表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49番目の後継者  作者: ペンギンMAX
第二章 首都イブロニアと新たなる仲間達
16/41

第十六話 身支度

えっと、ここ数日で物凄い反響があって、大変ありがたく思っております。

思わぬ事態に、急遽ご感想などを参考に、加筆修正や次話の見直しを掛けてお時間が空きましたことお詫びいたします。


まだシルビアが掴めていませんが、緊張している姿と思ってください。

此処から先、個性を顕にいたしますので。


これからもがんばりますので、よろしくお願いいたします。


10/9 再更新


「とても面白い少年でしたね~」


「はは!おいでになっておられましたか。」


「ええ、そろそろ動き出したいと思っていますので、準備は出来ているかと気になってしまってね。」


「それにしてもお人が悪い、お声をかけてくださっても良かったのに。」


「面白そうだったので、じっくり観察したかったのですよ。」


「ハハハハハ、確かに面白い少年でした。被検体と無事契約したかと思えば、私の吹っ掛けた60金貨については、疑いもせず直ぐに支払う世間知らずさ。会話も賢いのか馬鹿なのか、アンバランス過ぎて興味が尽きない少年でした。」


「確かにあの被検体と契約するだけの力を示したのに、身形もみすぼらしく世間も知らない・・・面白い・・・面白いですよ~~~」


「は、しかしこれで準備は整いました。」


「はい、じゃあ私も動き出しましょう。」



 奴隷商会の一室で話される、奇妙な男とギブリオの会話。

 ギブリオが奇妙な男に会釈をすると、男は部屋の闇の中へと歩んで行き、そのまま闇と同化して消えてしまった。



「さて、私も奴隷商人から解放されますか。」



 意味深かな言葉を残し、ギブリオも部屋を後にする。

 これから何が起こるのだろうか?

 部屋の静寂がかえって不気味さを増すばかりだった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 シルビアと一緒に奴隷商会を出た時には、もう太陽が真上を過ぎて、午後の日差しが差し込んでいた。


 確かイブロニアに着いた時は、早朝だった気がするのだが。

 奴隷商会で、かなり時間を費やしてたみたいだ。


 昼食がまだだったなー・・・

 意識しだすと、お腹が空いてくる。

 宿に行く前に、食事をするか?

 迷ったのでシルビアの具合を聞いて決めることにした。



「そういえば、シルビア? 昼食はとっとのか?」


「いいえ、まだで御座います。」



 なら、宿に行く前に昼食を取ろうと思った。

 いままで、この異世界に来て食事といえばば、出されたものを何でも、何も考えずに食べてた。

 村長の家でも、商隊でも・・・そして、あの教会でも。

 ふっと、イシュタルさんを思い出す。


 イシュタルさんとの食事風景が、とても暖かいものとして思い出された。

 そういえば、食事を切欠に、親密になったんだよな~

 ここは、シルビアと距離を縮める為にも、先に食事をするか。



「シルビア、先に食事をしようか?」


「はい、ご主人様のお気の召すままに従います。」



 硬いな、やっぱ緊張してるのかな?

 いきなり見ず知らずの男と一緒になって不安だろうし、初めて主と共に行動するのだから、緊張しない方がおかしいか。

 そんな俺も奴隷にした女性と、どう接して良いか解らないらないからね。

 まずは、コミュニケーションを沢山取って見よう。



「まあ、そう硬くならなくてもいいよ。何か食べたいものあるかな?」


「ご主人様の望まれるものが、私の望みです。」


「・・・・・・う・・うん、そのね、俺あんまり料理に拘りなくってね、何が良いか、決まらないと言うか・・・そう!教えて欲しい、イブロニアで美味しい食事を。」


「え?食事を私が決めるのですか??」


「うん、決めてくれて良いよ。シルビアの美味しいと思う料理のお店知ってたら、連れて行って欲しい。」



 だって、異世界の食事の名前解らないじゃない?

 まさか、この世界の事知りませんなど言えないし、だからと言って、異世界から来ましたと説明しても信じてはもらえないだろうしね~



「そ・・・そうですか、ご主人様。私が決めても、宜しいのですか?」


「うん、決めてほしいな、それにシルビアの好きな食べ物も知っときたいしね。」



 そう微笑んで、シルビアを見る。

 シルビアは少し俯いてモジモジしながら顔を赤くしていた。

 何か変な事言ったかな?


 シルビアは顔を真っ赤にしながら、俺の為にあれこれ考え出したようだ。

 ちょっと硬いけど、俺の為に何かしようと一生懸命な姿は、正直嬉しい。


 思い当たる所が浮かんだのか、シルビアの案内が始まった。

 宿に向かう道から外れ、飲食店の並ぶ道に出た。

 そこは、通りの左右に良い匂いを出すちょっとした大通りだった。

 屋台風の店がひしめき、その屋台の前には机と椅子が置かれ、さながら東南アジアの屋台が並ぶ景色と重なる。



「ご主人様、生憎私は奴隷になる前に行った所しか知りえませんので・・・・」



 物凄く畏まって、バツの悪そうに俺に言うシルビア。



「いいよ、見ての通り俺もこんな格好だし、美味しければ問題ない。」



 すると、シルビアは満面の笑みを俺に向けてくれた。

 クールな感じがするシルビアだが、笑うと凄くホンワカする。


 あ・・あれか?ギャップ萌えってやつかこれ。

 一瞬、めちゃめちゃクラっときたよこれ!


 俺の言葉に安心したのか、尻尾をバタバタ振り、いきなり俺の手を掴みグイグイ引っ張っていく。

 やっぱ尻尾はいい!最高だね!

 手の感覚と、シルビアの尻尾にドキドキしながら、目指す屋台に連行されて行った。


 迷う事無くお目当ての屋台に到着したようだ。

 ここまで、シルビアは俺の手を握って離していない。 

 屋台の前で、シルビアは俺の手を握っている事に気付き、顔を真っ赤にしてキョドる。

 


「す・・・すみません、あ・・・主の手を引いて連れ回すなど・・・て・・手をぉ・・・」



 よっぽど恥ずかしかったのかアタフタしているシルビアに、俺は苦笑していた。



「ご主人様、此処で宜しいでしょうか?」



 まだ顔は赤いが、少し落ち着いたのか、居住まいを正して告げてくる。


 行った先は、焼き鳥屋の様な感じで、串に肉と野菜を刺して豪快く店だ。

 どうやらバーベキュー串といった感じか。

 それにしてもやっぱり獣人なんだと思った・・・だって肉ですよ肉。

 パンもご飯も無く、肉の選択ですよ!



「お気に召しませんか・・・?」



 屋台に着いても、俺の反応を薄く感じたのか、しょんぼりするシルビア。

 いやいや、考え事してただけだよ。



「ん?いいよ肉! 俺も好きだし此処にしよう!」


「はい♪」



 そう言ってシルビアと共に屋台で食事となった。

 屋台の前の一角に腰掛け、2人分の注文をすると沈黙が訪れる。

 さっきの勢いは何処へ行ったのやら・・・


 う~ん、俺こういった雰囲気苦手だしな・・・

 でも、さっきも思ったように此処はコミュニケーションを取らないと。



「ここ、良く来てたの?」


「はい、奴隷になる前にこういった屋台で食べておりましたので。」



 ん?何時こんな屋台で食事をしてたんだ?

 それとも、借金があって外食はこういった所だったとか?

 いやいや、借金があったら外食もままならないのでは?

 疑問が次々と沸いて来たが、果して聞いて良いか戸惑ってしまう。


 う~~ん、どうしよう。



「あ・・あの、ご主人様、聞いても宜しいでしょうか?」


「ん?いいよ、何でも聞いて。」



 俺が聞く前に、シルビアから話題を振ってくれた。

 ちょっと助かったな。



「あの、ご主人様は首都は初めてですよね?その割にはお荷物をお持ちではないですが・・・どこかにお預けなのですか?」


「へ・・・?」



 ですよね~~~~



「まさか・・・お荷物自体が無い・・・とか??・・・」



 そうなんですよね~~~~



「えっとね・・・宿に行ったら買いに行こうかな~っと思ってたんだけど?ダメ・・・かな?」



 俺の言葉を聴いた途端、シルビアはいきなりテンションが上がった。



「な・・・ご主人様!それだと宿に行ってたらお遅う御座います!」


「うぉ・・・」


「日が暮れる前には商店は閉まってしまいます!」


「ほふぁへ??」


「お食事が済みましたら、お買い物をしましょう。私の事は同でも良いですが、せめてご主人様の身の回りの物位は、ちゃんと買っておきませんと!何も無いとご主人様がお困りになります!それに私もご主人様のお世話が出来ません!」


「う・・うん・・・だよね~」


「ご主人様の御髪を直し、ご主人様の服の御召し替えをして頂き、ご主人様の為にベットを整え、ご主人様の・・よ・・夜の・・その・・伽も・・・出来ませんし!」



 ハァハァと息を荒くしながら言い切るシルビア。

 俺はというと、勢いに押されてたじろいで。

  

 それにしても・・・最後に爆弾発言しなかったか??

 シルビアも自分の言った事に気付き、アワアワしながら口を両手で押さえて赤面している。



「・あ・・あ!・・申し訳ありません!」



 何故か、俺の中にあった緊張感や戸惑いが消えていった。

 見ていて飽きないというか、見た目に反して幼いというか、目が離せないというか・・・



「いいよ気にしないで、シルビアの気持ちは十分ありがたいよ、俺の事気遣ってくれてありがとう。」


「もう・・・・・・ほ・・本当にお優しいんですから・・・」


「ん?」


「な・・何でもありません!」



 またも顔を赤くして、プイっと横向く。

 どうしてシルビアが脹れているのか、俺が理解出来ずに思案にくれていると、タイミング良く店員が、食事をテーブルに持ってきてくれた。



「チャバルの肉串に、ボレーの香草串焼きとラブラの腿肉特性タレ焼、こちらがミミラの胸肉の野菜挟み串でーっす」



 店員の元気な声が響き、気まずい雰囲気が何処かへいった。

 シルビアも機嫌を損ねた態度から一変して、運ばれた料理に感嘆している。

もしかして、肉を見て機嫌が直ったかもしれない・・・

 案の定、肉で機嫌がよくなったシルビアはウキウキしながら微笑んでいる。

 シルビアの尻尾もワッサワッサと触れているからご機嫌間違いないだろう。

 そこからは、お互いに笑顔になって、食事をする事が出来た。

 出た料理の感想は、肉だった・・・美味いけど肉だった・・・


 食事の後は順調だ。

 露店街を出て、買い物に向う。

 イブロニアでは貴族御用達の商店以外は、店という建物がない。

 その為、個人が道の左右に小さなスペースを陣取って、物を売っているのだ。

 さっきの屋台との違いは、さほど無い。

 敢えて違いを上げるなら、椅子やテーブルが無いだけスッキリしているという点ぐらいだ。


 シルビアはテキパキといるものを教えてくれた。

 まずは歯磨きに使う房楊枝と布に、口を濯ぐマグカップを購入。

 房楊枝は削る感じで歯を手入れするようで、布は汚れを拭くのに要るそうだ。

 バッグに櫛、拭きタオルにバスタオルと次々に購入。

 意外だったのが石鹸に似た植物があって、泡こそ立たないが体を清めるのに使えるパブというものがあり、風呂が快適になるのが良かった。

 こうして、その他色々な物を2人分買い込んだ。

 シルビアは自分の分は後で良いとしぶったけど、俺がどうしてもと押し切ってシルビアの分も購入していた。


 その後、替えの服を買う段取りとなり、中古ではあるが俺の分として上着とズボン、下着にマントを購入しバッグに詰める。



「これくらいでしょうか?ご主人様。」


「んーまだシルビアの服買ってないよ?」


「私はこれで十分です、気になさらないで下さい。」



 言い張るシルビアだが、俺としてはそうもいかない。

 こんな美人が、奴隷商会で当てがわれた質素なワンピースしか持っていないのが我慢なら無い。

 それに、やっぱり美人には綺麗に着飾って俺を楽しませて欲しいでしょw


 恐縮するシルビアを、今度は俺が手を引いて女性者の服屋へと向かう。

 実は先程から、向こうの方に俺を釘付けにする女性服があったのだ。



「ささ、シルビア好きなものを選んで?下着や替えの服、気に入ったのを買って行こう。」



 まずは普通に買い物に来たと思わせる。

 俺の勢いに促されて、シルビアは遠慮がちに服を選びだす。

 最初こそ飾り気のない安そうな服を選んで見せるが、俺が却下する度観念して、欲しいと思うものを持ってくるようになった。

 当然、シルビアの欲しい服は買うのだが、俺はある物を買い与える気満々だ!



「ご主人様、これだけあれば十分です・・・買い過ぎではありませんか?」


「ん?問題ないよ。じゃあ本命にいこうか。」


「本命????まだ何か買われるのですか??」



 ふっふふー買うんだよシルビア。

 そう本命の服を買うのだ!!



「うん!これを着て欲しいと思っているんだけど・・・着てくれるかな?いや、着なさい!つか買うから着てよーーー」



 子供かよ、俺・・・

 そう、俺が執着しているのはイド服だ!!

 この世界にもメイド服がある事は、奴隷商会で受付嬢を見て知ったが、こんな所に売っているとは思っていなかった。

 しかもゴスロリ風メイド服である。


 俺はゴスロリが好きだ!!!!!

 何よりもあの中二感が最高だ!!!!!

 ここが異世界なんだったら俺の趣味全開で行く!!!!!

 周りなんて関係ない!!!!


 好きに着せて鑑賞したいじゃな~い♪

 それに、シルビアだったら着てくれる・・・俺主人だし・・・

 卑怯でも何でも良い、見たいものは見たいんだ♪


 クールビューティーなシルビアにはゴスロリの雰囲気がとても似合うと思う。

 16歳で若いし、スタイルも良ければ乳もデカイ。

 ゴスロリメイド服はシルビアを引き立たせるだろう。

 想像したら・・・実にけしからん!!


 シルビアはメイド服を手にとって怪訝な顔をしている。

 そんな怪訝な顔をしても俺は知った事じゃない!

 これだけは譲れない!

 日本だと死ぬまでに、本当のメイドに仕えて貰える事はない。

 今しかチャンスはない!着て貰うぜ~~シルビア。、

 異世界だし良いよね♪



「ど・・・どうだろう?・・・似合うと思うけど着て欲しいな~」


「・・・ご・・・ご主人様がそう仰るなら。」



 シルビアは、高い服を買う事を申し訳なさそうにしている。

 でも、何処か嬉しそうだ。


 こうして買い物は終わり、やっと宿屋に向かって歩き出した。

 何度目の寄り道だろう・・・・

 宿に行くまでに幾つイベントがあるんだよ。

 今度こそ着けるかな?っと若干心配しながら宿を目指す。


 ちなみに、メイド服はさる貴族が没落した際に売りに出された物らしく、たまたま1着だけ出回ったそうだ。

 服は普通、貴族がオーダーメードで仕立てる。

 庶民は通常中古品しか買えない、服の仕立ては金が掛かるのだ。

 だから常に貴族が仕立て、要らなくなると中古で売り払う。

 それを余民が購入するという循環が出来上がっている。


 中古とはいえメイド服を買い付けられた事は、運が良かった。

 俺の趣味直球ど真ん中だし、後悔はしていない!

 ま、かなり散財したけどね・・・13銀55銅貨が飛びましたよ。


 宿にあと少しという所で、思い出す。

 あれぇ?

 そういや、シルビアが、何故屋台とか商店に詳しいのか聞き忘れてた!


 それに・・・シルビアのあの言葉がリフレインする。



「ご主人様の・・・よ・・・夜の・・・その・・・伽が・・・出来ませんし!」



 やっぱり、そうなっちゃうのか?

 シルビアの肢体を想像して興奮する俺がいた。

宿の前に準備をと思いまして、この話が入りました。


あと、お金の事ですが以下にネタバレを先に入れておきます。


閃 貨 1枚(100億)

白金貨 1枚(1億)

金 貨 1枚(100万)

銀 貨 1枚(1万)

銅 貨 1枚(100)

小銅貨 1枚(1)


が考えている換算です。

全て100で1繰り上がる仕様です。


シルビアノ値段は後で突っ込みいれますw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ