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えええええええ。開いた!!!!
私が結構時間掛けて頑張って開けようとした蓋を伊織くんは数秒で開けた。
とりあえず靴をしまって上履きに履き替えながら
「わざわざ、ありがとう。」
と伊織くんに向かって言うと、伊織くんは
いきなり私の足元にしゃがんだ。
え…何してるの??
そして、何かを拾ったと思うと伊織くんは立ち上がった。じーーっと伊織くんが何をしたかと見てみると、手に何やら白い紙[?]を持っていた
「…これだよ。多分原因は。」
そう言いながら私に伊織くんは白い紙[?]を渡してきた。
私はそれをじっと見て、やっと蓋に挟まってくっちょくちょになった手紙のようなものだと気づいた。
なにこれ…?
私はとっさに頭の中で
「下駄箱+手紙=ラブレター!?」という公式がぽんぽんと並んだ。
いや、そんなわけないっ!
頭の中に浮かんだ公式を頭を横に振って打ち消す。
「…中身見ないわけ?」
と伊織くんは黙ってしまった私に聞いてくる
「いや…たぶん大したものじゃないから
いいかなぁって…」
そう言いながらもいつもと違う朝に
ドキドキと鼓動が大きくなっていったのが分かった。
すると、伊織くんは
「ふっ…大したものじゃないなら
開けりゃいいのに」
と鼻で最初笑いながら言った
た、確かにっ…!
伊織くんはこの手紙で動揺している私の心を見透かしているみたいだった。
すると、伊織くんは上履きはとうに履き替えたので教室に行くのか、くるりと私に背を向けて歩き出してしまった
あんな事言ったのに大して興味がなさそうな背中だった。
「待って!」
私は知らず知らずのうちに背を向けた伊織くんを呼び止めていた。
あれ…なんで私呼び止めたんだろう。
伊織くんは私の声に気づき”くるり”と
さっきよりは距離が離れているけど、また私の方を向いてくれた
「なに?」
「…ーーーんで。」
突如私の頭の中に現れた提案を口に出すと
思いのほか小さかった。
「ゴメン 聞こえない」
「だ、だから
あなたがこの手紙を読んでくれない?」
「は?」
伊織くんは馬鹿にしたような呆れたような声を出した。
目はこちらを向いて『なに言ってんだ?』っていう顔をしている。
…そんなの分かってるよ。
でも、なんか怖い
1人で見るのなんて心細いし
もしかして、嫌がらせだったら。
それになんだか頼んでみたくなった
それは自分でも分からないけど。
私はトントンと下駄箱の前を通過し伊織くんに近づいてまだ手紙なのかもよく分からないくちょくちょの紙を突き出した。
「だって怖い。
もし変な内容だったら私に見せないで捨てていいから。
お願い。」
そう言って卒業証書みたいに伊織くんに紙を出したら、体が震えているのに気づいた
嫌な思い出したくもない記憶が頭をかすめた
だ、大丈夫。
もうあんな事忘れたんだから。
思い出さなくてもいい
すると、急に手元が軽くなって
コンッと頭を小突かれた
「いてっ」
そう思って頭を上げると
「”1-Aの鈴鹿梢さんへ
話したい事があるので、今日の放課後16時半
体育倉庫の前に来てください
1-B 高倉”」
伊織くんは盛大に音読してくれた。