表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/25

伯爵様は理想の美少年を見つける。

 「美少年を養子にする」という目的のために、私は孤児院と奴隷市を巡ることにした。ある程度幼い子供ならば、育て方次第で伯爵家を継げるようにはできると思うし、五歳~七歳程度の子供が丁度良いかなと思っている。

 「うーん」

 家につかえてくれている者たちを連れて、孤児院をいくつか回ったけれど、今のところ私が求めるような美少年は居なかった。

 貴族の方が美形率が高いものだから(とはいっても私は普通顔だけど)、平民だと美少年はあまりいないのよね。子供は可愛いものだから、本当に本当に、美少年が見つからないのならば他の子にするけれども、できれば美少年がいい。

 可愛い系でもかっこいい系でも可。

 美しい人の幼少期を養育者として一番に側で見守ってられるとか、最高の幸せだと想像しただけで思うから。

 理想の美少年を育てる日々を思うだけで、もう口から「むふふ」と怪しい声が漏れる。それで色々と周りに残念なものを見るような目で見られたけれども、そんなの気にしない。

 とりあえず私は美少年を育てたい! やると決めたことは絶対にやり遂げたい。そんな思いだから必死に”理想の美少年”を探す。ああ、どこにいるの、理想の美少年!! なんて少し悲観的になりながらも色々見て回ってたら、とっても綺麗な子が奴隷に居た。

 奴隷として扱われているからこそ、お風呂など入れないのだろう。その身体はどこか汚れている。だけれども汚れていたとしてもその美しさはごまかせない。

 髪の色は黄金。キラキラと光り輝く色。さらさらとしたその髪はいつまでも触っていたいほどの魅力がある。空のように透き通るような水色の瞳は、残念ながら生気がないけれども、だからこそその目が生き生きと輝いた時はどれだけ美しいのだろうと想像させた。

 それは、”人間”と”エルフ”族とのハーフであることもあって今まで見た事もないような美しさを持っていた。

 エルフは人間社会にほとんどかかわってこない森の奥深くに住まう魔法が得意な種族だ。寿命も人間よりも少し長い。人間以外の種族を人間は迫害をしていて、汚らしい亜人だとかいう人も多いけれど私は特にそうは思っていない。

 戦争中に亜人の友人もできたってのも理由の一つなんだけど。エルフとのハーフを跡取りに育てるなんていったら色々煩い貴族が居るかもしれない。だけれども、私は正直な事を言うとその美しすぎる男の子に一目ぼれにも似た感覚を持ってしまった。

 この子がいいと、この子じゃないと嫌だと。そんな風に私の本能が叫んでいて、この子を養子にしなければきっと後悔するってそんな気持ちにさえなった。だからこそ、私はその子を買い取る事にした。

 亜人は基本的に人間よりも身体能力が高いけれども、私なら抑えられるし暴れられても問題ない。それに私は養子にした子に自分を守るための術を教え込むつもりなのだ。亜人の方がそういうことは教えやすい。

 奴隷商に聞いたその子の歳は六歳。丁度良い歳だった。

 「私は貴方を引き取ることになったマリアージュ・フロネア」

 私の奴隷となるからと鎖を外されたその子と目を合わせるように屈んで、私は笑いかけた。

 別に悪いようにするつもりはない。本当の家族のように信頼関係のある関係になりたい。だからこそ、安心させるように笑いかけた。

 「………グラン」

 「グランね、よろしく。貴方は私の養子にするから、お母さんか、お姉ちゃんって呼んでね」

 にこにこと笑って言えば、一瞬固まったその子が口にした言葉は私の希望とは違うものだった。

 「………マリアージュ」

 呼び捨てだった。でも呼ばれた瞬間、それもありだと思った。だって美しい美少年の、鈴のなるような綺麗な声が私を呼ぶなんて最高すぎるでしょ。

 「ふふ、まぁ、そう呼びたいならそれでもいいわ」

 だから私はそういって笑った。

 グランは突然私の元へ引き取られる事になった事に戸惑っていたみたいだけど、私におとなしく連れられて家へとやってきた。

 





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ