レベル29 交渉は相手に有益と思わすのがカギ
「助けて頂いてありがとうございました」
俺はその黒ずくめの人にお礼を言いながら観察すると…
驚いたことにその人はプレイヤーだった。
「お礼は別に良い、仲間を呼ばれたら厄介だったから倒しただけ」
しかも、声から察するに女性なんだろう…
「そうかもしれませんが助かりました」
「お前こんなところに何しに来たんだ?」
「クエストで大滝の泉に行かなければならなかったのですが、途中アクシデントに遭いまして川に流された次第で」
「ドジ」
グサ!
突き刺さる一言頂きました…(涙)
「大滝の泉はこんな奥地じゃなくて手前だよ、じゃ…頑張りな」
そういってこの場を離れようとする彼女…
こんなところに放置されたら…まずい!
となれば答えは一つ…
追尾!
「なんでついてくるの?」
「いや~その正直心細くてですね、出来れば途中までご一緒できればと」
俺の必殺スキル!営業スマイル!
「キモ」
グサ!
プレイヤーには効かないですよね…
その上に「キモ」という反射精神攻撃まで食らってしまったよ!
こういう時闇雲に交渉しても結果は好転することはない!
ならばどうするか…相手との交渉で一番大事なのはいかに自分がその人にとって有益なことがあるか示 す!
さて…
現状で相手に有益になるものは…
店からもらった回復アイテムが多数…
これしかないか…
「あの~私職業がら回復アイテムとか一杯ありますので、これをボディガード代わりの報酬にどうでしょうか」
相手はあの強さだからこんなアイテム興味ないかもだけど、今はこれしかない!
「ふむ、悪くはないか」
乗ってきた!
「良いんですか?」
「嫌なら辞めるが」
「いえいえ!とんでもないあなた位の強さならお金の余裕でこういったアイテムは沢山もってると思ったので」
「ふん、私はソロプレイヤーで諸事情であまり人と交流したくないんだ」
「はい」
「だから、村や町には滅多に行かない」
「なるほど」
「大滝までの泉までは行ってやる、但し私のスピードについてきてもらうぞ」
そういうと森の奥へと走り出した。
うお!はや!
俺は慌ててスピードUP効果の付いているラビットコートを着てなんとかついていく、
敵は片端から倒してくれてるみたいなのでまったく襲われないが非常にしんどい!
それから数十分の地獄のランニングは続き少し開けたとこに出た時に一旦止まった。
「私についてくるとは…なるほどそのコートを手にしてるとは侮れないね」
冷静に分析されてるなんて露知らず…
「ぜはぜは、到着ですか?」
「いや、一歩手前のとこかな」
「そうですか、あの自己紹介がまだで 俺はワーカーと言います」
「ハルル」
「ハルルさんですか」
えらい可愛い名前だな…
「ええ、それよりあそこにとんでもない化け物がいるみたい」
ハルルさんが指さす方向には鎧を着たゴブリンの様なモンスターが…
アーマードゴブリン エリアストロングモンスター(ESM)
レベル30
HP380
MP250
スキル ブレイクサークル 殴打 ファイヤーボール
うあ~これはまずいな…
「あなたはそこで隠れてて」
「でも」
「邪魔よ!」
そういうとハルルさんは敵へ突撃!
「うぉおお」
敵もハルルさんに気づき応戦!
「トリプルアックス」
ハルルさんは手斧を出すとすごいスピードで敵を切り付ける。
あれが上級スキルかな?ものすごい斬撃だ。
これはほんとに俺の出番はないな…
敵のスピードも遅く圧倒的にハルルさん優勢だ!
ところが暫く経ったとき…
「うおーーー」
敵が吠えた瞬間 敵の周りに魔法陣が現れた。
すると、敵にダーメジが通らないそれどころかハルルさんの武器の耐久度がどんどん下がっている。
「なんなのよ!」
敵は反撃のチャンスとみると棍棒を振り上げる!
スキル殴打か!
「こんなもの!」
ハルルさんがバックステップで避けるが…
「ふぉおーー」
一声あげると口から炎を吐く!
「くっそ!」
体を反転して避けるがフードが焼け焦げた、
すると…
そこに現れたのはピンクの髪のいかにも萌えキャラのようなキャラが現れた!
「これは驚いたな」
すると…敵そっちの気でこちらを睨み!
「見たな!言っとくがコレは好きでコレにしたんじゃないからな!こんなの嫌なんだ!」
なんか真っ赤な顔で怒っている。
「ハルルさん前!前!」
「わかってる!」
このままじゃまずい!何とか打開する方法は…