055 ストーカーの末路
電話、尾行、やれることはなんでもやった。
僕がこんなに愛しているのを、彼女も知っているはずだ。
だけど彼女は、僕の良さをわかろうとしない。
「なんでわからないんだ! 君は僕のものだろ? 君を一番愛しているのは僕なのに!」
僕はそう言って、彼女の髪を掴む。彼女は泣き叫び、助けを乞うた。
その時、僕は視線に気づいて振り返る。誰だ。
「警察を呼んだわ。逃げなさい」
女の声がした。
“逃げろ”という言葉に反応し、僕は無意識に彼女から離れ、一目散に駆け出す。
その日から、僕の周りに女の姿があった。
電話が鳴り止まず、尾行され、時には僕の出したゴミまで漁られた。
なんなんだ、この女は。この女のせいで、彼女に電話する暇もない。彼女に会う暇もない。
しばらく経ったある日、女がいなくなった。
僕はしきりに、女の姿を探した。でも、電話も繋がらない。住所もわからない。
もしかしたら、僕と女はお似合いなのかもしれないと思うようになったのは、僕が異常だからだと思うだろうか。
だがその夜、僕は殺された。
「なんでわからないのよ! あんたは私のものでしょ? あんたを一番愛しているのは私なのに!」
殺される直前、僕は僕がストーカーだということを知った。