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伯爵様、養い子とともに戦争に参加する。

 戦争がはじまった。

 グランを引き取ったころに戦争が終わった終わった、平和になったって騒いでいたのに、またはじまるのかとうんざりする。

 なんでもサーラ様が隣国に放っている密偵から聞いた話では、《炎剣帝》と呼ばれる私の力がそがれた。もう恐れる心配はないとかそういうことを言っているらしい。

 しかも、隣国の皇帝が代替わりしててさ。戦争を知らないものが皇帝となっていて、あれから十年も経過しているから、それはもう、あの時の戦争の記憶を持っているものが少なくなっている。

 世代交代をすればそれだけ、戦争を知っている世代が隠居したりするってことで、戦争を知らない人たちが権力を握る。

 知っている人たちは反対していたらしい。なぜかって、私がいるから。たった一人で戦局を覆すなんて言われている私が、いるから。私はこんなのだけれども、英雄で、私はそれはもう隣国の人たちに恐れられているものらしい。

 正直自分で自覚なんてほとんどないけれども、サーラ様とか友人たちには「お前は化け物だ」的なことを言われた。

 私は実際、普通ではない。普通ではないけれども、そんな私にも親しい人がいることはうれしい。実際、異常なほどに力を蓄えている人っていうのは、化け物視されて、人類の敵みたいな感じになったものもいたらしいから。

 で、まぁ、戦争が始まってしまったわけだから、私はまだまだ現役だぜってことで、戦争に参加しなきゃならないんだよねー。というか、私の力が弱くなったからとかいうのが、隣国が攻めてきた一番の原因らしいから、私はまだまだ現役だよってことを隣国に知らしめさえすれば、戦争ってはやく終わりそうだから。

 戦争って正直好きじゃない。そもそも好きな人はよっぽどの戦闘狂とかそういう人たちだけだ。

 人を殺すことは戦争中にやってきたけれども、敵ならば殺すことだってするけれども、できうる限りそれをしたくないってそう思っている。

 それでもサーラ様の、美しい女神であられるサーラ様のために、そして私のかわいいグランのためにも戦争に出ようと思った。

 グランに戦争なんて残酷な場に出てほしくなかった。

 だから陛下とサーラ様にも、私が行くからって了承してもらったのに、グランは自分から戦争に参加するなんて言い出した。


 そして、私がいくらいってもそれを撤回しなかった。















 戦争って、案外あっけなく終わった。なぜなら今回は私だけではなく、グランもいたから。

 グランはもうすでにすさまじいレベルにまで出来上がっている。私がグランと同じ年のときはもっといろいろおかしいレベルになっていたから、それよりはやばくはないけれども十分一般人にとって化け物と呼ばれるレベルだ。

 今回、私は前回の戦争と違ってグランと二人だけで戦場を飛び回った。

 隣国の兵士たちを葬り、《炎剣帝》はまだ現役だっていうのを十分知らしめられたはずだ。事実、向こうから全面降伏を申し立ててきた。

 うん、戦争がすぐに終わるのは良いことだよね。

 私もグランも怪我はなかったよ。ただグランははじめて戦争に参加したってことで色々とまいっていたみたいだけど、まぁ、それでも立ち直ってくれたからよかったよ。

 本当にさ、人を殺すのってはじめてだと色々と考えて、精神的にダメになってしまう人も多くいるんだ。それか、戦争にいって、人を殺す楽しさを覚えて殺人狂になるものか。

 うん、戦争って悲惨だよ。

 隣にいた人が次の瞬間死んでいる可能性がある。そして、私はジェネット王国において、英雄扱いだ。グランもそう。でもある国にとっての英雄は、敵国から見てみれば『最も多く殺した』存在だ。

 私は最も多く、敵国兵を殺している。

 そして、『炎剣帝』なんて呼ばれて恐れられている。正直戦争なんて好きではないから、これに懲りて戦を向こうが吹っかけてこなければいいんだけどなーと考えていたりする。

 まぁ、それはともかくとして戦争で活躍した私とグランはご褒美をもらえるってことになったわけなんだけど。私は特に必要いないっていったら金銭を陛下がくれたんだけど、グランはなんかご褒美をこそこそと陛下に告げていて、結局グランが何を望んだのか私にはさっぱりわからなかったの。

 まぁ、そうだよね、教えてくれないことまで見通せるわけないんだもん。

 でもなんか、その後、グランに話があるとか言われたの。なんだろーね、って思ってたら告げられた言葉は凄く予想外の言葉だった。





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