042 友達以上、恋人未満
会いたくない、会いたくない、会いたい……。
次、会う時が、別れの時――。
私と俊哉は、幼馴染み。時に友達、時に恋人。そんな中途半端な関係のまま大人になり、気がつけば、俊哉は大学の同級生とデキ婚。私たちは、永遠に友達の関係になった。
それなのに――。
ある日、私は中学の同窓会で、久々に俊哉と再会した。
「おう、遥」
私の名前を呼ぶ俊哉。変わらない笑顔。変わらない声。
その夜、私たちは恋人同士に戻った。
なぜそうなってしまったのか。いや、お互いにそうなりたかった感情が、その時むき出しになったに違いない。
罪悪感がなかったというわけではないが、その時はもう無我夢中で、自分たちのことしか考えていなった。
それからまた、私たちは中途半端な関係。友達以上、恋人未満。
どうして私たちが結ばれなかったの? 運命に問い質してみたくもなるけど、現実からは逃れられない。
「妻に気付かれたみたいだ……」
ある日、俊哉が暗い顔でそう言った。
「……私たち、別れるの?」
私はそう尋ねる。
「嫌だよ。おまえは俺と別れたいの?」
「でも……」
私たちに、答えはない。ただ好き合っているのに、許されない関係――。
それから、私は一人でいろいろ考えた。
きっと俊哉は、家族と別れられないだろう。でも私とも別れれば、もう友達にすら戻れないかもしれない。きっと俊哉は選べない。でもきっと、俊哉は今までも、そんな恋愛を経験してる。出会いと別れを経験してる。
私は一人、決意した。
次、会う時が、別れの時――。