第1話
週3で書きたいけど学校始まったらキツいよなぁ。受験もあるし…いきなり前途多難(笑)
小高い丘の上に、一軒の小屋が見える。その小屋の前には、一人の老女が立っている。
「こんにちは。モースさんはいるかい?」
「…はい。あら、メアリおばさん。今日はどうされたんですか?」
老女が扉を叩くと、中から若い女性が現れた。この辺りでは珍しい黒く艶やかな髪が特徴的であり、その容貌もまた美しかった。
「いや、娘が道で転んで怪我をしてしまってね。前にもらった塗り薬が切れちまっていたものだから買いに来たんだよ。」
「あら、ベスちゃんが?今薬を取ってきますから少し待ってくださいね。」
ここは中央大陸バイサス皇国北東のとある村。伝統の手芸品の交易によって成り立ってきた小さな農村だ。住人は100名もおらず、皆顔見知りで家族のような付き合いをしている。
「…はい。塗り薬でしたよね?」
「あぁ、ありがとうね。はい、お金。」
そんな村に暮らす一人の女性。彼女の名はモース・フライン。この村に住む治療師だ。
治療師とはその名の通り病気やけがを癒す人々のことだ。その方法は様々で占星術を用いる人もいれば薬草を用いる人もいる。モースも主に薬草を使用している。しかし治療師は決して数がいる訳ではなく、寧ろ減少傾向にある。その理由は治療師になる為の条件にある。
そもそもこの世界は3人の神によって創られた。破壊の神ドリィ、創造の神ツヴェータ、そして始祖、アイン。何故アインにだけ神という敬称がつかないのかは誰にも解っていない。3人の神は7日間で世界を作り、そして7日目に長い眠りについた。しかし眠ってしまっては世の中のバランスが崩れた時に対処できない。そこでそれぞれがバランスを保つ為の存在を作った。その一つが治療師、という訳だ。
ツヴェータが作ったとされる治療師。最初は1,000人近くいたとされている。当時の彼らは己の血を用いて癒やしを施していたとされているが、その術は伝わってない。唯一その当時から伝わっているのが、治療師は血筋によってのみ生まれ、それが濃ければ濃い程力も強まる、ということだ。しかし長い歴史の中でその血筋は徐々に薄まっていき、今やその数は100人もいないとされている。
そんな中でもモースはどうやら先祖の血を濃く受け継いでいるらしく、その技術と知識は確かなものであった。
「ありがとうございます。貴方に神の祝福がありますように。」
「それはこっちの台詞だよ。いつもよくしてくれでありがとうねぇ。」「いえ、そんなことは…。」
「何も謙遜しなくてもいいじゃないか?そういえば、この間またお見合い断ったんだって?」
唐突にお見合いの話をされて、モースは返事に詰まってしまった。
「ふぇ?な、なんでそれを!?」
「ふふふ、いや村でも噂なんだよ?これで100人目だって。」
そう言いながらメアリおばさんはクスクス笑っている。
「100人もお見合いしてません!」
「そうかいそうかい。でも先日のはどこかのお坊ちゃんだったらしいじゃないか?玉の輿も狙えただろうに。」
「…部屋に入った時から私の体ばかり見てましたから…。」
「そりゃあ…うん、断って正解だね。しかし難儀だねぇ…。」
「ええまぁ。」
その後も暫く立ち話をしてから、帰り際に思い出したようにメアリおばさんが思い出したように言った。
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