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49番目の後継者  作者: ペンギンMAX
第一章 呼び出された魂と黒竜の願い
10/41

第十話 2人との別れ

纏め上げたけど・・・

拙い><


10/8 再更新

 どの位泣いていたのだろう・・・

 気が付くとそこには、ルビさんの言っていた爪と鱗と皮と尻尾があった。


 それを見て、また悲しみが込上げてくる。

 初めて『殺す』という行為に、興奮や恐怖など感じなかった、ただ悲しみだけが、心を支配していた。


 ルビさんの消えた先を見続けるうちに、イシュタルさんのことを思い出す。

 そうだ!イシュタルさんを探さないと!!


 もし・・・このままイシュタルさんまで居なくなったら、俺は壊れてしまうかもしれない。

 イシュタルさんを探さなければ・・・そして、この事を伝えなければ・・・


 そそくさと立ち上がり、ルビさんの形見となる爪や鱗を収納するために巾着を取り出す。


 ルビさんとの修行の際、色んな物をれ持ち運びできるようにと、イシュタルさんに魔法の巾着を貰っている。

 そこに、形見を1つ1つ確認しながら入れていく。


 入れ終わり、周りを眺めてから行動する。

 何を、どんな事を報告するつもりか全く考えていない。

 ただ帰りたかった、イシュタルさんは居いのに、彼女に会いたいと思う気持ちが大きくなる。

 たぶん、縋りたいのだと自分でも解っている。


 『ゲート』を潜り、いつもの教会のような場所に帰り着く。

 『ゲート』を潜り、誰も居ない筈の空間だと思い込んでいたのに、人の気配がする。

 そこには、俺を見つめ、起立して待つイシュタルさんがいた。



「ただい「お帰りなさい、俊哉」・・・」



 俺の言葉を遮って、イシュタルさんは話し出す。



「その様子からするに無事ルビニアの願いを叶えてくれたようですね。」


「有難うございます。」



 吃驚した、何故そのことを知っているのかと。



「俊哉の顔を見れば解りますよ。」



 そう言って微笑んでいるイシュタルさんは、全て解っているようだった。



「ルビさんの願いは果たされました。これで俊哉ともお別れです、召喚の際に申し上げた願いを、1つ叶えて異世界への転生とします。」



 いきなり願いを聞きだすイシュタルさん。

 報告も出来ず、ここで暫く落ち着くことも許されないような言い様。

 事務的な対応をするイシュタルさんの変貌。

 戸惑う俺に、イシュタルさんは続けて話し出す。



「ルビニアさんに掛かっていた呪いは10個。」


「特典として10個の呪いの解除を対価として、与えたスキルの内10個までを継承させていただきます。」



 言い切ると同時に、耐えれなくなって来たのか、あの輝く美しい目から大粒の涙を流しながら続けて話す。



「さ・・・あ・・・願い・・を・・グスグス・・・」



 イシュタルさんは突然咽び泣く。



「本当は・・・こんな事言いたくない!ルビさんは死んだ!友達が死んだ!大好きな俊哉を異世界に送らなければいけない!」



 イシュタルさんは泣きながら声を張り上げ、本心を俺にぶちまけている。



「でも、これが神族と交わした約束・・・敗れない約束。だから、俊哉を送らなければ終わらない。悲しいのに、好きなのに送らないといけない!」



 友達を失い、今まさに自らの手で愛する人に別れを強要しなければならないイシュタルさんの気持ちは、如何ほどだろうか・・・



「また1人は嫌だ・・・また1人になっちゃう・・・」



 泣きながら叫ぶイシュタルさんは、必死に訴えてくる。

 ここまで必死に自分を押し殺して、自分の弱さを見せないように俺に接していたんだと解った。


 でも彼女と一緒にいる選択は多分叶わないだろう、転生してしまえば今の俺は俺ではなくなるし、2人の事を忘れるだろう。

 1つしか叶わないなら、俺の願う事は決まった。



「イシュタルさん、俺は俺の記憶を持ったまま、この姿で異世界に転生したい。これは可能ですか?」


「・・・・・え・・・可能です・・・よ・・グスグス・・」



 願いを聞き、諦めたかのよに答えるイシュタルさん。

 本当は『一緒にいて欲しい』といって欲しかったかも知れない。

 でも、転生は絶対だ。

 今のままここに居る事は叶わないが故の選択。

 2人の記憶とルビさんを手に懸けた体を、俺は大切に持っていたかった。

 そうする事が、2人との繋がりを絶たずに転生できるであろう唯一浮かんだ俺の想い。



「解りました、願いを叶えましょう、スキルはどうしましょうか?」



 俺は2人に拘ったスキルを選んでいく。


  1.肉体強化スキル

  2.全魔法スキル(地水火風氷・ランク全て・LV10)

  3・古代魔法スキル(ルビさん伝授分)

  4.剣術スキル(神級Lv)

  5.槍術スキル(神級Lv)

  6.弓術スキル(神級Lv)

  7.格闘術スキル(神級Lv)

  8.状態異常耐性スキル

  9.解析(鑑定の上位)

 10.熟練度飛躍


 伝え終わり、頷くイシュタルさんは祭壇に向かって祈りをささげだす。

 祈りが始まると、俺に向かって光が祭壇より照らし出される。

 俺の体に何かを刻むように射す光は、次第に収まっていった。


 祈りが終わり、イシュタルさんがこちらに振り向くと、俺の足元に魔方陣が現れる。



「言ってくれなかったですね、一緒にとは・・・」




 寂しげに微笑んで見送りにはいるイシュタルさん。



「生きていればどうにかなりますよ、思い出はここにありますから。」



 そういって俺は自分の頭を指で突付く。



「ふふ、俊哉らしいのかしら?私の事を覚えていて下さいね。ルビさんの力、大切に使って下さいね。」



 涙を頬に伝わせながら、イシュタルさんは笑顔を作ってくれた。

 最後に俺を安心させるように。


 イシュタルさんの笑顔は、こんな時でも俺の心を揺さぶるの・・・

 今この瞬間にでも、『一緒に行こう!』そう言ってしまいそうだ。


 イシュタルさんは、そんな俺の気持ちを察してか、それともルビさんを手に懸けた悲しみを理解しているからか、イシュタルさんは自分との別れを淡白なものにしているのかもしれない。


 それなのに、必死に俺の為になってくれるイシュタルさんの姿が愛しすぎて、どんどん決意が揺らいでしまいそうだ・・・


 いい女だよな~ルビさんもイシュタルとなら、一緒に幸せな時を3人で過ごせたのかもしれないな・・

 今取り乱しても何もよい事は無い、だからこのままで・・・


 徐々に足元の光を増し、魔法陣が俺を包み込む。

 何処に行くかは解らない、どんな転生をするかも聞いていない。

 でも、大丈夫なんとかなるさ。


 魔方陣の中、異世界へと送られる俺の体は薄く透け、消えていく。

 すでに感覚はこの空間を離れ始めている。

 何かイシュタルさんのが言っているが、上手く聞こえない。



「か・・・らず・・・・あ・・・に・・いき・・・す」



 その言葉を最後に、俺は異世界へと送り出された。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 気が付くと俺は草原に転がっていた。

 始めてみる転生先の風景は・・・・・地球と変わらなかった。

 ちょっと期待していたが、普通の草原だった。


 取り敢えずまずは確認だ。

 自分の姿を見ると、麻で出来た質素なTシャツのような上着にごわつく綿で出来たズボンを着ている。

 手や腕を見る限り若い肉体のままなので17歳なんだろうなーっと確認する。

 腰には魔法の巾着があり、中に手を入れるとイメージが沸いてくる。


 黒竜の爪10個、黒竜の皮1枚、黒竜の鱗5枚、黒竜の尾先1個、白銀の皮1枚、白銀の髭1本、白銀の鱗5枚、金貨100枚、銀貨100枚、銅貨100枚。


 んん?????

 おかしい、後半の白銀の髭と皮と鱗??

 そしてお金に記憶が無い??


 白銀ってことは、ルビさんの呪いを受ける前の姿と似ているんだが・・・


 意を決して取り出すと、大きい!

 幅5M四方はありそうな皮が出てきた。

 本当に白銀に輝いている、多分ルビさん絡みだろうけど・・・・解らん。


 鱗も大きい、草原に白銀の皮と鱗を並べ吟味する姿はシュールなのだが。

 何故入っているのかさっぱり解らないし、ここに捨てていくにも躊躇われる。

 仕方ないので巾着の口を皮と鱗に当て、収納する。


 立ち上がり周辺を見回し、行く宛てを考える。

 まずは人を探そう、そこから如何するか考えよう。


 そう思うと、ある方向に何かを感じる。

 何も無いのに、そっちえ行く事が最善に思われてきた。

 直感と言うべき物だろうか?

 俺は感じるままに気になる方向へと足を進める。


 この直感は、竜族の持つ第六感シックスセンスというものであり、ルビニアの力を受け継いだ俊哉に備わった能力の1つ。

 ただし、このことに気付くのは随分後になってからだ。


 歩を進め、草原を抜け川に出た、川に沿って下流に向かう。

 足取りは順調だ、どれだけ歩いても疲れない。

 なんとなくルビさんの言っていた、力が効いているのかな?っと感じていると集落が見えてきた。


 どうやら小さな村のようだ。

 川に繋がるように整備された道をが現れたので、その道に沿って歩いて村を目指す。

 道の周りは畑が広がり、ちらほらと農作業に従事する人々が見える。


 暫く歩き近くに居る住人に声をかけた。



「すいません、旅の途中で道に迷いまして、どこか泊めて貰える所はありますか?」



 とにかくこの世界で、まずはゆっくりと落ち着きたかった。

 色々ありすぎたし・・・

 声をかけた住人は、訝しがりながらも振り向き答えてくれた。



「っつ・・・人間様だべか・・・村長のところに行けば泊めてくれるだ。」



 そう言って機嫌悪そうに答えてくれた姿に俺は不快感を持ちながらも目に見える光景に興奮していた。


 耳!耳が頭にある!

 尻尾~~尻尾が上向いてるwwww

 まさか威嚇?警戒してるのか??

 犬か!まさに犬だ!男だけど犬の獣人キタコレーーー!!


 異世界の感動に嬉々としている俺に、住人はうっとおしそうに言い放つ。



「さっそと行ってくれんか、邪魔だべ。」



 その言葉を最後に農作業に戻っていく。


 あー確か獣人は人族とギクシャクしていたっけなー

 ルビさんの語りを思い出す・・・・折角の歓喜も悲しみを思い出して冷静になる。



「村長のところに行くか。」



 まずはこの世界の事を知り、ここで生きていく道を探そう。


 考えをまとめ、道を進み村長の家を目指す。

 

 ただ・・・家が解らないので途中に出会った獣人に声を掛け、色々聞いて辿り着いたのは内緒である。

ようやく旅立てました。

チートなので最初に色々持たせたけど良かったかどうかわからないや

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