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水鏡に咲く白き花  作者: 水城ゆま
第二章『 蓮の糸 』
34/87

「 不可解な鏡 」(二)

 

 

( お二人は何を真剣なお顔でお話されているのかしら……? )


睡蓮(スイレン)秋陽(しゅうよう)東雲(シノノメ)の長話を気にかけた時と同じ瞬間、桔梗(ききょう)は思いきって睡蓮(スイレン)に話を聞いてみる事にした ――― 。



「 ねぇ、睡蓮(スイレン)さん……あなた 白夜(ハクヤ)から海での話は聞いたのよね? 」


「 え !? 」


余り会話する事が無い桔梗(ききょう)に話しかけられた事にも多少驚いたが、白夜(ハクヤ)に助けられた話を聞かれた事にも睡蓮(スイレン)は戸惑いを隠せず、再び 自身の頬を赤く染めて(うつむ)いた。


桔梗(ききょう)さんもご存じでしたか…… 」


まさか、自分が 白夜(ハクヤ)に何をされたのかを此処(ここ)に居る皆や日葵(ひまり)春光(しゅんこう)も知っているのでは・・・・と睡蓮(スイレン)の中で 軽く不安が(よぎ)り、彼女は今度は蒼褪めた。

もし、そうなら穴があったら入りたい ――― と言うより、()ぐに飛び込んで(ふた)までしたい勢いだ。



「 リエン国の女性への考え方は知ってる……? ――― 誰かに肌を見せる事ね。 」


「 はい ――― 知りませんでしたが聞きました。 」


「 あなたはどうしたいと思ってるの? その…… 白夜(ハクヤ)との事なんだけど…… 」


訊ねながら、桔梗(ききょう)のほうも目を()せた。

睡蓮(スイレン)桔梗(ききょう)の二人は其々(それぞれ) 頭の中に 白夜(ハクヤ)の姿を浮かべていた ――― 。



白夜(ハクヤ)さんには感謝しています。感謝してもしきれないです……! ――― 目覚めた後も名前まで考えて頂いて、今もお世話になっておりますし……あの…でも、婚姻(こんいん)とかそういうのは……桔梗(ききょう)さんもご存じだと思いますが、私、ここに来る前の記憶が無くて……それどころでは無いと言いますか ――― どなたかと一緒になる前に記憶を取り戻さないと…… 」


睡蓮(スイレン)の言葉に 桔梗(ききょう)は少し安心を覚えたが、新たに気になる事がひとつだけ浮かび上がっていた ――― 。


「 あなたの名前…――― 白夜(ハクヤ)が考えたの? 」


「 はい…! 睡蓮の花のようにと この名前を付けて頂きました。」


「 そう…… 」


睡蓮(スイレン)と言う名は 白夜(ハクヤ)が名付けたものと初めて知った桔梗(ききょう)睡蓮(スイレン)に顔を向けたまま目だけを伏せた。

" 睡蓮の花のように ――― " ()の言葉に白夜(ハクヤ)がどの様な意味を含めているのか知る由も無い桔梗には不安だけが押し寄せて来る ――― 。


「 あ…!髪飾りをお返ししなければ! 付けたままでした……!! 」

――― 桔梗(ききょう)の髪飾りを取ろうとした睡蓮(スイレン)の手を桔梗(ききょう)は手を伸ばして止めた。


「 いいのよ、そのまま あなたにお貸しするから使って? 」


「 え? あ…あの……でも…… 」


秋陽(しゅうよう)様も 白夜(ハクヤ)も几帳面なようで面倒くさがりな所もあるの。―――二人と居ると、そのうち きっと あなたは雑務に追われて忙しくなるわよ?髪をまとめる機会が増えると思うから持っていたほうが良いわ 」


「 それじゃあ……あの、お言葉に甘えてお借りします…! ――― ありがとうございます…! 」


「 私も なるべく顔を出すから、無理はしないでね! 」



――― 睡蓮(スイレン)桔梗(ききょう)は微笑みあった。

睡蓮(スイレン)桔梗(ききょう)の優しさを素直に受け取り、桔梗(ききょう)も心からの言葉を述べていたが ――― 桔梗(ききょう)睡蓮(スイレン)に髪飾りを貸したのには もうひとつ理由があった。

 

 

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