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十二月二十二日
「ただいま、起きてたの?」
仕事から帰ると彼女は横にならず座って待っていた。
「うん、ボーっとしてた」
いつもに比べると調子が良いということだろうか、僕は少し安心した。
正直言って家に帰る時が一番怖い、家に帰ってもし万が一の事があったらと思うと不安で足が震えるほどだ。
「じゃ、ちょっと待っててね。着替えちゃうから。そしたら病院行こう」
僕はいつもの様に普段着に着替え彼女の方を見た。
「そう言えば今日言われたんだけど明後日も仕事でてくれって言われちゃってさ」
何気なく言った言葉だが彼女が激しく反応した。
「明後日ってクリスマスやん、駄目に決まってるやん!」
ああ、クリスマスだったか。僕は日にちの事を深く考えずに休日出勤を引き受けてしまっていた。
「え、今からでも断ったほうがいい?」
「当たり前やん……最後のクリスマスになったらどうするつもりなん」
彼女の言葉が突き刺さり、いつまでも消えずに残っているかのように胸の奥にゴトンと沈む感じがした。
僕は病院に行く前に会社に電話し、改めて休みを貰えるように連絡した。




