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007 KISSの隙間で

 唇が重なる。舌が絡まる。なんて甘い声――。

 愛しい人に呼ばれる自分の名前が、なぜこんなにも胸が高鳴るのか。

 まるでその人の宝物のように、私の名前が大切にされて輝いている。

「朝までこうしてて」

「ああ」

 真っ白なシーツの上で、私たちはただキスを繰り返した。

 時間が止まればいいなんて瞬間、本当はあんまりない。だけど今だけは、このまま時間が止まって欲しい。離れたくない。朝なんて、来なければいいのに――。

 だけど、時間は止まらない。朝はやって来る。

「部長」

 朝になれば、魔法が解ける。

 今日もまた、上司と部下という、無機質な関係――。

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