身体がふわふわすると思ったら…… ①
「むむむー」
何だか、私は自分の身体の様子が少しおかしくて不思議な気持ちになっている。何だかふわふわ? どうしたんだろうね?
まぁ、グランと結婚してからグランに愛されていて、何だかふわふわした気持ちでいっぱいだけどね。
いや、本当にいまだに私がグランの奥さんやっているとか不思議すぎるよね。
「マリアージュ様、どうしたんですか?」
「何だか変なの」
「変とは?」
「むずむずするっていうか、もわーって」
「……それだと何言っているかわかりませんが」
私の言葉にそんなことを言われる。
むー、本当に違和感あるのになぁ。
「……本当に具合が悪いなら、お医者様に見てもらいましょうね?」
「医者? 私体調崩すことも全然ないよ?」
「医者にかかったこと、マリアージュ様はなさそうですものね」
正直、医者にかかることはあんまりない。怪我した時は見てもらうけど、私って怪我治るのも結構早いしなぁって感じだし。
病気っていうのはそもそもほぼないし。……うん、私は病弱な人の気持ちはいまいち分からない。
私が戦いの怪我以外で医者を呼ぶなんてないよね。
そう思いながらも夫となったグランにも、身体がちょっとおかしい気がするって報告しておく。
「マリアージュが身体の様子がおかしいっていうのって、珍しくない? 大丈夫? 俺がマリアージュに育てられるようになってから一回もなかったよね?」
心配している顔のグランも、とっても綺麗。
はぁ……なんかもう可愛い顔していて、息が荒くなる。可愛い。
それにこうやって心配されるの嬉しいよね!!
「……マリアージュ、俺は心配しているんだよ? もうちょっと自分の身体のことなんだからちゃんと考えよう?」
グランの顔がグイッと近づいてくる。そしてそのまま唇を奪われる。多分、私が大人しくなるようにだろう。それにしても舌が入ってきているよ! 色気がやばすぎる。
「ちゃんと真剣には考えているよ?」
「本当に?」
「うん。まぁ、私がそんな大きな病気するとは思わないけど。なんかふわふわーってするだけだし」
「……それで本当に病気だったらどうするの? 幾ら元気な人でも病気になることはあるんだよ?」
「グランは心配性だなー。可愛いー」
ぐりぐりとグランの頭に手を伸ばして、撫でまわす。私よりもすっかり身長も高いんだよね。でもグランって私が手を伸ばせば屈んでくれる。可愛いよね!
「……ねぇ、マリアージュ。俺はマリアージュが俺を置いていくことが嫌だと思うんだ。俺はマリアージュと折角結婚出来たのにマリアージュが居なくなるのは嫌だよ」
悲しそうな顔をして、そんなことを言われる。ああ、可愛い。そういう表情をしていても色気も抜群だし、凄すぎない? 私に対してただの男として接するようになってからの色気が!!
グランは本当に私のことが好きなんだなと思って、ニマニマしてしまう。
「ふふふー、可愛いなぁ。私のグランは。大丈夫だよ。というか、そういう後ろ向きなことばかり考えるより、大丈夫って思ってた方がよくない?」
「マリアージュは楽観的だよね。そういう明るさが魅力的だけど」
「というか、私は例えば病気か何かだったとしてもそういうものに負ける自分が想像なんて出来ないもの。私は何にも負けないわ」
「ははっ、本当にマリアージュらしい。マリアージュのそのふわふわした気持ちっていうのが何かは分からないけれど、でもマリアージュがそういうなら大丈夫だって思うよ」
「安心していいよ! グランをおいていくなんてありえないもの。私は長生きして、可愛いグランを沢山見るし」
うん、というかさ、グランと結婚してから今まで見た事ないグランを沢山見れているんだよ。そういうグランをもっと見たいなと思っているし、絶対にグランを悲しませたくないって思っているもん。
私の言葉にグランが笑った。
やっぱりグランは可愛いし素敵。
「マリアージュが本当に病気だったら、ちょっと大人しくしてようね。幾らでも療養地はあるし。マリアージュはいつも元気に動きすぎだもん」
「んー、動かないの落ち着かないけれど、グランが一緒にいてくれるなら考えてもいいかも」
「……まぁ、確かに俺もマリアージュがゆっくりしているのは想像出来ないけど。幾ら思い出してもマリアージュが大人しくしているの思い出せないけど」
私って動き回るの大好きだからね! このふわふわした感覚って病気なのかな?
んー、身体のだるさとかはないんだよね。私、元気。そう考えると、なんなのだろう? 私の感じたことのないような感覚。
本当に何か大人しくした方がよければ考えようかな。グランと一緒ならのんびりもありかななんて考えている私であった。
その数日後に、屋敷に医者がやってきた。
その人から言われた言葉に私は驚いた。




