表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/371

091 八方美人ですが、なにか?

 昔から、私は要領が良い。

 よく気がつく、勉強出来る、華がある、スタイルいい。

 そんなことを言われるけど、特に全身ケアしているわけでもないし、勉強だって中くらい。それでも見た目と態度で、人は勝手に高評価してくれる。


「顔洗って出直してこい!」

 会社に罵声が響く。また部長の雷が落ちた。

 私より一年後輩の男の子が、肩を落としてトイレへと駆け込んでいった。

「元気出してください。部長、新しいこととか苦手だから、まだついてこられないんですよ。もう少し練り直したら、きっとわかってくれますって」

 後輩の男の子がトイレから戻るなり、私は淹れたてのコーヒーを彼に差し出した。

「ありがとうございます……でも、自信失くしちゃいますよね」

「なに言ってるんですか。課長はいい案だって言ってましたし、部長がわからずやだっただけです。次に向けて切り替えて頑張りましょう!」

「はい! なんか元気出てきました。ありがとう!」

 ちょろいもんだ、なんて少し思ったけれど、私はコーヒーを持って、機嫌の悪い部長のもとへ行く。

「部長。コーヒー入りました」

「ああ、ありがとう。まったく、新人は何を考えているのか……」

 ぶつぶつと言っている部長に、私は苦笑する。

「まあ、そうですよね……でも、彼も一生懸命で周りが見えてないだけみたいです。もう少し冷静になったら、部長の声も届きますよ」

「そうかねえ」

「はい。部長の雷は愛情だって、みんな知ってるんですから」

「そうか。さすが君、わかっているね!」


 こんな簡単な会社はうちだけかもしれないが、私はこれで世渡りしている。

 八方美人と言われても、それが何か問題あります?

 転ばず沈まず、うまく泳げ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ