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そして、ある朝
私は何故だか朝早く起きてしまった
いつもならバタバタと食パン一枚を食べながらそれと同時進行で制服に着替えたりするのに、この日の朝は優雅(とは言っても相変わらず食パン一枚だけど)な朝ごはんの時間を過ごした。
そんな風に時間が余っていると
少し早めに学校に行ってみようかなー
といつもより早い電車に乗ってみる。
だけどそうなると、くらくらするほど電車の中に人がいっぱいでちょうど、電車の真ん中に乗ってしまいつり革がない。
つり革がないから周りの人に体重をかけながら必死で足を踏ん張る
つり革ないとこ1番嫌いなのにーー!
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やっとの思いで学校についた時には
いつも、ポニーテールにしている髪の毛を
余裕があるから「ちょっと巻こうかなー」と下ろして内巻きにしてきたのに外に跳ねちゃってるし。気分はだだ下がり。
こんなんだったら、いつもの時間に来た方が何倍もマシだった
そう思いながら、学校の昇降口の自分の下駄箱を開こうとすると古いから立て付けが悪い
私の学校の下駄箱はよく灰色の他の学校も使ってるよーな蓋[?]扉[?]が付いた下駄箱。
立て付け悪いのは知ってるけどいつもに増して今日は立て付けが悪い。
「んっ!開かない!!」
まだ、朝早いのか私の声が昇降口に響いて少し恥ずかしくなった。
すると、トントンという足音がこちらの下駄箱の方にやってくる音が聞こえた。
私のクラスの方の、下駄箱に用がある人じゃありませんように。
ずっと、「下駄箱の蓋を引っ張ってる」なんて変なところ誰にも見られたくない!!
絶対変な人だと思われる!!!
そして開かない!
そう思いながら一生懸命に引っ張り続けるも足音の主は私の願いとは裏腹に私のクラスの方にやってきた…気配がした。(だって開けるのに必死で見てらんない)
なんだか、見られたと思うともうどーでも良くなった気がして 私は開き直ったように
さっきよりも増して下駄箱の蓋を引っ張る
すると、音の主は私の真後ろに立った気配がした。
私はとっさに私が邪魔で靴が下駄箱にしまえないかと思い後ろを振り返ると
そこには、上条伊織がいた。
「今日は朝早いんだね。鈴鹿さん」
と遠回しに『いつも遅いのにね』というように伊織くんに言われた。
ちゃんと喋った回数はほとんどない。
なのに、なんでそんなに小馬鹿したような感じなんだろう。
「…おはよう」
とさっきの伊織くんの言葉をスルーしつつ
無難に返した…つもり。
そして、また開けようと伊織くんに背を向けて奮闘しようとすると
「…開かないの?」
と言う伊織くんの声が頭の上から降ってきた
「え、…あ、 うん。」
「貸して。」
私は驚いた。まさか伊織くんの方から手伝ってくれるとは思わなかったから。
伊織くんは私の返事も待たず私の下駄箱の蓋の取っ手に手を入れてぐいっと自分の方へと引っ張った
すると、同時に
ガッコッッという音が響きキィキィ蓋は音を立てながら見事に開いた