第一話 天使とお近づき
ゆっくりと覚醒する意識の中で、俺は目を開けてお馴染みの言葉を口にした。
「ああ・・・知らない天井だ・・・」
ちろんお約束であるが、お約束を口に出来ている時点で、かなり余裕なんじゃないか思う。
体を起こしながら、周りを観察してみたが、思ったより冷静で動揺は感じなかった。
それに、固い床に直接寝ていたようだが、特に体の痛みは感じず、普通に起きることができた。
目を開けたときから、少し体を起こして自分の体を確かめるように見てみたが、目覚めたとき感じた違和感以外は変わりなかった。
実際のところ奇妙な場所にいることには、気が付いている。
注意深く周りを観察していく、教会のような内装、地面は床の代わりに、敷き詰められた大理石のタイル・・・そして、荘厳な造りの祭壇の上から俺の事を見ている女性。
女性に気付き、暫く呆然としながら辺りを見回す俺。
そこに、鈴を転がすような、耳に心地よい声質を放ちながらも、清らかで且つ透き通るような、聞いたこともない声音が俺を指して話しかけてきた。
「始めまして斉藤俊哉さん」
もちろんこの場には2名しかいないわけで、祭壇に居た女性が発しているのだろう。
当然のように、声のする祭壇に向かって目を向ける。
だが、祭壇にいるはずだった女性は、どういうわけか俺の目の前に・・・
というか俺の傍で屈み込んで覗いてた。
なんで!っと思うまもなく、お互いの顔が近すぎて吃驚する。
「ァ・・・・キャ(*//)」
「qあwせdrftgyふじこlp」
ち・・・ちけーよ!近すぎたよ!!
そ・・・その・・・マジやばいかったって!
く・・・くちが・・・その・・あの・・キ・・キ・・ス・・してまう!触れる距離だったよ!!
狼狽するのは仕方ないだろ?男の童貞なめんなよ!
誰に向かって言い放っているのやら、俺は恥ずかしそうにしている女性を改めて見る。
振り向いた先では、顔を手で覆いながら、頬から耳にかけて真っ赤にして後ずさりする女性がいる。
そんな姿を見ただけで、童貞が出会いフラグキター!!これとか自己中な発想をして、取り乱すのは当たり前だろ?
惚れたかと思うのも当たり前だろ?
だって童貞だし、免疫の無い男だったら当然だよな♪
勝手に成り行きを、都合が良いように解釈して、嬉しさの余り、動揺して言葉にならない何かを発しながらも、あまりにもベタな展開に嬉々としてしてしまう。
男の性ってヤツかな(汗)
そういえば、声がした時思わず振り向いたけど・・・いつの間にか直ぐ側に居たんだよな。
相手が祭壇にいると思い込んでいたため、無意識に祭壇方面に顔を突き出した形になっったかろこそあ・・・危うくキスしてしまいそうな距離になっていたのである。
突然のことに、暫くの間静寂の時が流れる・・・
数分は経ったたのだろうか?体感的には相当な時間見つめ合っていた様に思うえたのだが。
静寂は女性の言葉で破られた。
相手は顔を隠した手の隙間から顔を隠すようにして話しかけて来た。
「え・・とあの・・その・・あ・・改めまして、天使イシュタルと申します。きょ・・今日お呼びしたのは・・・・・」
挨拶と共に紡ぎ出される説明?のようなものを聞きながら相手の美しさに見惚れていた。
相変わらず顔は真っ赤だけど、それにしてもすっげー綺麗だなーと感嘆しながら見惚れ続ける。
黄金の髪、透き通るような白い肌、170cmあろうかという背丈、それに見合うようなゴールデンプロポーション!
特に目を惹くのが胸元のメロンである、でかい!しかもメロンがあっても不自然になってないスタイル!まさに巨乳!いやナイス爆乳バディか!
とオッパイフェチの俺には、最高のご褒美がそこにはあった。
もちろんメロンに負けじと顔のほうも美しい。
小顔の上に愛らしい表情、左右対称で整った顔立ち、まさに清楚な爆乳美人さんを絵に描いた様な姿だ。
ずっと見つめて、ただ呆けた様に見つめる俺。
あえて言おう!メロンに釘付けじゃないと!
そんな俺の姿に、業を煮やしたのか俺の天使?イシュタル?さんが俺に声を荒げた言い放った。
「き・・聞いていますか?俊哉さん!!」
「は・・はい!、見惚れてました!すいません!」
OUCH、俺のば・・ばかぁ~~ん!
何言ってるの俺・・・恥ずかしくて体が固まっちまったよ!
ど・・・どうしよ、引かれなかったかな?などとオロオロしながらイシュタルさんを見る。
そこには何処の茹蛸かと思うほどに、頭まで真っ赤にしたイシュタルさんがいた。
頭から今にも『ピュ~~!』っと湯気を噴出しそうな勢いで赤くなっていてイシュタルさんも動揺しているのが解った。
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「え~っと、あの変な事言ってすいません」
どうも謝ってばっかりだよなーと、思うが何故か素直に謝罪した。
謝罪の意味はない!ただそれしか言葉がでなかったんだよ~~ん。
「ひゃ!ひゃのにゃ・・にゃにいっておりゃりゃりましゅか?」
「れんれん、にゃにもきにしてらいれすぴょ」
動揺からか呂律の廻らない言葉を発しているイシュタルさん。
ぴょ!ぴょーだってwwwwwwダメだ吹きそうだ!
笑いを堪えながら必死になりイシュタルさんを見る。
俺に呂律の廻らない言葉を聴かれて、馬鹿にされてると思ったのか、ますますイシュタルさんは顔を赤くしいく。
イシュタルさんの余りのテンパリっぷりに、俺の方の緊張とか警戒とかが一気に解けてしまった。
お陰で、俺の方が、冷静になって話しかける事が出来きた。
「取り敢えず落ち着いてください、イシュタルさん。」
「何か俺に話があるんでしょ?ゆっくりでいいですから聞かせてください。」
妙な形で主導権を握れた俺は、イシュタルさんの説明を聞く、心の余裕が出ていた。
その後落ち着いたイシュタルさんの話を聞くことが出来た。
話を要約すると、俺は死んだらしい。
そういえば何となくだが、此処に来る前の最後の記憶は、学校を出て家に帰る途中だったような??
訳あって地球の魂から、無作為に呼ばれた魂の一人だそうだ。
死に立てホヤホヤが、呼ぶ条件なので、俺が死んでいることは間違いないらしい。
死んだときのことは覚えてないので、今更聞いても仕方ない。
そこはカットしてもらい、続きを聞かせてもらっている。
ただ、死んだにしては肉体があるのが不思議だった。
話を聴いて、自分の肉体をマジマジと確認すると、五体満足で記憶にある制服のままなことに気付く。
俺が、肉体があることに疑問を感じていると、イシュタルさんが察して教えてくれる。
魂として、ここに来る時に、死ぬ直前の肉体に合わせて、姿形が再現されるのだそうだ。
だから生前そのままの、高校生の俺の肉体が再現されたそうだ。
という事は17歳のまま・・・・・もう少し若くして欲しかった・・・そしたら、幼馴染とか義理の姉妹とかのシュチュエーションを味わえる可能性ががあったのに・・
しかも、俺は女性とのお付き合いの記憶も無い。
童貞のまま死んだ肉体に、落ち込んでいたのは内緒の話である。
「そういえば、訳ってのはどういったものでしょうか?」
「・・・それは、その・・ある願いをかなえて欲しいのです。」
「願いとは?」
「それは・・・今は言えませんし、言ってしまうとダメなのです。」
言えない理由とか、何か厄介だな。
「もし、その願いを叶える事が出来れば、貴方の望みを叶す。そして、そのまま異世界に転生させていただきます。」
ふむ、悪くは無いが、何故異世界限定なのか?
この辺もちゃんと聞いておくか。
「願いを叶える様に行動するのは、まあ・・・解りましたが、何故異世界限定転生なのですか?」
「それは、もし願いをかなえてしまうと、地球の輪廻転生枠から外れてしまうのです。その為、異世界でしか魂の繋がりを継続出来なくなる為、こっちの世界でしか転生出来ないからなのです。」
ふーっむ、断ると何も無かったように、元の世界の輪廻の枠に戻りそうだな~
「もちろん断られてもペナルティーはありません。途中のお断りも問題ありませんので、安心して挑めます。途中で断られた場合でも、元の世界の輪廻転生枠に戻ってもらい、新しい命となって生まれ変わるだけですので。」
やはり途中でも元の世界へ戻るのか・・・ただ途中でというのが気になるな~なんで途中で止める様な事態があるんだろう?
「はい、何故途中という場合があるかとと云うのは・・・これから実際に挑まれれば自ずと解るかと思います。」
ええええ!!なんで??今考えてる答えが返ってくるんだ!!
「あ・・・天使なので、相手の思考がある程度読めちゃうんですよ・・・・それで先走って答えてしまいました・・・すみません。」
って!まさかさっき考えていたオッパイの事も・・・まさか感づかれていたのか???
「えっと・・・その・・・き・・気にしないでくださいね、お・・男の子ですもんね。」
アァァァァアアァァァァァアアアァァァァァァーー
胸元を両手で隠すようにして、恥じらいながら、顔を赤くして横を向き答えるイシュタルさん。
俺の妄想してた、メロンを愛でるエッチな思考を読まれて、叫ばずに入られなかった17歳の異世界だった。
かんべんしてくれ~~~
こんなんでいけるのかな?
不安ですがよろしくですw