65/371
065 未来のスナイパー
どれくらい走っただろう。俺はやっと手に入れた安息の場所で、呼吸を整え、握られた銃に新しい弾を装弾する。
西暦三XXX年、何度目かの戦争で人類はほぼ絶滅したものの、俺はまだ生きている。
さして生きることに執着していたつもりはないが、こうして生きるために殺す道具を持っているのだから、よほど生きたいらしい。
「キャー!」
人の悲鳴が聞こえ、同時にバリバリと骨を砕く音が聞こえた。
人類はいつの時代も血なまぐさいが、人間同士で争っていた時代など、今となっては信じられない。なんと愚かな行為だろう。
俺は呼吸を整え、安息の場所から走り出した。
途端、目の前に巨大な虫が君臨するように立っていた。
いつからか、突然変異で生まれた虫は、あっという間にこの星を征服した。やつらのエサは人間であり、人間が作った兵器など、やつらの生命力には敵わない。
それでも俺は、戦うだろう。生きることに執着しているわけではないのなら、それは男の性というものか。
俺は生きる。人類が滅亡する、最後の瞬間まで――。