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49番目の後継者  作者: ペンギンMAX
第一章 呼び出された魂と黒竜の願い
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第十一話 イシュタルの行方

実はタイトルの49番目を前話で書けて無かった事に気付きました><

筋がおかしくなるかもですが、ここで取り上げました。


10/8 再更新

 とうとう送り出してしまった。

 もう此処には、無二の友達を見守る事も出来ず、生まれて初めて好きになった人もいない。


 彼を始めて見た時、あまりの弱々しさに、大丈夫かこの人?と心配で覗き込んでしまった。

 すると、偶然にも彼の顔が私に近づき、ファーストキスを奪われそうになる。


 ドキドキした、生まれて初めて男性の顔を間近で見た。

 あまりの衝撃に胸が高鳴り、彼の顔が見れない。


 指の隙間から覗いていたのは乙女心よ♪


 彼も動揺していたけど、私は彼に話さないといけない・・・此処に読んだ理由を・・・・


 此処は私が望んで幽閉されている場所、幽閉といっても一応抜け道はあって抜け出すことが出来るけど。

 私はしなかった、だって怖かった、他の神族に会うのも、そして・・・・友人であった神竜に会うことが。


 そこからの彼は凄かった。

 彼に依頼をお願いして、幾日か経つと今までに召喚した人たちと明らかに雰囲気が違う事に気が付く。

 だって、彼は怒る事無く事態を受け入れ、あまつさえ私に興味を示しながら表向きは紳士に振る舞い、私を気遣ってくれる。


 他の召喚者は、怒ったり、逃げたり、私を厭らしい目で見たり、依頼を全くしなかったり、とにかく散々な人たちだった。

 だからだろうか、彼に興味を持ってしまった。


 ある程度、彼と話せるようになり、自然と彼の事を名前で呼べるようになってくる。



「 俊哉トシヤ・・・」



 こんなに親しげに、相手の名前を呼べたのは何時以来だろう。

 嬉しかった、純粋にただ純粋に俊哉に惹かれた出したのは、この時からだろうか。


 名前で呼べるようになってくると、俊哉も打ち解けた感じになり、私にお願いをしてきた。

 スキルでもなく武器でもなく、欲望を満たす為のセッ○ス・・・グ・・ゴ・・ゴホンゴホン。

 はしたないはしたない、それは絶対に誰にも許さないですよもちろん。

 今だったら俊哉には許しますけど・・・


 俊哉の望みは食事だった。

 聞いてはいたけれど、実際に私達神族が食事をすることはない。

 だから、どんなものか興味もあったし一度経験してみたかったので、俊哉に聞いて料理なるものに挑戦してみた。


 一応天使だから、失敗する事無く料理は完成し、2人で食事を堪能した。

 俊哉には物凄く褒められた。

 褒められて嬉しくない訳がない、しかも他愛の無い会話を挟んでする食事は思いの他楽しかった。

 俊哉との食事は私にとって、掛け替えの無い素敵な時間へと変り、いつしか私が率先して俊哉との食事を楽しみにするようになっていた。


 自覚はあった、でもそう思うほど私は恋を知らない。

 神族であり、悠久の流れの中、私が得た周りに対する感情は、忌避と嫌悪と悲哀だけ。

 暖かい物は、ルビさんがくれた友情のみ。


 だから魔眼に掛かった時、全てを理解した。

 魔眼に掛かったからじゃない、寧ろ抑えていた感情が発露しただけ。

 そう、私はただの人族の俊哉に恋をしたのである。


 それからは毎日が幸せの連続だった。

 私の猛烈アタックに困ってはいるが付き合ってくれる俊哉。

 彼と一緒に居たい、彼とずーっと過ごしたい。

 幸せで幸せで、どうしようもなく有頂天でいた私に、数百年ぶりに念話が届く。


 かつて友人であり、あの時追いかける事が出来ず、今でも顔を会わせる事が申し訳なくて・・・影からでしか彼女の力になれない私に、懐かしい声が響く。

 まだ、繋いでいた念話の回線を切らないでいてくれたんだ・・・

 そう懐かしく思い、ルビさんの声に耳を傾ける。


 彼女はあと数日でアンデットになってしまうらしい。

 そして彼女は俊哉を認め、自分の願いを叶えてもらうと。

 だから私に『ありがとう』っと、かつて私が言った言葉をルビさんが返してくれた・・・


 私は動揺した、何も考えれない。

 俊哉の私に対する好意が垣間見えるときは、嬉しさで思考が戻るが、それ以外は色んな不安が胸を過ぎり呆然と過ごした。


 そしてとうとうその日が来る。

 俊哉の顔を明日は見れない、ルビさんもまた居なくなる。

 混乱した私は、逃げ出した・・・結果が怖くて、見届けたくなくて・・・

 物凄く最低な事をした・・・私は恋をして弱くなった。


 何処とも無く彷徨っていると、ルビさんの声が聞こえた。



 『ありがとうね、イシュタル・・・私は幸せだったよ、だから俊哉を頼んだよ。』



 ルビさんの声はもう聞こえない、逝ってしまった・・・

 その場で蹲り、嗚咽を漏らした。


 暫く泣いて、俊哉の事を思う。

 彼もまた傷ついている、そして戻ってくるだろうあの場所へ。

 俊哉を助けたい、俊哉を癒してあげたい、そう思うと気力が沸いてきた。

 ルビさんの最後の言葉を思い出す。

 弱くなっていない!俊哉の為になら私は何で出来る!

 誰かの為に何かをしたい気持ちは、何よりも強い事を知った。


 教会に戻り彼と対面し、言葉を交わし・・・

 私は、彼を送り出した・・・

 彼の消えた空間をずーーーーと見ていた。

 


 送り出して、今まで彼と過ごした日々を思い出す。

 一頻り思い出に浸った後、ここから去ることとした。

 この場所ともお別れである。


 私は気を取り直し、主神の招聘に応えるべく王宮へと向かう。

 祭壇で俊哉の願いを主神に報告したときに、王宮に来るよう言い渡されたいたからだ。


 王宮に着くと、謁見の間では無く、主神の執務室に通された。

 主神に礼をすると、椅子を薦められる。

 薦められるままに腰を下ろすと、対面に主神が腰かけ話し出す。



「イシュタル、ルビニアの願いが叶った事、ひとまずおめでとう。」


「はい、有難うございます。」


「ルビニアの事、わしも気に掛けてはいたが、あの惨劇で死んだ者達のことも考えると公に支援は出来ずにいた。お前の努力が実ったようだの~して、何人召喚したのじゃ?」


「49人です。」


「49人か・・・流石に上手くはいかなかったという訳か・・・49番目にして神竜の望みを叶え、その力を継承したものか・・・」


「ええ・・・」


「ふむ・・・49番目の後継者といったところか。」



 主神の言葉通に、ここまでに呼べた人数はさほど多くない。

 1人の召喚者を呼ぶのに、私の神力では10年に一度しか呼べない。

 しかも呼んで直ぐ結果が出ない為、時間が掛かってしまう。

 此処までに実に498年掛かっている。



「さて、召喚の義を許し、その見返りにお前は空の結界から追放されておる。にもかかわらず、お前は『魅惑の魔眼』を持ち出し与えてしまった。この罪は重い、結界の追放以上の罰を与えねばならぬ。」


「覚悟は出来ております・・・」



 私は、俊哉と共に過ごせる以外の望みはもう無い。

 その望みも俊哉を送り出し、叶う事は無い・・・どんな目にあっても私はもうどうなってもいいと思っていた。



「そうか、ではお前を地上に堕とす。堕とす際に、お前の天使としての存在は無くし、亜人のエルフとして送り出す。」



 耳を疑った、消滅や永遠の牢獄とかを想像していたのに、地上への追放とは・・・

 主神の顔を見ると、してやったりという顔で私を見てニヤニヤしている。



「異論はあるか?」


「いえ・・・異論など・・・」


「以外か?イシュタル、わしとて親じゃわい、お前の考えくらい知っておるよ。あの者と一緒に生きたいのじゃろ?地上に行き、添い遂げるがよかろう。」



 主神の言葉に感極まって、漏れ出る嗚咽を抑える為、両手で口を塞いでしまった。



「有限なる命にはなるが、お前の望みを叶えても良いじゃろう。罪は言い渡した、後は好きにすればいい。」


「お・・・お父様・・・わ・・わた・・しは・・・」


「はっははは、最後の最後くらい親として何か出来たようじゃの。」



 主神を『お父様』と呼んだのは何時以来か。



「お前には何もしてやれなかったからの・・・」


「いいえお父様、私は生まれてきて良かったと・・・そして罰を与えてくださり有難うございます。」


「うむ、これでワシ等は親子ではなくなる、最後に話せてよかったわい。」


「はい、お父様」



 父との邂逅の後、私は、地上へと堕ちる。


 願いだけで最後に伝えた俊哉への言葉が叶う。



『必ず会いに行きます。』



 その言葉を現実のものとする為に、私は俊哉を探しだす。

 彼を探し出し、絶対に一緒に居る為に。


 私が会いに行ったら驚くかしら?

 見た目はそんなに変らない、変っているのは耳だけエルフとして長くなったことくらい。


 待っててね、俊哉。

 気付いてね俊哉・・・


 初めての地上、初めての経験、私が俊哉に出会うのは暫く経ってから。


 今は俊哉に会える希望を胸に歩き出している。

沢山のオキニ登録ありがとうです^^

ご指摘や読者の皆さんの希望も詰め込めたら幸いです。

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