表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/371

090 ブスとかなんとか言わないの!

 私は容姿に自信がない。

 でも、奇跡的に彼氏も出来て、毎日は充実している。

 でもでも、やっぱり周りの子と自分を比べて、日に日に自信を失くしてる。

 でもでもでも、自分のためにも彼氏のためにも、綺麗になりたいって思ってる。


「おまえ、姿勢悪い」

 彼の言葉に、私は顔を上げた。デートで歩いている最中、私は思わず背筋を伸ばす。

「そうそう」

 彼は満足げに、私の隣を歩いてる。

 でも、私は彼より背が高い。少しでも低くするために、ヒールのある靴なんか履けないし、気付けば膝を曲げて歩いたり、背中が曲がってる自分がいる。

「お、撮影かな? めっちゃ可愛い子」

 ふと、彼が言った。

 目の前には、雑誌の撮影隊らしき人たちがおり、スタイル抜群で可愛いモデルさんがポーズを取っている。

「はあ……」

 私は彼にわからないように、小さく溜息をついた。

 どれだけ努力したって、あんなに可愛くはなれない。彼にも申し訳なく思う。

「ブース」

 その時、彼はそう言って、私の頬をつねった。

 正直なまでの彼の言葉に、私は傷付いて俯く。

「……どうした?」

 自分が言ったことにも関わらず、彼は怪訝な顔で私の顔を覗く。

「……ブスでごめん」

 涙を堪えて、私はそう言った。

 途端、彼が吹き出すように笑った。

「バーカ。おまえ、ブスの語源知らないの?」

「え?」

「ブスな人っていうのは、無表情な人って意味」

「そうなの? でも私、本当にブスだし……」

「まったく。本当に馬鹿な奴のことを馬鹿って言わないのとおんなじ。おまえは可愛いよ」

 いつものように卑屈に捉えながらも、私は嬉しさに笑う。

 彼の手は、私の頬を軽くつねり、そして頭を撫でる。

「ブスとかなんとか言わないの!」

「うん!」

 私は胸を張って、また彼とともに歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ