結婚式に関して 2
結婚式のための準備が進められている。
私もグランもこの国にとっての英雄という立場なので、それはもう盛大に結婚式は行われることになっている。
「なんかドレスが大量にあって、どれがいいか分からない!」
結婚式のドレス、選ぶのも大変なんだよね。
結婚式が行われた後に、屋敷でのパーティーもやるの。というか、割と何日もかけてこのフロネア伯爵領ではお祭り騒ぎになる予定らしい。……いや、うん、恥ずかしいけれど、皆がお祝いしてくれると思うと嬉しいものだよね。
でも結婚式やその後のパーティーでも、ドレスを着ることになっているから、何種類ものドレスに着替えるかと思うと少し疲れそうだと思うけれどね。というか、いつものズボンスタイルじゃ駄目なの? って思うけれど、グランにドレス姿を見たいって言われたからね!
でもドレスを選ぶのも結構大変だ!
というか、王侯貴族の女性たちって一般的に毎回こんな風に大量のドレスから一着選んだりするのだよね。うん、大変だ! 私の女神であるサーラ様もいつもきれいなドレスを着ていた。私が見ている限り毎回違うドレスだった。
私は普通の貴族の令嬢とは違う生き方をしてきたけれど、そういうのも大変なんだなって思った。
今回は結婚式だから、ドレスを着るけれど……その後は着る気はないけれどね。ただグランに可愛い顔で頼まれたら着ちゃうかもしれないけれど。
「マリアージュ様には、こういうのが似合うと思いますよ」
「マリアージュ様はこちらの方が――」
「マリアージュ様自身はどういうのがいいんですか?」
周りにいる侍女や仕立て屋から沢山のことを聞かれるけれど、どれがいいか分からない!
「んー、難しい。多すぎない?」
「マリアージュ様が好きだと思うものにしたほうがいいですよ。一生に一度の結婚式ですからね!」
「とはいっても……どれも私には素敵に見えるもの」
どれも素敵なドレスばかりだ。
だから正直、その中から選ぶのは難しい。
「マリアージュ様は、幼いころは結婚に憧れていたんですよね? その時はどういうドレスを着たいと思っていたんですか?」
そんなことを聞かれて、私の幼いころはどういう夢を抱いていたかと考える。
幼い頃、誰かと結婚して可愛い子供を産めたらとは確かにおもっていて……それで絵本とかも昔は読んでいて。うん、綺麗なひらひらのドレスを着たがっていた気がする。私も昔はただの少女だったしね。
うーん、でもひらひらしたものとかって、似合うのかな。
「昔はひらひらした、女の子が着るようなドレスに憧れてはいたけど……」
「じゃあ、そうしましょう! 結婚式で着るドレスが一番気合を入れて作らなければならないですからね」
「……でも、似合うかな?」
「似合うものにこっちでするんですよ!! マリアージュ様は中々ドレスを着ないので、マリアージュ様のドレスを仕立てるのを皆さん楽しみにしているんです! だからマリアージュ様はそういう心配はせずにどういったものを着たいかだけ言ってもらえたら大丈夫ですから」
「そういうもの?」
「もちろんです。大体、我が国の英雄であるマリアージュ様に似合わないものを作ることは誰もしませんしね。マリアージュ様を着飾りたくて仕方がないんですから」
はっきりとそんなことを言われた。まぁ、私のことを恐れている人たちって結構多いもんね。
でも私ってそこまでちょっとしたことで怒ったりはしないのだけど……。まぁ、意図的に私のドレスを駄目にするとかそういうことをする子がいたらちょっとは注意はするけれど。
それにしてもドレス選びって本当に大変だなぁ。
「というかさ、グランの服ってどうなってるの?」
「マリアージュ様のものとそろえたいって言ってたので、マリアージュ様の方が先です」
「えー、それでいいの?」
「いいに決まっています。グラン様はマリアージュ様のことがとても好きですから。マリアージュ様と結婚できるからって最近凄くにやついてますよ?」
そんなことを言われて、私はちょっと恥ずかしくなった。いや、うん、本当に私は全然気づいていなかったけれど、グランが私のことを好きなのは周りにバレバレだったらしいからね。
改めて言われると照れる!
「マリアージュ様、照れてますね!」
「マリアージュ様は、本当にそういうところ、にぶかったですからね」
まじまじとそんなことを言われる。
散々言われたからね! 私がグランの気持ちに気づかなかったは本当に鈍いって! でも本当に思い起こしてみると確かにグランって私のこと、前から好きだったんだなって分かったけど!
いやー、照れるよね。
そんなこんな侍女や仕立て屋たちと話しながら、ドレスを決めていった。
こんなにたくさんのドレスを着る機会って中々ないし、少し恥ずかしいけれど、どうせ着るなら楽しんだ方がいいよね。




