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さっきも言ってたけど、今は”六時間目の現代文の授業”



先生の朗読は子守唄と化して


クラスの前方はほとんど全滅。

中央には刻々と魔の手が迫っている

後方はまだ余裕があるけど寝ている人もちらほら。



国語は日本語だから、数学みたいに「一回寝ちゃったらもう分かんない!!」ってことにはならないから寝やすいんだと思う。



あー私もちょっと眠いなぁ。



と思いながら隣を何気無くみると



あぁ、また寝ている。



私の隣の席の男の子は五時間目の授業からぶっ通しで睡眠授業に取り組んでいる。

そして、寝方は大胆。

ほとんどの人が寝ているのをばれないように

頑張っているのに

この人は、顔を机に突っ伏して手を枕にして

気持ち良さそうに寝ている



こんなに目立ってたら当たんないのかなぁ。



と気になって顔をチラッと見てみると

男子なのに長いまつげ。黒い髪。

いつも、本ばっかり読んで地味な感じなのに

意外と整ってる顔をしているのに改めて気づいた。



この人の名前は上条伊織(かみじょう いおり)



不思議な人。

いつも授業寝てるのに成績だけは良いらしい

それに…____



「じゃあ、寝てるからこの段落を…

上条 読めー」



と先生が『当ててやったぞ』とばかりに

伊織くんを指す。




あーあ ほら当たっちゃった。



そう思って、伊織くんの方を見るとさっきまで寝てたのにもう姿勢が直ってて

他の人だったら、寝起きでぼーーっとした顔をしているのに



「”先ほど私が言ったとおり、説明には…”」



当たり前のような感じで

『今まで起きていましたよ?』と言わんばかりに普通に読む

そんな伊織くんをみると先生はなんだか悔しそうだった。



伊織くんはよくそういうことがある

これもまた不思議。




…まぁ、でも私も伊織くんの前で”伊織くん”と呼んだことはない。

なんか、特別変な感情とかがあるわけじゃなくて


クラスの自己紹介で初めに伊織くんは

「女っぽい名前かもしれないけど

よろしく」そう言った

”伊織くん”に名前が”梢”の私は少し親近感を覚えた。

だから、心の中では”伊織くん”と勝手に呼んでいる



チラッとまた伊織くんの方を見てみるともう

段落を読み終えてまた寝ようとしている伊織くんと目が合った。



すると、なんだか知らないけど少し伊織くんは私の方を見て少し笑った。




私が思っていたこと全部見透かさせたような気がした。



…ば、バレた?


そうヒヤヒヤしていると



伊織くんはまたすぐに睡眠授業に戻った




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