結婚式に関して 5
結婚式の場に私たちが姿を現わすと、一気に周りの視線がこちらに向く。こうやってドレスを着て着飾った姿で人の前に出る……というのも何だか私にとってみればあまりないことで、何だか少し恥ずかしい気持ちにもなる。
夢見心地な気分が中々なくならない。
私は確かに此処にいて、そしてこれからグランとの結婚式だけどやっぱり少し夢みたいに思えてしまうというか……。だけれどもグランと目が合って、これが現実だと言うことを実感する。
「マリアージュ」
嬉しそうににこにこと私の名を呼ぶグランを見ると私も幸せな気持ちになった。
そして神父の言葉を聞き、結婚の誓いを立てる。私もグランも、戦いの中で生きている存在であるから、自分の剣と心に誓い合った。結婚の誓いの言葉って、それぞれの新郎新婦に関わるものに誓うのが多いんだよね。私とグランだと、剣が一番身近だから。
それにしても沢山の人が、私とグランのお結婚式をお祝いにきてくれておめでとうと言ってくれることが嬉しい。式にいるお父様は泣いていたし。それにしても何だかこういう風に祝われるの不思議な気分。
それにしてもグランと人前でキスするのなんて恥ずかしかった! グランが年下なのに、余裕そうで、敢えて私から深く口づけしたらグランも赤くなっていたわ。うん、やられっぱなしは私らしくないものね。
小さな子供たちが、「俺も《炎剣帝》様と《光剣》様みたいに強くなる」とか言っていて、私もにこにこして頷いた。
どんどん、そういう小さな子たちにも強くなってほしいものよね。強ければ強い程、大切な人を守ることが出来るもの。それに敵対している人たちや魔物って脅威がこの世界にはあるもの。
「ねぇねぇ、グラン、何だか大人しくしているのうずうずしちゃう」
「マリアージュ、結婚式ぐらい大人しくしようね? まぁ、俺はマリアージュがマリアージュらしくしているのを見るのは好きだけどさ」
そんなことをグランに言われるけど、私って身体を動かすのが本当に好きなんだよね。大人しくしているのは落ち着かないしさ。
結婚式ってお祝いされるのは楽しいけれど、何だか落ち着かないよねぇ。
そういうわけで、結婚式を終えた後は動き回りたいなーって思った。だからグランの耳元に顔を近づけて、「後で遊ぼう」って声をかける。グランは仕方がないなぁという顔をして笑ってくれた。なんというか、グランは私に結構甘いというか、私の頼みをあんまり断らない感がある。グランは私のことが好きなんだなというのが分かるので、なんだか嬉しくなった。
結婚式が終わった後も、私とグランの結婚をお祝いするお祭りのようなものが行われることになっていて、それもまた面白い。私って、お祭りとか騒がしい事も好きだからこういうのが続くのも面白い。
でもまぁ、お祭りの場を見に言ったら全員に「結婚おめでとうございます」と言われたり、周りから騒がれたりするのはちょっと恥ずかしいけどね! というか、私とグランの結婚式をお祝いする祭りだからか、出されている食べ物とかも記念として作られたものだったり、何でもかんでも『《炎剣帝》様と《光剣》様の結婚祝い記念』といった記念品ばかりなのだけど。
折角だから私も記念品買おうかなぁと思ったら、私は祝われる本人だからってタダでもらえた。その人だけじゃなくて、見ていた人たちも全部送ってくれるとか言っていた。
私、お金は沢山持っているから買おうかなと思っていたのに、皆、人がいいよねー。
サーラ様も私やグランと一緒に祭りを楽しんでくれた。サーラ様も沢山、お買い物をしていた。サーラ様はその立場からあまり自由に祭りを楽しんだりも出来ないから、私と一緒だからって自由に出来るのが楽しかったみたい。
私も女神であるサーラ様と一緒に過ごせてとても幸せな気持ち。
「……マリアージュ、俺と結婚したんだからサーラ様とばかりじゃなくて俺にも構って」
まぁ、サーラ様にひっついていたらグランにそんな風に言われてしまったけどね!
あとね、私とグランの結婚式っていうおめでたい行事にちょっかいをかけてくる人も当然いるのよね。命を狙われたからさくっと報復したよ!
フロネア伯爵家の民たちは、私がそうやって誰かに報復したり、暴れているのは見慣れているから「マリアージュ様頑張って」とか応援されたよ。でも中には私の領地の民を人質にしようとする馬鹿もいたよ!! グランと一緒にとっちめたけどね。
「ねーねー、グラン、沢山の人が私とグランの結婚式のお祝いしてくれたね」
「そうだね、マリアージュ」
「グラン、なんか嬉しそう?」
「そりゃあ嬉しいよ。だってマリアージュが俺と結婚してくれたんだから」
お祭りを楽しんで、屋敷に戻った後にグランがそんなことを言って嬉しそうに微笑む。うん、顔が良い! でもそういう愛おしそうに見られるとなんかこっぱずかしいね!
嬉しそうに笑っているグランの頭を思わず可愛いなーって撫でていたら、小さく笑ったグランに押し倒されたよ!!




