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結婚式に関して 4

 今日は結婚式の当日。

 その日は、私は目覚めが早かった。ちょっと前からそわそわしていて、不思議な感覚でふわふわした気持ちだったから、ついつい目が覚めてしまったのだと思う。

 それにしても私が結婚!!

 なんか、改めて実感すると夢なんじゃないかってそんな気持ちになる。しかもグランみたいにとっても綺麗な子がだよ!! 本当に現実か!? みたいになるよねぇ。

 そわそわしながら窓を開けて、散歩に行こうかなと思っていたら、

「マリアージュ、当日に逃げないでね」

 って声をかけられた。

 見れば窓の下にグランがいた。

「逃げないよ! 落ち着かないから散歩に行こうかと思っていただけ」

「駄目だって。当日だから大人しくしていて。ね、マリアージュ」

「うん!」

 ああ、グランが小悪魔だよ。私がグランの見た目に弱いことを知った上で、敢えてお願いしてくる! グランは私の扱い方が分かっているというか、なんというか……。グランに頼まれているわけだし、結婚式当日だし、落ち着いておこう。

 はぁー、それにしてもフロネア伯爵領の中でも最も大きな大聖堂で結婚式するのよねぇ。朝早くからグランと一緒に会場入りしたのだけど、何だかまだ始まるよりもずっと前から沢山の人が溢れていた。これだけの人が私の結婚式をお祝いしに来てくれていると思うと何だか少しだけ不思議な気持ちになったわ。

 私は本日の主役というわけで、めちゃくちゃ着飾らせられた。

 正直、これが私なのだろうかって気がする。いや、結婚式は花嫁にとっての一番の晴れ舞台だし、こんな風にするっては分かっていたけれど。

 それにしても普段、私って化粧あまりしないのよね。そもそも身体を動かすのに邪魔だし。

「マリアージュ様、お似合いです」

「グラン様も見惚れますよ」

 なんて侍女たちにおだてられて、悪い気になるわけがない。それにしても私がこれだけのレベルで仕上げられるということは……! グランはもっとすごいんじゃないのかしら。

 普段のグランもとっても素敵で、可愛くて、やばいのに、着飾ったグラン……うん、やばい気しかしないわ!

 それからみんなの前に出る前にグランと会ったのだけど、とても素敵だったわ。だって元から凄い美形なのよ。私のグランってかっこよくて、最高で……! 全て綺麗に整えているグランはどうしようもないぐらいに王子様のようで……かっこいい! ってなった。

「マリアージュ、どうして視線を逸らすの?」

「いやー、思ったよりもグランの完成度が高くて! もう王子様みたいじゃない。やばいわー。一生見てられる。でもこんなに王子様みたいなグランの隣が私か―ってちょっとなるけど!」

「俺はマリアージュの隣以外には立たないよ? でも褒めてくれてよかった。マリアージュも、綺麗。こんな風に着飾ったマリアージュの隣に立てて、俺は感無量だよ」

 そんな大げさなことを言うグランを私は不思議に思ってみる。

「大げさじゃない?」

「大げさじゃないよ。だって、マリアージュ自身は自覚していないだろうけれど、マリアージュが思っているよりもマリアージュは凄いんだよ。俺は幼いころからずっとマリアージュの隣を追いかけていたから。マリアージュが、俺を受け入れてくれて、俺と結婚してくれることが本当に嬉しいんだ」

 そんなことをグランが言いながら、何だか感激しているのか少し泣きそうだったので思わず手を伸ばしてグランの頭を撫でた。

 私と結婚できることを、グランは心から、こんなにも喜んでくれている。その事実は私を喜ばせるのには十分だった。

「私もグランがそんなに喜んでくれて嬉しいわ!」

「マリアージュの倍ぐらい、俺は喜んでいると思うよ。だってマリアージュは俺のお願いに頷く必要もなかったから」

「まぁ……、お願いには驚いたけど、私グランの顔大好きだし、グランのお願いなら聞いてあげたいなーって」

 グランのお願いをきかないことだって出来たけれど、私はやっぱりグランのお願いをきいてあげたかったから。

「あのね、グラン。私の気持ちって、グランが私を思ってくれている気持ちよりは小さいかもしれないけれど……でも私はグランの子供を産んでもいいかなってぐらい、グランのことを好きだとは思っているよ?」

 というか、幾ら好みの見た目の子でもさ、恋仲になったり、結婚したり、子供を産むってそういう気持ちがなきゃ出来ないんじゃないかなーって。

 そんな風にいったらグランは、嬉しそうに笑った。うん、可愛い。

 恥ずかしかったけれど、グランが喜んでくれるならいいことだよね。


 そんなこんな話ているうちに時間になった。



「じゃあ、マリアージュ行こうか」

「うん」

「マリアージュが、俺の物になるんだって沢山の人に見せびらかせるのが俺は嬉しいよ」

 そんなことを言うグランと一緒に、私たちの結婚式をお祝いしに来てくれている人たちの前へと出た。




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