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まだまだ慣れないよ!

「マリアージュ様、何をなさっているのですか?」

 チノにそんなことを問いかけられる私、マリアージュは現在木の上に登っていた。

 思わず見つかってしまった! ってそんな気持ちになった。

 木々の合間に隠れるようにそこにいたのだけど……長い付き合いのチノには私が此処にいるのを悟られてしまったらしい。

 私が今、何をしているかというと……結婚したグランから逃げていた。

 というのも、グランが……私のことを好きだとか、可愛いだとか言いすぎだもん! からかっているの? って思ったけれど、本気だって言われるし。そんなもの言われ慣れていない私は恥ずかしくて仕方がないの!

 それにグランの綺麗な顔で、とろけるような笑みでそんなこと言われたら……なんか落ち着かない! いや、もちろん、眼福なんだけれどさ。

 いいんだよ、全然、美少年であるグランがそういう素敵な表情を見せているのは。でも相手が私なのがまだ慣れない。

 はぁ、というかね、私、男性経験何て皆無だったわけだよ! それなのにグランからグイグイ来られるとさ、こう、耐性なんてないからさ! 

 絶対誰かと結婚なんてしないと思っていたからこういう風に誰かと結婚するなんてさー、なんかこう? いまだに夢みたいな感覚!

「グランが、私に迫りすぎなんだもん! あんなに綺麗な子が私に甘いとか、やばくない!? 落ち着かないよ!?」

 あんなに綺麗でかっこいいグランが私に甘すぎるんだよ! なんだろう、プロポーズしてくるまでは隠していたのかそんなことなかったのに、すっかり私のことが大好きだって示しすぎじゃない?

 周りからしてみれば、私に結婚言いだす前からバレバレだったって言われたけどさ。

「いい加減、慣れてください」

「いや、だ、だってさ! グランが私のこと、可愛いってすごい言ってくるんだよ!」

「そうですね。グラン様にとってはマリアージュ様は可愛いのでしょう。ほら、男にとって好きな子は世界で一番可愛い言いますからね。グラン様にとってはマリアージュ様は世界で可愛い女の子なんですよ」

「……チノ、私のこと、からかってない?」

「気のせいです」

 絶対気のせいじゃない。

 ……というか、やっぱり恥ずかしくない? 嬉しいよ。嬉しいけれど、なんかこう……むず痒いっていうか。落ち着かないっていうか。

 こういう時にはあれだよね、思いっきり気分を紛らわすのが一番だよね!

「よし、ちょっとぶらぶらしてくる!」

 木の上で立ち上がり、私は飛び降りる。一回宙返りして、着地してそのまま駆け出そうとして、

「マリアージュ」

 いつの間にか近くにきていたグランの声に止められた。

「……グラン」

「マリアージュ、どこ行こうとしているの?」

「ちょっとぶらぶらしてこようかなーって」

「マリアージュ、俺から逃げないで」

 近づいてきたグランに手を掴まれて、真っ直ぐに見られてそんな言葉をかけられる。

 あぁ、本当に綺麗な顔! グランの綺麗な瞳に私が映し出されているのもなんかいいよねぇ。なんて思っていたら、

「マリアージュ、俺から逃げるって、俺のこと、嫌い?」

「そんなわけないじゃん!」

 グランが悲しそうな顔をしたので、思わずそう叫ぶ。そして私の言葉にすぐに表情が変わる。

 私のグランが確信犯すぎる!

「なら、大人しく俺の隣にいて、俺のマリアージュ」

「はぅ!!」

 変な声出たよ! グランが私に甘すぎるよ。甘い声を出しすぎだよ。

「マリアージュ、分かった?」

 そう言いながらグランに口をふさがれた。グランにキスされるの、嫌じゃないけどなんか、こう、落ち着かない!

 私はそのままこくこく頷いた。

 頷いた私はそのままグランに手を引かれて、屋敷へと戻った。ああ、もうなんか侍女とか、文官とか皆ニヤニヤしているんだけど!

 グランと一緒にソファに腰かける。

 グランが密着しすぎだよ! なんかドキドキするよ! しかもじーって私のこと、見すぎじゃない??

 思わず視線を逸らせば、

「マリアージュ、俺のこと、見て」

「……恥ずかしんもん! というか、グランは恥ずかしくないの? 私に、凄いグイグイ来ているけど! しかも余裕ありすぎじゃない!? はっ、私が知らないだけで女性とあそび――」

「マリアージュ、馬鹿なこと言うと怒るよ? 俺はマリアージュ以外好きじゃないから、マリアージュ以外の女性とそういう仲になるわけないでしょ? 知っている? 俺の初恋、マリアージュなんだよ?」

 真っ直ぐにグランが私を見つめている。視線をそらさないように頬に手が置かれている。はっ! ヤバい!

「俺がマリアージュに夢中なんだって、もっと分からせてあげるから覚悟してね?」

 そんなことを至近距離で言われた私は……キャパオーバーになって思わず倒れるかと思った! グランが私特攻になっている気がする!





 というか、そのまま散々グランに教え込まれたよ!


久しぶりのマリアージュとグランの物語の番外編になります。



またタイトルやあらすじ、活動報告にも載せておりますが、マリアージュとグランの物語がタイトルを変更の上、電子書籍化されます。

本日より配信開始になりますので、よろしければお読みいただけたら嬉しいです。詳細は活動報告をご覧ください。


あと原稿作業で久しぶりにマリアージュとグランを書いたら楽しかったので、結婚後の生活など番外編で時々あげるかもしれないので一旦小説家になろうの方も連載中に戻しておきます。

そしてマリアージュとグランの子供の話もちょくちょく書いているので、そちらもよろしくお願いします。



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