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九月八日
いつもの様に彼女が抗がん剤の点滴を受けている最中に患者のオジサンの会話が耳に入ってきた。
「○○病院に入院してた奴みんな死んじまったよ」
彼女が数年前まで入院していた病院だ。
僕は病室に戻り何気なくその事を話した。
「ああ、やっぱりね。○○さんも○○さんもあそこで入院してて退院したら亡くなっちゃったもんね」
前の病院で仲良くしていた患者さんの名前だ。
僕はそれを聞きこっちの病院にして良かったと胸を撫で下ろした……だが同時に、最初からここの病院にしていれば彼女はもっと早くに完治していたんじゃないかと後悔の念も押し寄せてきた。




