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伯爵様は養子との距離について悩む。

 グランは、私の力を見てからこの家に仕える使用人たちに様々な事を聞いていたみたいだった。私という存在について。そしてああいった襲撃はよくあることなのかについてとか、そういう事だってワオが言っていた。

 『炎剣帝』なんて物騒で有名すぎる名前を私が口にされるの嫌だって知っているからか、はたまたグランが誰の養子になったのか知らない様を面白がっているのか、使用人たちは私がどう呼ばれているかはグランには教えていないらしい。

 別に私の前でいうわけじゃないなら、教えてもいいんだけどなーとか思いながらも私の方から自分がどういう呼び名を持っているかなんてグランにいうつもりはなかったりする。

 「グラン」

 それよりも、私がグランに話しかけると少しグランが警戒するようになっちゃったんだよね。ちょっと悲しい。グランに対してどのくらいの距離で接するべきなのかちょっと悩む。そもそも私はグランぐらいの年の子と接した事はないのである。実家では私が末っ子だったし、甘やかされた記憶はあれど、幼い子供との接し方はよくわからない。

 そんなやつが養子なんてとるなとでも思われるかもしれないけれども、それでも私は美少年を養子にしたかったんだもん、仕方ないよね。

 「ねぇ、どのくらいの距離で養子と接すればいいかなー?」

 「しらねーよ」

 またまた遊びに来ていたイサークに質問すれば、冷たい言葉が返ってきた。その整った顔を呆れたものを見る目に変えている。

 「というか、幼い子供の前で人殺すとか、魔法使うとかお前は何を考えてんだよ」

 「え、だって私の養子だよ? これから大変な目に合うに決まってるじゃんか。それぐらい慣れてもらわないと。それに私が強いって事グランは全然わかってくれなかったから、私はこんな強い魔法使えるんだよーって見せて凄い! って目で見られたかったし」

 「……何処から突っ込んでいいかわからねぇよ」

 イサークはため息交じりに告げる。明らかに色々とおかしい。何を言っているんだこいつといった目で私を見ている。酷い。

 私は抗議するようにイサークを睨み付けた。そうすれば、イサークはため息を吐いていった。

 「確かにお前の養子ならそれはもう大変な目には合うだろうさ。でも、見せるにしてももっと時間を置いてからの方がよかっただろ。信頼関係を築いてから見せるとか、つか、見せるにしてもわざわざ刺客を殺すなんて物騒な方法じゃなくてもいいだろ」

 「えー、だってそこに刺客がいたし、いいタイミングかなって思って」

 「……そんなことを思うのはお前だけだ。考えてみろ、マリアージュ、お前はグランぐらいの年にはもう魔物ぐらい倒せてただろ」

 「うん」

 私は頷く。魔物は倒せた。剣技の才能があったからか、一閃で殺す事が出来た。襲われた時に、護衛の持っていた武器を振りかざし、そして倒すことができた。一度倒す事が出来てからは、あとは感覚を掴めるようになったのか、簡単に殺せるようになった。

 「人を初めて殺したのはいつだ?」

 「7歳ぐらいかな、屋敷の外で遊んでいたら誘拐されそうになって気づけば相手は死んでた」

 爵位の低い貴族だけれども、私は仮にも貴族の娘で、貴族の令嬢であった。誘拐しようとした人は居た。武器を持っていない時で、正直焦った。捕まえられそうになって有り余る魔力が暴走した。

 そして気づけば誘拐犯は死んでいた。

 呆気なく、魔物も人も死んだ。私にはそれだけの力があった。制御方法も、それから学んだ。殺そうとしていない時に人が死なないように。誤って殺してしまわないように。

 制御をしなければいけなかった。そうしなければ簡単に殺してしまえた。

 「……普通の子供はそんな風に魔物を相手にしたり、人を殺したりしねぇからな?」

 「知ってるよ。でも、グランは普通の子供ではないよ。私の養子だもん。それに奴隷でもあったんだから普通の子供よりも悲惨な経験しているはずだし、このくらいなら大丈夫かなーって思ったんだけどな」

 普通の子供と私の子供時代が一致しない事ぐらい知っているけれども、それでもグランって奴隷だったし、このくらいでショック受けるとは思わなかった。

 「いや、普通に考えてショック受けるに決まっているだろ」

 「まぁ、これからはあんまりこういうのグランに見せないようにするよ。今回は私の養子ってことで覚悟を決めてもらおうと思って見せただけだしさ。それにあの綺麗な顔がショックに歪むのは見たくないし」

 「……お前、グランを養子にした理由見た目だろ?」

 「ちゃんと考えてはいるよ? グランは人間とエルフのハーフだから魔力量も多いし、鍛えがいあったし。まぁ、でも一番の理由は見た目だけど」

 グランの綺麗な顔は見て居て好きなの。あれだけ美しい顔だと、もう国宝みたいなものだよね! 何よりも守らなければいけないものだと思っているよ。

 そんな風に答えたら残念なものを見る目でみられた。結局しばらく会話を交わしてイサークはかえっていった。



 はぁ、結局イサークはグランとどんな距離感で接するべきか答えてくれなかった。どう接しようかな。




 

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