そして、ずっと戦い続けよう
いつの間にか待ち望んでいた卒業式というイベントで、ようやくはっきりと終われると内心喜んでいたのに。
彼女から頬をふくらませながら「卒業までって話だったけど、もうちょっとくらい先でもいいよ」と、期間限定のはずだった交際に延長を求められた。その衝撃は、思ったよりも大きかった。
できるだけ、やわらかく、申し訳なさも含めて断るつもりが……言えたのはたったひとことだけだった。
「――ごめん」
無情な拒絶は、一時だけでもぬくもりを分けてくれた彼女に対して失礼極まりなかった。それでも、もう耐えられなかったんだ。
高校と違って、中学の卒業式はまだ先だ。
最後のホームルームのあと、卒業証書の筒を握ったオレをにこやかに待っていたのは家族だった。それだけではなく、家族同然に思っている……。
「皓くん! 卒業おめでとう!!」
母と、叔母と、セーラー服に身を包み、花束を抱えた従妹。
赤いガーベラと、白いカスミソウの組み合わせを笑顔や祝福と共に受け取り、オレは素直に礼を口にできた。
「ありがとう」
偶然、土曜日だった卒業式の日程に、これほど感謝したことはない。
今日を新しい始まりにしよう。
いつか、同じように結名が卒業する日まで。
そして。
「なあ、幻界の正式オープン、四月だって」
「ふうん……」
「絶対、楽しいからさ。やってみろよ」
「……うーん」
それまではずっと、同じ世界を旅していけたらと思う。
できれば、あの幻界で。
幻界のクロスオーバーβ 完
これにて、皓星の物語は一旦筆を置かせていただきます。
一年間、ご愛読ありがとうございました。
幻界のクロスオーバーは、私にとって、本当に大事な作品です。
皓星のための物語であるβも、ここまで書き切ることができて、とてもうれしいです。
いつか、夢を叶えたら。
幻界のクロスオーバーの続編を書いてみたいと、今も思っています。
これからもよろしければ、
ブックマークや評価、感想などを通じて応援してくださるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。




