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人形姫ローズ  作者: ブリガンティア
スズキノヤマ編

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135/811

135. スズキノヤマ帝国 タマラ戦争(4)

ローズが目が覚ました時はもう日が暗くなった時だった。部屋の灯りに照らされて、隣のソファでハインズとエファインが本を読んで、座っている。彼らはずっとそこにいたようだ。


「そろそろかな? おお、起きましたか」


ガレーの声が聞こえた。彼はローズの熱と脈を測って、起こした。そして手に持ってきた白湯を飲ました。朝で感じなかった喉の痛みが今になって感じた。


「ガレー、喉が痛い」


ローズが訴えると、ガレーはうなずいた。


「それは毒の反応ですね。明日、治ります。今夜は少し我慢して下さい。夕餉の後、また薬を出しますから」

「うん。ジャンは今どうなった?」


ローズが尋ねると、ガレーは優しい笑顔を見せた。


「大丈夫ですよ。ジャン殿はとても体が丈夫な人です。まだ熱がありますが、今夜の山を越えれば、きっと明日元気になります」

「まだ山を越えていないのか」

「はい。でも薬は効いているから、大丈夫ですよ」

「ジャンも毒にやられたの?」

「はい。ただ毒の種類が違いました。彼らが受けた毒の種類の方が即死に至りますが、ローズ様への毒はじわじわと内臓を破壊してから、数日後で死に至る毒でした」


ローズが息を呑んだ。なんだか、嫌な毒だ、と彼女が思った。


「うむ」

「でも解毒を飲ましたので、大丈夫ですよ」

「ガレー、私に毒について詳しく教えて下さい」

「それはなぜですか?」

「前に言ったと思うけど、もし周りにガレーのような毒に詳しい人がいなければ、大変なの。だから知識さえあれば、なんとか自分自身や周りの人を助けることができる」


ガレーがしばらく彼女を見て、考え込んだ。そしてしばらくしたら、彼が微笑んで、優しい表情でうなずいた。


「分かりました。あとで殿下と相談しましょうね」

「はい、お願いします」

「では、夕餉を運ばせましょう」


ガレーが立ち上がって扉の前で待機したフォレット達に合図をした。お粥やスープ、そして葉っぱで包まれている蒸し料理が並べられてきた。間違いなく病人食だ、とローズが思った。しかもとても柔らかく作られている。喉に労っているのか、とても優しい味だった。夕餉終えると、彼がまたローズに薬を飲ました。普段よりもこの薬の苦さで苦みが増している。頭痛がしたぐらい苦い薬だった。これが毒消しか。


ロッコのは・・今思い出してはいけない、とローズが涙をしながら薬を飲み込んだ。ロッコに口移しで解毒を飲まされた時は死にそうだったからまったくときめきを感じなかったが・・、人妻になった彼女はもうそのようなことを思い出してはいけない・・、と彼女が思った。しかし、余計に思い出してしまった。エフェルガン、ごめんなさい。ローズは目を閉じて、気持ちを整理した。


「大丈夫ですか?お顔が赤いですよ」

「薬が・・苦い!」


ローズがごまかしながら言った。


「仕方がありません。では、本日の甘い物を出しますね」


ガレーは使用人が運んできたお皿を取り、ローズの前に置いた。パッションフルーツのような甘い香りの果物の種が寒天でかためて、その上にカスタードクリームのようなソースがかかっている。食べるとプチプチで・・、あっさりとした寒天と濃厚なソースがとてもマッチしている。


美味しい・・。私は多分・・死んで、生まれ変わるなら、ガレーの嫁さんになりたい。このスイーツは美味しい・・美味しすぎる。エフェルガン、ごめんなさい。あなたの妻がスイーツで心が揺れてしまう、とローズは心の中で叫びながら思った。


スイーツの幸せの時間が終わってしまった。ローズははしたないぐらいスプーンで残った一欠片を舌できれいになるまでなめた。美味しかった。美味しすぎた、と。


護衛官達も食事をしなければいけないので、今度はジャワラとミルザがハインズとエファインの代わりに入ってきた。使用人が食器を片づけてから、ガレーとフォレット達は退室した。


次はリンカが入ってきた。風呂場を用意してくれて、ローズの風呂を手伝ってきた。今部屋の中で護衛官がいるので、着替えも全部風呂場で済ました。部屋に戻ると、リンカはローズの髪の毛を乾かした。


「リンカ、犯人は捕まった?」

「ええ、あっさりと」

「そうなんだ」

「ケルズから逃げられる人はいないよ」

「それほどすごい犬なんだ」

「あれは地獄の犬で、使い魔の中でも高位の存在よ」

「そうなんだ」

「まぁ、ファリズなら平気に使うけどね」

「扱いにくいの?」

「ええ。下手にすれば、召喚した者を焼き殺すほどの凶暴な犬よ」

「ひぃ・・」


ローズが怖そうな顔をすると、リンカが笑った。


「ファリズは今ポポと一緒にメギケルという奴を追っているらしいよ」


リンカはローズの髪の毛をタオルで乾かしながら言った。


「メギケル・・あれってガリカの町の事件に関わっていた人物だよね?」

「ええ」

「メギケルはここにいたの?」

「そう。捕まった奴が自白したの。メギケルはローズが欲しいって」

「あれ?私を拉致した人は、私を殺したいと言ったけど」

「最初の計画は違ったらしいよ。その人は、ローズと喋ってから、殺気が芽生えたらしいって」

「うむ」

「もう忍び込む敵を許さないから大丈夫よ」

「うん」

「さて、髪の毛が乾いたよ」

「ありがとう、リンカ」


リンカはローズの髪の毛にクシでといて、きれいに整えた。


「ローズ、この戦いはスズキノヤマの国内問題なんだから」

「うん」

「私はファリズと同じく手を出さない」

「うん」

「でも、ローズに悪いことをする人がいたら、例えその人は殿下の身内でも、滅ぼしてやるよ」


リンカがそう言うと、ローズがうなずいた。


「うん・・ありがとう」

「いいえ。これはダルゴダス様の命令よ。実行するので、そのつもりよ」

「うん、分かった」


リンカはローズに毛布をかけてから、退室した。


まだ眠れないローズがソファを見ると、体が大きなジャワラと体が小さいミルザがとても面白い組み合わせだ、と彼女が思った。ミルザは黙って本を読んでいる。ジャワラがただ黙って座っているが、なんか空気が重く感じる。


「どうされましたか?」


ジャワラがずっとちらちらと彼を見ているローズの不審な行動に気づいた。ローズは身を起こして、寝台に座る。


「眠れないから歌を歌おうと思ったが、喉が痛い」


ローズの言葉を聞くとジャワラが微笑んだ。ミルザは本を閉じて、彼女を見ている。


「それは困りましたね、ローズ様」


ジャワラが言うとミルザがポケットから小さな笛を出した。


「ジャワラが歌えば良い。俺は笛で演奏するから」

「そうですな。ローズ様はどんな歌がお好きですか?」


ミルザの提案にジャワラが快く応えた。


「心が落ち着く歌が良いかな・・。私はこの国の歌がよく分からないから、少しずつ教えて欲しい」


ローズのリクエストにジャワラがうなずいた。彼がミルザといくつかの歌の名前を言ったら、ミルザがうなずいた。ミルザが手で持った笛を口に当てて、息を吹き込むと、すてきな音楽が聞こえた。すると、ジャワラはその音楽に合わせて歌を歌っている。国の美しさの歌で、自然や花々に、里の親と友人に恋しく歌う。あの大きな体から、こんなにすてきな歌声が出ているとは思えないぐらい・・素晴らしく思う。本当に美しい歌だった。また笛の音もとてもきれいだった。ローズもそのような笛も、やってみたいと思ってしまうほどだった。


ローズは寝台の背もたれに体をよりかけた。ガレーの薬が効いてきたけれど、まだ眠たくない。もっと聞きたいと思うから、もう一曲リクエストした。ジャワラは眠気と必死に戦っているローズを見て、気づいていた。彼がミルザに笛だけでの音楽を頼んだ。ミルザはうなずいて、とても優しい音色の音楽を吹いて・・いつの間にローズが眠ってしまった。


夜中に体中が熱く感じて起きた。すごい汗で、服が濡れている。身を起こすとソファに誰もいないが、隣でエフェルガンが寝ている。エフェルガンを起こさないように寝台からゆっくりと降りて、水場に行って、服を着替えた。鏡で自分の姿をみて、首にまだ痕が残っている。拉致犯人に首を絞められた時の痕が赤黒いあざとなった。


着替え終わって再び部屋に戻って、机の上にある白湯を飲んで、窓から町の様子を見たら、やはり暗い。しかし広場は比較的に明るい。兵士達は焚き火しながら警備をしている様子が分かる。


この窓から見える夜空は暗い。曇り空のせいで、今日は星がみえない。でもずっと見つめると、何か・・少し光が見えた。ローズは窓をあけて、ベランダに出た。窓をあける音がしたのか、エフェルガンが起きて、ベランダに出た。


「どうした?」


エフェルガンが声をかけて、空を見つめているローズの隣に来た。


「起きちゃった」


ローズが振り向いて、エフェルガンを見てから、再び空を見つめている。


「あの空、光っているわ」


ローズは方向を示すとエフェルガンがその方向を見ている。ローズの目よりも、彼の目の方がずっと優れている。


「何か光っているんだな」

「うん・・昔似たような感じがあったけど・・気のせいだと良いんだけど・・」

「詳しく聞かせて」


ローズが戸惑いながら言うと、エフェルガンは空から目を離さず聞いている。


「龍神の都がモルグの飛行船に襲われた時に、雲に紛れて現れたんだ。2回目の襲撃も同じように夜空に雲の間に紛れて来た。しかし、私とロッコが気づいたからなんとななったけど・・」

「それは一大事だね」


エフェルガンはローズを中に入れて、窓を閉めた。彼が素早く着替えて、武器を腰につけて、部屋の外に出た。しばらくしたらハインズとエファインが来た。また数名の護衛官とリンカも来た。


エフェルガンはそのまま外に出たようだ。窓からエフェルガンの姿が見える。彼はケルゼック達と空軍と飛び立った。


「殿下、大丈夫かな」


ローズが心配そうに言うとハインズも窓を覗いて、彼らを見つめた。


「大丈夫でしょう。我々も万が一に備えましょう。ローズ様は念のため武器を身につけて下さい。リンカさん、ローズ様のお着替えをお願いします。終わりましたら声をかけて下さい。我々は部屋の外にいます」


ハインズがそう言いながら、リンカに丁寧に頼んで、そして他の護衛官らと部屋の外に出た。扉を閉めてくれた。リンカは返事せずに、てきぱきとローズの服や靴、そして鎧や武器を準備にかかる。リンカは早速ローズの寝間着を脱がし、動きやすい服に着替えさせた。髪の毛も三つ編みにして、簡単に束ねた。鎧や武器をつけて、靴を履いて、準備ができた。リンカはハインズに準備ができたことを知らせると、ハインズ達が部屋に入り、再び空を見ている。


フォレットが部屋に入って、パンとハムとハーブティーを持ってきた。こんな時こそ、食事が必要だ、とフォレットが言った。ローズはフォレットが持ってきた食事を食べている間に、リンカはベランダに出て暗部のエトゥレと会話している。エトゥレはうなずいて、そしてどこかに消えた。ハインズはベランダに出て、リンカと一緒に空を見ながら、会話した。


と、その時、エフェルガンが風を起こした。空にかかった雲が消えていた。そこで見えた物は・・。


「飛行船だ。しかも数が多い!」


ハインズが言うと護衛官らと下にいる兵士らが緊張が走る。ローズは急いでフォレットがくれた食べ物を全部食べ尽くた。魔力がかなりないので、できるだけ食べて、補充しなければいけない。喉が痛くても、全部気合で飲み込んだ。味なんて、もう分からない。


「見えたところは十機だけど、敵は上だけではないから注意して」


ローズは何気なくリンカの言葉に引っかかった。ローズたちがこのような狭い部屋にいると戦いにも不利だから、広い場所に移動する必要がある、とローズが思って、エファインに伝えた。するとエファインはハインズに相談して、ローズたちは騎士団がいる広場に移動することになった。広場では騎士団の団長と護衛部隊の隊長ジョルグが話し合っていて、状況確認をしている。


念のため、エフェルガンにリンクをかけた。繋がると、エフェルガンの目から見える風景を頭の中に映像として入っている。


十機の飛行船から大量のモルグ人兵士が下りてきている。ダナで襲ってきた奴と同じく、足に何らかの装置があって、その装置に赤い宝石が見えた。恐らく、それは魔石でしょう。それがあると空を飛べる。


「リンカにリンク開始!」

(あい)

「リンカに、エフェルガンにバリアー!攻撃力増加エンチャント!速度増加エンチャント!」


リンカにフル支援をして、また周囲を見つめている。ファリズがいないから、これから自分たちだけでやらなければならない。


(ローズ、無理するな!)


頭の中でエフェルガンが叫んでいるのが分かる。彼はとても心配している。


「大丈夫、無理をしないわ。こちらも大量のモルグ人兵士を相手にしなければいけないようで、魔力の温存するよ」

(なんだと?!)


ローズがそう答えると、エフェルガンが焦っているような気がした。


自分自身に魔法をかけて、意識を集中する。突然、ものすごい殺気の輪の中にいるような感じがした。これはリンカの殺気だ。


「リンカ?」

(大丈夫よ。これは猫の縄張りだから・・この範囲内に入る敵はすべて殺すよ)


リンカは冷たい殺気を放ち構えている。


「ハインズ、ローズの守りに集中してちょうだい。近づく奴が私が殺すから!」


リンカがハインズに叫ぶと、ハインズはうなずいた。


「こちらもそのつもりだ!」


ハインズが周囲を集中しながら答えた。


「あい」


リンカはそれを言って敵が来る方向に歩いている。すごい殺気だ、とローズは息を呑んだ。


ジョルグはローズの隣にきて、エファイン達とともに構えている。魔力の余裕がない今、できるだけ彼らに身を任す、と彼女は考えている。


敵が見えた。構えている陸軍と国軍部隊は騎士団とともに攻撃してくるモルグ人兵士を向かい撃つ。魔法部隊が魔法を放って、攻めてくる軍勢を焼き殺す。しかし、敵の数がかなり多く、一発ずつでは処理が間に合わない。


(火の輪)


リンカの低い声が聞こえた。そして火の魔法が敵のど真ん中に落ちた。数多くのモルグ人兵士がその魔法に焼かれて悲鳴をあげてに死んでいく。魔法耐性が高い兵士は味方の体を踏みつぶし前に進んで、武器を手にしている。騎士団の者達は武器を手にして彼らの攻撃を応戦した。激しい武器と武器のぶつかり合い音が聞こえている。


飛行船からも町に向かってレーサーのような光で攻撃してきた。夜襲でいきなり空から降ってきた攻撃でパニックになった人々は破壊された建物から走り出し、安全な場所を探している。ローズは敵に集中できる場合ではなかった。早速ダナの国軍隊長のパルージョに、パニックになった民を誘導するように頼んだ。すると、パルージョがダナの国軍部隊とともに、町の人々に避難をさせている。ダナの国軍部隊がここにいないので、こちらの手元の戦力がかなり減っている。しかし、民を見捨てることができない。かといって上ではエフェルガン達がまだ一機も落とすことができていない。


「エフェルガン、飛行船を落とさないと、上からの攻撃が止まないんだ」

(なかなか近づけないんだ)

「遠距離魔法で破壊できなかった?」

(無理だった。魔法耐性が高い)

「やはり龍神の都を襲った飛行船と同型ですか・・あれは物理攻撃で破壊するしかない」

(どうやって近づくか考えがあれば教えてくれ)

「ジャタユ王子はそれらの飛行船よりも高く飛んで、上からリンカを落とした。リンカは飛行船の尾翼・・えーと、つまり飛行船の尻尾を破壊して、再びジャタユ王子の元に戻って、・・そう繰り返した」

(なるほど。真っ正面からだめなら上からならできるんだな)

「うん。気をつけて下さいね」

(分かった。こちらも早く終わらせてからそちらに向かう)

「はい」


エフェルガンらは高く飛んで、飛行船よりもずっと高く飛んだ。フクロウがそこまで高く飛べなかったから、エフェルガン達は自分の翼で上へ飛んだ。そして彼らは上から飛行船の尾翼を壊し始めた。飛行船の上に敵が上がってきたが近距離のやり合いならケルゼック達は負けていない。一機の飛行船から火が見えて、地上へ落下・・・でもそこは町の中だ!


(あ!しまった!)


そうだ。エフェルガンが忘れていた。飛行船を落とすには計算をしなければいけない。町の中で落下したら下敷きになったたくさんの人々が犠牲になる。


「瞬間移動!」


ローズはとっさに動いて、ちょうど飛行船が落ちてくる位置に着いた。


「バリアー・シールド!」


大きな魔法の盾が町を守っている。飛行船がその上に落ちて来たけれど、下にある民家は無事だった。その家から人が出て来て、急いで逃げた。ハインズとエファイン達が駆けつけてきた。またリンカもローズの所に素早く駆けつけてきた。


(大丈夫か、ローズ!)


エフェルガンは心配してくれた。


「うん・・なんとか。できれば公園か何もないところに落として」

(ああ、ごめん。分かった)


ローズがそう答えると、上にいるエフェルガンは次の飛行船へ向かった。


(ローズ、飛行船の中を奪えば方向を変えられるか?)

「操縦できる人がいれば可能だよ。でも私とロッコは操縦できなかったから山にぶつかちゃった」

(分かった。町の外へ向ければ良いか)

「気をつけてよ、エフェルガン」

(ああ。分かった。行ってくる)


エフェルガンと空軍の兵士達は飛行船の中に入ったことを見届けから、今頭の上にある燃えた飛行船の処理をリンカに任せた。まだ本調子ではないからシールドを張るだけでもかなりきつかった。エファインはローズを支えた。そして、比較的に安全な場所を探して彼らが移動した。途中襲ってくるモルグ人兵士がいて、ジョルグ達に任せた。


再び爆発音が聞こえた。どうやらリンカは先ほど民家の上に落ちてきた飛行船を粉々になるまで破壊した。パニックになったその民家の周囲の住民らは飛び出して、離れた所へ逃げた。破壊してから、リンカが再びローズの近くまで戻って来た。


また町の壁の向こう側に次々と飛行船が落ちてきた。さすが空を飛ぶ者達だ、とローズが視線を壁に向けた。やはり空中戦に慣れていて、とても優れている。一人でダメなら集団で襲っておけば、飛行船も落ちる。一方、陸軍も地方の国軍も負けていない。ヒスイ城の騎士団とともに敵と激しくぶつかり合っている。


ローズたちは前線から離れて比較的に安全な位置に移動した。けれど、ここは敵の町だ。元から安全な場所なんてないと彼女が思って、警戒している。突然いきなり彼女たちの前に複数の覆面男が現れた。構えからみると、暗部だ。多分、敵側の暗部かもしれない。


「コータの(かたき)が来たんだね」

「ローズ様、ご注意を」


ジョルグはローズの前に動いた。ハインズも隣にきた。ミルザもジャワラもトダも、次々と護衛官達が守りの体制に動いた。そして次の瞬間・・上から網がかかってきた!


「しまった!」


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