レベル33 働きならペットは難しい&社員寮
叩けない…
そして叩けてもランク低いのばっかり…
ゲームが始まって最初の季節イベントだから仕方ないとは思うけどそれよりも…
きゅー!
この限定モンスターのチョコナッツが可愛くて叩き難い!
顔は小熊のようなモフモフに頭!
小さなチョコで出来たような小さなシルクハットにさくらんぼが一つ!
黒目の部分がピンク色でさらに蝶ネクタイまでしている!
THEモフモフ
女性キャラクターが戦わず延々抱き着いて死んでいるのを何人か見たが…
気持ちは分からなくは無い!
俺は握りしめた投げナイフで攻撃すると一発で倒れる…
まあ、弱いのが幸いだな。
敵は倒すと光と共に消えてハート形のナッツになり、
そのナッツの中央に「C」などランクが表示される。
「またCか…」
あれから数日経ったが低ランクばかりだ、
そんなときプレイヤー達の中である噂が流れた!
金のチョコナッツの存在だ、
あるプレイヤーがチョコナッツを狩っていたら金色の毛並みのチョコナッツが現れて
倒した所Sランクが出てきたという噂だ!
きっと、金のチョコナッツはSランク確定のモンスターという話なのだが、
眉唾の話だがそもそも会えるかどうかさえ分からない…
そんなことを考えなら黙々と狩っていた。
C10個
B2個
「ああ!もう疲れた」
俺は熾烈を極める敵の叩き合いに疲れて、街道を外れた風の気持ち良い木陰で横になった
「もうBをハルルさんとキララさんで良いかな~」
そんなことを考えながらぼけーっとしてると…
「金でたー!」
「こいつ早!」
「どこ行きやがった!」
プレイヤー達の叫び声が聞こえる!
「ああ、金ほんとにいたのか…まあ今行っても終わってるか」
そんなことを呟きながら体を起こすと顔に…
もふ!
何かやわからないモフモフが顔に張り付いたような…
俺はそのモフモフを掴み顔から剥がすと…
金色のキラキラ毛並みにチョコ帽子に緑のさくらんぼ…
赤の蝶ネクタイ…
え?
金のチョコナッツだ!
「きゅーきゅー(涙)」
涙目で暴れる金のチョコナッツ、
そのうち諦めたのか目をつむり手を前で組み祈るポーズ…
これを倒せばS確定だが…
こんなに可愛いモフモフを誰が倒せようか!
例えゲームマスターが許しても!全国モフモフ協会会員(自称)の俺には出来ない!
そんなことを考えていると…
「こっちに行ったぞ!」
プレイヤー達がこちらにやってきた。
「やばい!お前このカバンの下に隠れろ」
「きゅ?」
金のチョコナッツがなんで?って顔をして首を傾げる。
く~~~可愛いじゃねええか!
「助けてやるから早く!」
俺の意図が伝わったのか一目散にバック下へ隠れる、
その後何人かのプレイヤーがこちらに逃げてこなかったか聞かれたが、
明後日の方向を教えてやった。
それから暫くして落ち着いたので…
「おい、もう大丈夫だぞ」
俺がバックに目をやると…
すやすや
追い回されて疲れたのか寝ている。
可愛い!
ココに置いて行っても狩られてしまうし…
リアルでもペット飼いたいな~とか思っているんだが働いていると
どうしても不規則で面倒見きれないので諦めていたが…
この世界で飼うのも悪くないが…
そもそも懐くのか、ペットして成り立つのか
俺がログアウトしたらどうなるのか…
う~んどうしたものか~
ここにいても危なそうなので一旦町に帰ることにした。
しかし、街の中にいても危なそうなので一般のプレイヤーが入れない職場の倉庫に移動したものの…
どうしたものか~
俺が悩んでると…
「どうしたんだ?」
先輩のアニーキがやってきた。
「いや~ちょっと休憩しようかと思ったんですが、良いとこがなくて」
「ふむ、お前住むとこってどうしてるんだ」
「えっと宿屋とかですかね?」
ほんとはログアウトしてるんだけど…
「なんで疑問文なんだ」
「いや、あははは」
「そうか~宿に住んでるって金も馬鹿にならんだろう、新人は給料安いし」
「ええ、まあ」
「あ!そうだちょっと待ってろ」
そういうとアニーキはどこかへいってしまった…
暫くすると…
「ワーカーお前が整理してる倉庫の屋根裏が空いてるからそこに住んで良いぞ」
「本当ですか!」
「ああ、親方からも了承を得ている ほら鍵だ」
兄貴~~~!俺は兄貴に付いてきます!
屋根裏の鍵を手に入れた!
「ありがとうございます!」
「ああ、だが汚いから掃除は自分でしろよ」
「わかりました!」
「じゃ 頑張れよ」
「あっざす!」
よっし!今ほどこの職場で良かったと思うことはない!
喜んでいると…
「おう!ワーカー」
親方がやってきた。
「親方!ありがとうございます!」
「いや、家賃は給料から引いておくからな」
「ですよね~」
さすが商売人…
さしずめ社員寮的なもんだなこれは…




