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098 無関心の現実
少年は、マンホールの下に住むストリートチルドレンだった。
ゴミ箱から拾った古雑誌などを売って、一日の生計を立てる。仲間もいるが、仕事は一人だ。
少年は、窃盗などしたことがなかった。
ただまっとうに、時には恵みを受けて生きる。
少年は、仕事を終えるとマンホールの下に帰る。
同じ境遇の少年たちが待っているからだ。この寒い都市では、それだけで少しは寒さが凌げる。
少年は、少年にぶつかられて転んだ。
すでに、ポケットに入れられた僅かな金は、すり取られている。
少年は、少年を探した。
顔は知っている。縄張りは違っても、同じ境遇の少年。話せばわかると思った。
少年は、寒さに耐えきれず、その場に倒れ込んだ。
もう、起き上がることもなかった。
少年は、誰にも助けられることなく死んだ。
横たわる少年の横を、大人たちが急ぎ足で通り過ぎてゆく。