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生きる意味  作者: 和猫
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十月十三日

 いつもの様に診察が終わり抗がん剤の点滴でベットに横になる彼女


「また旅行行きたいね」


 不意に彼女が呟いた。


「そうだね、今度はどこに行きたい?」

「まずは伊勢かな、もう一度行きたい」


 数年前の夏、伊勢神宮のバスツアーに行ったのだ。だがその時も彼女の容態も好調ではなく、到着してから殆どトイレに篭るという結果になってしまった。


「そうだね、今度はバスツアーじゃなく泊まりでゆっくり行きたいね」


 僕もその時の事を思い出しながら返事をする。


「お守り返して新しいお守り買わなきゃいかんし、お参りもちゃんとしたい」


 伊勢神宮に行ったときにお互いにお守りを買い、それを交換したのだ。僕は赤いお守りを買い彼女に、彼女は白いお守りを買って僕にくれた。

 彼女はそのお守りを首から掛け大事にしてくれている。僕は毎日着ている上着の内ポケットに入れている。そのお守りが入ったポケットの辺りに振れるとお守りに付いた鈴がちりんと音を立てた。


「今度は病気治して沢山遊ぼうね、後は長野にも連れて行きたい。紹介したい友達とか行きたいお店とか一杯あるんだ」

「うん、後は温泉も行きたい」


 僕達は病気が治った後の話をし続けた。いつか来るであろう幸せな未来を思い浮かべながら。



 

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