047 雷鳴ったらヘソ隠せ
※少しホラー要素を含みます。(見る人から見たらコメディ要素でもあります)
ゴォーン!
まるで大砲に撃たれたかのような凄まじい音が鳴り響く。夜というのに、昼間より明るい光が何度も走った。雷雨である。
「ママー!」
あまりに異様な雰囲気に、子供たちは泣きながら母親にすり寄った。
「怖いよ」
「大丈夫、大丈夫よ。ほら、どんどん雨も弱くなって、そろそろ止むわよ。布団に入りなさい。そばにいてあげるから」
「うん……」
子供たちは母親に見守られ、布団に入った。
「ちゃんとパジャマの裾、ズボンに入れるのよ。おヘソ出したら、雷さまにおヘソ取られちゃうんだからね」
「えー。やだ、怖い!」
「ちゃんとしまってれば大丈夫よ。ほら、目をつぶって」
「はーい」
安心したように、子供たちは眠りにつく。
やがて、雷も収まった。
「止んだみたいね……」
母親は子供たちが眠ったのを確認すると、子供部屋から出ていった。
「そろそろ私もお風呂入って寝なきゃ」
そう言って、母親は脱衣所に向かっていく。
「ママ……トイレ……」
その時、またも子供の声がして、母親が振り向いた。
「あら。また起きちゃったの?」
振り向いた母親の姿に、子供は絶叫した。
「ぎゃーーーーー!」
母親の腹に、ヘソはなかった。