ジャタユさん、スズキノヤマ軍は南から突入した。ドイパ軍は今どの辺りにいるの?」

(中央に到着した!あ、リンカさんが見えた!)


どうやら先にリンカを見つけたのはジャタユだった。


(柳だ。リンカさんが見えた)

「柳、リンカさんの援護を!」

(了解!)


柳にもリンカを守るようにと命じた。


「リンカさん、ジャタユさんと合流して、皇子の魔石をできれば渡して下さい」

(今、無理)


リンカの映像に合わせると、リンカは二人のモルグ人剣士と戦っている最中だ。かなり腕がたつ剣士だそうで、リンカがかなり苦戦になっている。とても連携が整えている剣士二人で、素早い動きをしている。体術も時に使い、蹴りや剣で恐ろしく、リンカを攻撃している。


柳はリンカがいる所に到着した。柳は参戦したことで、相手は1対1に変わった。敵の一人は柳を素早く攻撃した。そのスピードが恐ろしく速い。明らかに相手の方が上だ。


「柳にバリアー!速度増加エンチャント!攻撃増加エンチャント!」


リンカを見ると、敵が傷を負ったようだ。それでなんとか、余裕が出てきた。スピード対スピード、武器と武器のぶつかり合いで、火花が出てきたり、かわし合い、鮮やかな攻撃の連続が続いている。一方、柳は逆に今苦戦をしている。敵の蹴りが入ったけれど、バリアーのおかげで、何とかなったようだ。ダルガが見えているからなんとかなりそうだ。


「柳にヒール!」


遠距離から回復魔法を行った。段々と集中力を上げたローズの体も光っていてしまう。


上から攻撃がバンバンと落ちて来た。ミライヤは上空から街を燃やしている。また地上に攻撃を展開させた突入班に対してモルグ人の兵士達が応戦した。悲鳴や叫び、そしてパニックになった市民らは走って、ジャタユの目線から見えている。


その時、一機の飛行船を上空しているに見える。あれは迎撃ができるタイプだ!、とローズは気づいた。


「ジャタユさん、飛行船が動いた!迎撃に注意!」

(了解!あの飛行船だね!ミライヤ、行くぞ!)

「ジャタユさんに攻撃力増加エンチャント!速度増加エンチャント!、バリアー!」


ジャタユは、素早く攻撃を回避して、すごいスピードで突撃した。なんと、この人は、めちゃくちゃ強かった!、とローズがびっくりした。彼はミライヤを背中に乗せたまま、突然と人型になって、その拳で飛行船の尾翼を破壊した。飛行船の上に足を踏みいるミライヤを素早くつかまえて、落ちて来る飛行船から上に高くジャンプして、一瞬で鳥の姿になった。あの二人はすごく良い連携になっている。


ジャタユは再び上空高く飛ぶことにして、下の状況をローズに見せてくれた。地上に落ちて来た飛行船は、炎上して、夜の空に黒煙が上がっている。他の飛行船が飛ばない用に、地上にいる部隊が破壊に動いている。またスズキノヤマ軍も所モルグ軍と衝突している。町は攻撃を受けて破壊されて、燃えている建物が数多く見られた。


敵の剣士と戦っているリンカは体制を逆転にし、敵の喉に剣で斬った。大きな悲鳴とともに、命奪われたモルグ人剣士の遺体がリンカの視線から見えた。かなり苦戦したようだ。レベルSのリンカは、こんなに苦戦になったとしたら、柳はピンチになる可能性が大きい。実際に柳の視線に切り替えれば、その通りだった。ぎりぎりと攻撃を交わしたところで、敵の蹴りや剣の攻撃が入り、複数の切り傷が見えた。援護しないとまずい!、とローズが思う。


「柳にバリアー!ヒール!速度増加エンチャント!攻撃力増加エンチャント!」


それでもかなりきついようだ。ダルガは別の剣士の相手にしている。リンカは戦闘離脱し、皇子の魔石をジャタユに渡す方法を探る。彼女が素早く建物の上に登り合図をした。するとジャタユは素早く動きリンカの手を取って、背中に乗せた。


(リンカさんを回収した)


ジャタユの声が聞こえた。


(中にまだたくさんの魔石があるんだ。どうする?)


リンカが聞いた。


「まず王子の魔石をこちらに戻して下さい、リンカさんは別行動しても構わない。ジャタユさんはとりあえず、戻ってまた後でリンカさんの回収お願いします」

(了解した)


ジャタユとリンカが返事した。


「リンカさんにヒール!バリアー!速度増加エンチャント!攻撃増加エンチャント!」


リンカはミライヤに黄色い魔石を渡して、再び下に降りて行く。空中でピンチになった柳に敵へ魔法攻撃を放つ。


(火炎砲!)


ドーン!


その魔法の攻撃が敵に命中した。敵はもがきながら命を落としたようだ。


(助かった!)

(よかった。まだ来るよ、気をつけて)


柳がリンカに礼を言った。


「柳に、ヒール! バリアー!」


とりあえずローズが柳に回復魔法を与えた。


(柳、ダルガ、一緒に来て!)


そう言いながらリンカは再びあの建物に入ろう、と指示した。飛行船が落ちてきたあの建物は半壊状態になった。まだその下に大量の魔石がある。三人はその半壊した建物に向かって走っている。リンカの目線の画像から見ると柳の顔には疲れや痛みが現れている。数人の暗部隊員らも合流して、リンカの指示を従う。


「入る前に探知魔法をかけて下さい」


ローズが念のために指示を出した。ここはモルグ人の軍事施設だから何が出るかが分からない。


(ごめん、使える人がいない)


リンカが返事した。


「了解しました。なら、こちらからかけます。目を貸して下さい、リンカさん」

(あい)

「探知魔法!」


遠距離から探知魔法なんてかなりの無謀だ。ただですら、この魔法がとても集中力を必要としたのに、と彼女が思った。けれど、大切な人々をこれ以上危険にさらされるわけにはいかない。


「リンカさん、先の入り口の近くに熱反応がある、全員注意して・・」

(皆、伏せて!)


ドーン!


高エネルギー的な攻撃が放たれた!


「柳!!」


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