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ジョージアナとユリアナ、ダイアナとエドワード、キース、アルバート、フェリクス、フレデリック、レン、イアン、それから、シャーロットは初対面だが、ブレンダン・エインズワース男爵令息。
そんな、メンバーで、遠乗りに行き、ウィンスレット公爵家の王都のはずれにある、屋敷に滞在することになった。
王都の公園から、出発すると、
ジョージアナにはフェリクスとフレデリック。シャーロットにはエドワードとアルバート。ユリアナにはレンとイアン。ダイアナにはキースとブレンダンが、それぞれ両脇に守るようにして、出発した。
前をゆく、ジョージアナとフレデリックも話が弾んでいるようだし、ユリアナも明るいレンとイアンと楽しく話していたし、
ダイアナは、恥ずかしそうに、キースとブレンダンに挟まれていた。キースはいかにも貴公子としているので、ブレンダンの方が緊張せずに話せているようだった。
「こんなゆっくりでは、満足できないんじゃない?」
アルバートが笑いながら聞いてきた。
「乗馬が好きだから、ゆっくりでも楽しめるの」
「なるほど?」
「でも、ほんとは思いっきり駆けるのが好きよ。貴方の言うとおり」
でも、敷地内ならともかく、道でそんな事は出来ない。
乗馬のあまり上手くないダイアナは、次第に遅れるので、時々待ちながら進んだ。
「ダイアナ、馬を変えましょう。わたくしの馬はおとなしく、扱いやすいと思うわ」
少し機嫌の悪いダイアナの馬をみて、シャーロットは告げた。
「ごめんなさい、シャーロットうれしいわ」
ダイアナは本当にテビュタントらしい恥じらいと戸惑いが可愛らしい。こんな風にいれたらと思わないでもない。
凛とした印象と違い、ダイアナは様々にちょっと令嬢としては難があるのだ。
ダンスでもよく足を踏んでいる、らしい。のびのびと育ったようだ。
シャーロットは、ダイアナの馬にエドワードの助けを借りて乗る。踏み台なしでは乗るのは大変なのだ。
ダイアナは、キースとブレンダンに、抱えられるようにして、乗っていた。
「ダイアナには、もっとしっかりと教育が必要だわ!」
ジョージアナが、ダイアナをみて、くすくすとわらった。
「アナにそんな事を言われてしまったらラドクリフ子爵様が腰を抜かすわ」
さいわい、シャーロットの馬は、おとなしくダイアナを乗せて、キースとブレンダンがサポートしつつ、馬は進んだ。
ダイアナたちを先に行かせることにして、シャーロットとジョージアナは並んですすんだ。
「ね、ユリアナはずいぶん馴染んで可愛らしくなったわね」
「もともと、申し分ない、教育を受けているのだもの。本来自信を持てば大丈夫なはずよ」
ダイアナと違いユリアナは、自信なさげだか、令嬢としてふさわしい。レディの称号にふさわしい。
シャーロットは当たり前と、教育を受けてきたが、レディたちの中でも、シャーロットの教育は王族に嫁げるほどの高いものだったと、デビューしてから、気づいた。
しかし、社交界の中心にいる令嬢たちはみな、シャーロットが思っていた通り素晴らしい女性たちだ。
「もうすぐ、社交シーズンが終わるわねシャーリー…」
夏の終わりごろにはみな、領地に帰る。
「淋しいわ、アナ。」
ウィンスレット公爵領は広大で、シャーロットの帰る領地からは、頑張らないとなかなかいけない距離だ。
馬の上でそっと手を握る。
「手紙を書くわね」
「わたくしも書くわ」
手数も何日かかかるけれど、冬の間、それは楽しみに待てるだろう。
タウンハウスより、立派な屋敷につくと、シャーロットは感嘆の、声をもらした。
「すごいわ!」
ホールは広く、一つずつの調度類が、おそろしく高価そうで、美しい。
白に金で、装飾を施されまるで王宮のようだった。
「元々は離宮だったそうよ」
なるほど、とおもう。
使用人たちも多く出迎え、改めて公爵家の力をおもう。フェリクスもジョージアナも、重いものを背負っている。
シャーロットはジョージアナの腕に手を絡ませて、ジョージアナもシャーロットの腰に手を回して、歩きだす。
「おいおい、男たちはほったらかしかい?レディたち」
フェリクスが仲のよい二人に苦笑した。
「だってあともう少しでお別れなのよ?いいじゃないお兄様」
ジョージアナが言った。
「男性の皆様は自由に動けるでしょう?わたくしたちはまた、レッスンレッスンレッスンよ。お母様の言うとおりにね」
「君にまだレッスンが必要なのかな?完璧なレディのジョージアナ」
フレデリックがおどけていった。
「怠けると、質が落ちるのですってよ。フレデリック」
「私は少し質が落ちた貴女を見てみたい」
「嫌なことをおっしゃって」
くすくすとジョージアナはわらった。
ジョージアナの使う部屋と近くに部屋を与えられたシャーロットは、乗馬服から昼用のドレスに着替えた。靴もブーツから、ヒールに履き替える。帽子を被る。
公爵家から、みんなで競馬に行くのだ。大きな賞のレースがあるのだ。
ジョージアナの馬が、優勝候補だ。
競馬場にはたくさんの人がおしよせて、シャーロットたちのいる、貴族たちのシートにも歓声と地響きがすごく、シャーロットも高揚する。
美しい競走馬たちが、パドックに入場する。
「あれよ、あの芦毛の馬」
美しい白い馬体は艶々と輝き
「シャインダイヤモンドよ」
ジョージアナが興奮してつげる。
「ぴったりな名前ね」
「わたくしがつけたの」
レースが始まると、シャインダイヤモンドは、後方からのレース。コーナーを曲がると、一気に抜き去り、馬群の先頭にたち、優勝をきめた!
きゃあああーとジョージアナとシャーロットは手を握りあって喜んだ。
表彰式にたつジョージアナは堂々としていて、美しく、シャインダイヤモンドと共に女王のようだった。
夜はパーティをした。
内輪のパーティなので、ダンスもぐっと砕けたダンスが増える。
お酒もかなり珍しくまわった。
シャーロットは、なるべくちょっとずつ飲んでいた。
「エドワード!踊りましょ」
かかったのは超難関の曲だ。足がもつれるほどのステップだ。
みんなリタイアしている。
俄然シャーロットは燃えた
「やれやれ、元気なお姫さまだね」
シャーロットとエドワードに皆が喝采をおくる。
躍り終えると、さすがに疲れて、ソファに座る。
踊って少しのお酒がまわったのかも知れない。
ユリアナとイアンが、踊る。簡単で楽しいダンスだ。ダイアナとブレンダンも続く。
飲み物を取りに立ち上がると、シャーロットは体かぐらりと傾ぐのを感じて、悲鳴をあげた。側にいたキースが腕を伸ばして抱き止めたので、床には倒れなかったものの、足首に激痛がはしる。
「いたっ!」
キースが支えて再び、ソファにすわらせてくれた。
「あー、ヒールが…」
靴のヒールがぽっきり折れていた。
「見せて」
エドワードがシャーロットの足を取る。
「捻挫だね」
フェリクスが使用人に命じて、湿布を準備するように伝えている。
「部屋に連れていくよ、シャーロット。」
シャーロットはエドワードに抱えられ、部屋に連れていかれる。
エドワードの首に腕を回すと、いつもよりエドワードの顔が近くにあり、ドキリとする。
「明日は大人しくするんだよ?」
階段をやすやすと上がり、使用人が開けてくれたシャーロットの部屋に入る。
シャーロットをベッドの上に座らせると
「手当てをするから、脱がすよ?」
「や、やだ」
「やだじゃないだろ。痛いだろ?」
ストッキングは太ももまである。脱がすとなるとドレスに手を入れられる。しかし、スカートをめくり自分ではずすのもどうか。
痛くてできないかもしれない。
仕方なく、エドワードにまかせる。
そっとシャーロットの足をたどり、ストッキングをとめるベルトを外して、ストッキングをエドワードの手が取り去った。
僅かに触れたエドワードの手に、ひどくドキドキした。
ひんやりとした湿布をはり、包帯で固定される。
ズキズキする足はひんやりとして、気持ちいい。
「後でまた替えに来るよ」
エドワードとはいえ、素足を見られるなんて!
泣きそうになる。
「今日は痛み止めを飲んでゆっくり寝るんだ、いいね?」
エドワードは潤んで睨み付けるシャーロットに苦笑しながら、額にキスをした。
メイドたちがきて、着替えを手伝ってくれる。
「ヒールが折れるなんて、災難ですわね。シャーロット様」
「靴はすぐに修理に出しましたわ。」
「それにしてもエドワード様は素敵ですわね!さっと抱き上げて、手当てもてきぱきとされて」
「ですけど、ストッキングをはずされたときには私たちもドキドキしましたのよシャーロット様!」
「ドレスに手をいれるなんて、エドワード様は大胆ね!」
メイドたちはきゃいきゃいと騒いでいる。
見てたら、かわってよ…そこだけでも。
シャーロットの表情を読み取ったのか
「私たちもそこは変わろうと思いましたのよ?でも、エドワード様が、シャーロット様のストッキングを取るところも見てみたかったんです!もう、しばらくうっとり出来ますわ!」
「シャーロット様のお髪はさらさらで素敵ですわね。」
とかしながら、メイドがいう。
明るくて甲斐甲斐しい彼女たちの明るさにさっきのエドワードの行為が笑い飛ばせる気持ちになってきた。
ネグリジェに着替えると、メイドたちは下がり、シャーロットはお酒と薬のせいかすぐに眠気におそわれ眠りに落ちた。
翌朝、メイドに手伝ってもらい身仕度を整えて、どうしようかと思っていると、
「大丈夫ですわ、エスコート役の男性がいらっしゃいますから」
というと、ノックされ入ってきたのはキースだった。
「おはよう、シャーロット」
「おはよう、キース。今日は貴方がエスコート役なの?」
「そう、ラッキーにも引き当てた」
紙をピラリと見せた。
篭に入った新しい湿布と、包帯をおくと、シャーロットの足をとり、変えようとする。
「まって、キース!貴方が替えるの?」
「あれ?だめかな?」
「だめよ!素足なのよ?」
昨日はエドワード、今日はキースに見られるなんて!
「こういう時は任せるものだよシャーロット」
キースは足を太ももに乗せて、包帯と湿布を手際よく替えてくれた。
「さっ、降りよう。みんな待っているよ」
キースに抱えられ、シャーロットは広間に向かった。
シャーロットはソファに座り、足を置く台を用意されていてそこに置く。
「今日はわたくしは大人しくしているから、みんなは楽しんできてね?せっかく来たのに。もったいないわ」
「そんなつまらない事を言わないのシャーロット!」
ジョージアナが朗らかにいう。
フェリクスと、ジョージアナは屋敷に劇団をよんで、喜劇を見せてくれた。シャーロットは楽しむことができた。
庭にでて、カードゲームをする、ジョージアナとユリアナ。二人はいい勝負だ。ゲーム類はまったくダメなシャーロットは、遠慮する。シャーロットは図書室から、借りてきた小難しい歴史書を暇潰しに読んでいた。が、なかなか読み進まない。
「何をよんでるの?」
と訪ねてきたダイアナは、タイトルをみて、あきれたようにいった。
「なぁに、これ?面白いの?」
「いいえ?暇潰しよ。でも、こういう時でもないと読まないと思うわ」
そのタイトルをみたキースが、その本について、シャーロットに論議を持ちかけてくれたので、そこからはなかなか楽しくなり、キース、エドワード、アルバート。それから、フェリクス、イアンとレンも論議を交えて、なかなか盛り上がったのだ。
ダイアナはなかなか歴史書には通じていないようで、それを察したブレンダンと共にジョージアナとユリアナの方にそっとゲームを見に行った。
夕食のあとの、広間で手紙を読んでいたフェリクスが、
「エーヴリーが、養女を迎えると、申し込んだらしい」
と渋面をつくった。
「養女は、エーヴリーの父親の隠し子として、証拠の手紙を出してきたらしい。例の娘だとおもう。名前は変えてあるミリセント・エーヴリーとして届け出てある」
「ついに行動をおこしたのか、エーヴリー」
エドワードが不快を示した
「明日、王宮に行こうと思う」
フェリクスがいった。
「私もいこう」
エドワードがいった。キースも続いて行くと言った。
翌朝王宮に行き、戻ってきたフェリクスたちの顔色は優れなかった。
「悪いことは、ホリーがミリセント・エーヴリーと認められた事だ」
はっとシャーロットはフェリクスたちをみた。
「エーヴリー伯爵が出した書類は捏造とは言い難く、拒否出来なかったそうだ」
ホリーが、ミリセント・エーヴリー伯爵令嬢となる、と言うことか…
「内々の話だが、アーヴィンがミリセント・エーヴリーと結婚した場合、国王陛下はアーヴィンを後継者からはずすように、命を出すと言われた」
「これはひとつ、いいことだ。後継者でないアーヴィンとミリセントなら結婚は許す。スプリングフィールド侯爵の後継者としては許可はされない、と言うことだ」
「もし、ミリセントがアーヴィンの妻となった場合、スプリングフィールド侯爵には、甥のキアラン・スプリングフィールドがいる。まだ14歳だが、アーヴィンよりは分別があるという噂だ。彼が後継者になるだろうね」
フレデリックが言った。
シャーロットは少しほっとした。伯爵令嬢となるからには、それなりの教養を身につけるよう言われるはずだ。あのような無礼な振る舞いは正される事を祈ってる。
「ジョージアナ、シャーロット、ユリアナ、ダイアナ、君たちに王妃様からお話があるそうだ。明日のサロンに来るようにとのことだ」
フェリクスは、招待状を手渡した。
「きっとミリセントの事だろう」
エドワードが捕捉した
数日後、足も無事に腫れががひき、ウィンスレット公爵家の馬車で王宮に向かったシャーロットたちは、ローズガーデンに席を用意されていた。
主だった令嬢と、夫人たちが招待をされていた。
はじめは和やかにお茶がだされ、夫人たちを中心に、会話がかわされる
「皆さまにお集まり頂いたのは、すでに皆さまお聞き及びかと思いますが、ミリセント・エーヴリーの社交界デビューについてです」
みな、一様にうなずいた。わかってないような人はいず、緊張が
走る。
「ご存じの通り、ミリセントは平民として暮らし、教養もないおよそ社交界デビュー出来るような人物でないことは明白です」
王妃は美しい眉をよせ
「エーヴリー伯爵令嬢として、デビューはさせざるを得ません。皆さまには心苦しく思いますが、ミリセントを伯爵令嬢として、扱わねばなりません」
「デビューはいつになりますか?」
ウェルズ侯爵夫人が問うた。
「もう20歳との事で、次の王宮晩餐会です。デビュタントの祝いの席です」
もう来週ではないか!
シャーロットはその日を楽しみにしていた。
デビュタントの祝いと、慰労をこめて、王宮に招かれる誇らしい席だ。
酷い!そんな晴れがましい席にそんな事があっていいのか。
シャーロットに指を指し、レディのなんたるかもわからず、舌ったらずではなし…ジョージアナをはじめとする、レディの仲間入りをするの?しかも同じテーブルにつく。晴れがましい席に
ぽたりと落ちた雫にシャーロットは自分が泣いている事に気付いた。
力を込めるも止まらず、扇でかくして、
「不調法をお許し下さいませ。気分が優れないようです、少し失礼させていただきます」
と席をたち、
パウダールームをめざした。
見えない辺りまでくると、シャーロットは少し足早に向かった角を曲がった所で誰かにぶつかる
うつむいたまま謝ると、エドワードたちだった。
「シャーロット?どうした?」
はっと顔をあげると
泣き顔に驚いたエドワードたちの顔とぶつかる。
「何があった?」
エドワードはシャーロットの手首を掴む。
「わたくしをみないで!今はそっとしておいて…」
エドワードの手を振り払う。
「シャーリー!」
ジョージアナが追いかけてきていた。
ジョージアナはシャーロットの肩をだき、男性たちから庇うように、パウダールームに連れていってくれた。
パウダールームに行くと、嗚咽を押さえられず泣いてしまった。
「シャーリー、なんてことかしらね…!」
椅子に突っ伏して泣くシャーロットの背をジョージアナはずっと撫でて慰めてくれた。
「あんな女と同席なんて!!」
許せない思いが押さえられない。
ひとしきり泣くと、
ジョージアナがハンカチを濡らし、目を冷やしてくれた。
化粧を直すけど、目は赤く充血している。
そこにユリアナとダイアナも入ってきた。
「シャーロット、大丈夫?」
シャーロットはうなずいた。ひとしきり泣いてすこしすっきりした。
乱れたドレスを直すと、鏡にむかう。
手をついて、自分を見つめる。
金の瞳は少し赤いけど、髪もドレスもちゃんとしている。
ジョージアナが髪も直してくれた。
「大丈夫、わたくしはシャーロット・レイノルズ伯爵令嬢、ちゃんと出来る」
胸に手をあて、言い聞かせる。
3秒数える。心を静める。
「ありがとう、アナ、ユリアナとダイアナも。もう戻れるわ」
にっこりと笑って見せた。
ジョージアナたちと席に戻ると
「申し訳ありませんでした。気分はなおりましたわ」
「そう?良かったわ」
王妃が少しうかがうようにシャーロットをみた。
シャーロットはちゃんと笑顔でお辞儀をした。
「では、皆さまにはよろしくお願いします。でも、必ず彼らの言い分ばかり聞くわけには参りません、色々と策を考えておりますから、どうか耐えてください」
王妃は視線を全員に送った。
みな一同、立ち上がり王妃にお辞儀をした。是の意味をこめて。
シャーロットたちが、エドワードたちの所に戻ると、問いたげな視線にあたるが、微笑んで見せることで遮った。
「じゃあ、帰りましょう!」
ジョージアナが明るく言って、フェリクスの腕をとった。
ジョージアナ、シャーロット、ユリアナ、ダイアナは同じ馬車にのり、男性たちはそれぞれに別れて乗ったらしい。
「アナありがとう。気を使ってくれたのね」
エドワードは必ず聞き出しただろう。
「帰ったらちゃんと伝えるわ」
帰って夕食のあと、ジョージアナが男性たちにも王妃の話を伝えた。
「早すぎるな、そんな短時間で教育が追い付くはずがない」
キースが眉をしかめて、ジョージアナたちを見た。
「シャーリー、わたくしたちはれっきとしたレディだわ。誰が同じ席につこうと、それを貫くの。返り討ちにしましょう?正々堂々と!」
「アナ!勇ましすぎるわ貴女」
くすくすと笑うと
「冒険ものを読みすぎたのではなくて?」
というと、笑いに包まれた。
夜のベッドに入ると、ただのシャーロットだ。
自分がただのシャーロットなら、エドワードが好きだと今頃告げていただろうか?それともやはり兄のように思っていたのだろうか…
枕に真っ直ぐな金髪が広がる。
この髪は小さな頃から伸ばしていて、ほとんど切っていない。揃えるのみである。
この髪は、昔よくエドワードが撫でてくれた。良くできたねと褒めてくれた。
子供のように、結婚したいと主張するアーヴィンとホリーことミリセント。それは本当は素敵なことなのかも知れない。
私がいま、もしエドワードが好きだと叫んだら…
私はエドワードが好きなんだろうか?こんなことを思うなんて…。一緒に居すぎたのかも、知れない。
考えてはいけない!シャーロットは頭をふって考えを振り払う。