結婚式に関して 1
本編後、結婚式までのことと結婚式のこと
「マリアージュ様、おめでとうございます」
「マリアージュ様、グラン様とご結婚されるのですよね。おめでとうございます」
「《炎剣帝》様、結婚式楽しみにしています!」
……グランにプロポーズされてさ、その後、ベッドに連れ込まれて、まぁ、嫌ではなかったからいいんだけど。
会う人会う人が、私にお祝い言っているんだけど! あれ、私がグランと結婚すること、そんなに広まっているの? これあれかなー、グランが私の外堀をもっと埋めようとしている?
グランが私のことをそれだけ好きだって示しているみたいで……何だか私は急に恥ずかしくなった。思わず赤くなった私を知り合いの子供が「赤くなってるー」なんて言っていて正直恥ずかしくて仕方がなかった。
どこまで広まっているのだろうか……? と思いながら私は戦慄している。
いやだってさ、まぁ、私も所謂英雄と言われる身だし、グランだって英雄になったからさ……うん、仕方がないとは思うけど、恥ずかしい!
というわけで私はぶらぶらしているよ。
結婚決まっているのにぶらぶら、森の中を徘徊している。
森の中で魔物を見つけてとびかかって仕留めておく。うん、やっぱりこうやって体を動かすのは楽しい。それにこういう強そうな魔物はどんどん倒しておかないといけないもん。そうじゃないと普通の人はすぐになくなってしまうもんね。私も普通の人が魔物の脅威とかで亡くなるのは嫌だし、こうやって魔物を間引くのも領主の仕事だしね! まぁ、今は人に会うと結婚の話ばかりされるから恥ずかしいって言うのもあるけど。
そのうち私も周りから結婚の話をされるの慣れるのかなー?
というか、私が結婚かぁ……って思うと凄い不思議な気持ち。グランに美味しく頂かれてしまったわけだけど、まだ実感が……こう、うーん。それにしても私の幼いころの夢がかなうんだよね。
結婚なんて私には出来ないだろうなって思っていたのにな。それなのに、グランっていう綺麗な子と結婚するなんて。
一時的な気の迷い……とも言えない気もするけれど、でもグランは冗談で好きって言ってくる子じゃないし。多分、グランって本当に私の事を好きなんだと思う。
いやいや、そう考えると、凄い顔が赤くなる! キスされたし、思いっきり分からされてはいる……けど、こう、うん。
結婚かぁ、結婚式かぁ……。
結婚式って、女の子にとっての憧れだよね。
というか、私もドレスを着ることになるよね。……グランも張り切っているし、大きな式になりそうって言ってた気がする。
サーラ様たちもお祝いにきてくれるっていってたし。天使であり女神であるサーラ様が着飾ってお祝いにきてくれると思うととても嬉しい。それにもっと着飾っている美しい子たちのことも見れるんだよね? そう考えると俄然やる気が出てきた。
グランや侍女たちは、私をどんなドレスで着飾るかとか一生懸命相談しあっているけれど。私よりももっと周りを着飾った方がいいのでは……? って思ったのよね。まぁ、私の結婚式で私が主役だから、私を着飾らなきゃって言われたけど。でも確かにそうだよね。
途中からすっかり諦めていたけれど、誰かと結婚することって私の一つの昔の夢だったんだよね。
結婚……結婚するんだよね。
なんか……ちょっと恥ずかしいけれど、これからのこともワクワクしてる気持ちもある。何だか、熱に浮かされたような感じ。
私は魔物退治を終えた後、森の中の川にやってくる。
こういう川でのんびりとするのも私は好きなんだよね。しばらくのんびりしていたら、グランがやってきた。
私を迎えに来たらしい。
落ち着かないんだよなあ、グランの顔見るの。うん、だってなんかこう、美味しく頂かれちゃったわけだしなぁ。グランも男の人なんだなって実感したって言うか。うん、私幾つだって感じだけど、好きだとか可愛いとかばっか言ってくるグランに落ち着かないなって思うのは当然じゃない?
「マリアージュ」
ああ、もうなんて甘い顔をしているかしら! 見ているこっちが恥ずかしい。
「こんなところにいたんだね。街からマリアージュが猛スピードで出て行ったって聞いたけど?」
「……だって皆が、結婚の話ばかりして恥ずかしいんだもん! 寧ろグランは恥ずかしくないの?」
私はとっても恥ずかしいのに、なんでクランは平然としているのだろうか。
「全然。寧ろ皆がマリアージュが俺の物だってわかってくれているなら嬉しいにこしたことはないし。俺はやっとマリアージュが俺のマリアージュになってくれたことが嬉しいからね」
「ひゃう!」
何という破壊力!
グランが凄い破壊力あることを言っているよ!
「マリアージュ、可愛い」
「はいはい! グランの方が可愛いよ。美形だよ! イケメンだよ!!」
「ははっ、本当に恥ずかしがっているマリアージュは可愛いね」
そんなことを言って笑うグランに連れられて私は一旦屋敷に戻るのだった。




